2020/10/08 21:00

FIPで余命宣告をされてから1日たち、昨日よりもしゃぶしゃぶの具合が悪くなりました。
世紀の食いしん坊猫なので、ギリギリ食欲はありました。けれど、トイレとご飯以外で立つことはほぼ無く、ずっと私にくっついて寝ていました。
元気だと絶対に近くで寝ないので、ありえないことです。

実は、子猫なのにぶどう膜炎にまでなったこと、手術前の血液検査でタンパク質(アルブミン)の値で引っかかったこと、お腹が弱いことなどから「もしかしてFIPなのではないか?」と感じたことはありました。

ずっと調べていたので、治るかもしれないこと、そのためには体重が2kg以下の子ですら100万円以上の高額な治療費がかかること、体重の増加に伴って薬の量が増えるため、しゃぶしゃぶの場合は軽く250万円は越すこと、再発の可能性があること……全て知っていました。

金銭的な不安もありますが、一番悩んだのは「しゃぶしゃぶにとって1番幸せな方法が何か」
ということです。


昔話になりますが、私は母を中学生の時に亡くしています。癌でした。
母には最後まで余命宣告はしませんでした。父と2人で、
「治るから」
と母を騙して、辛い抗がん剤治療を受けさせました。
母の死の数日前、桜を見て
「お花見に行きたい」
と言った母に、私は
「来年は行こうね!」
と返しました。その時の、父の震える背中は一生忘れられません。

入院続きの母と、治療費を稼ぐために仕事が忙しい父に代わって、小学校の時からほとんどの家事を担ってきました。
家事に追われる辛さはもう忘れてしまいましたが、辛い治療を押し付ける辛さは忘れられません。
母の時の辛さをもう一度味わう勇気は、私にはありませんでした。


けれど、しゃぶしゃぶがちゅーるを見ると嬉しそうにする。おもちゃを見ると目で追いかける。ご飯の時間になると起き上がろうとする。呼んだら頑張って顔を近づけようとする。

抗がん剤治療とは違い、辛い副作用もない。

お金はどうにかしよう。何のためにエンジニアになったんだ。もう一度だけ、頑張ってみよう。そう思い、未承認薬を使う決意をしました。