FIPで余命宣告をされてから1日たち、昨日よりもしゃぶしゃぶの具合が悪くなりました。世紀の食いしん坊猫なので、ギリギリ食欲はありました。けれど、トイレとご飯以外で立つことはほぼ無く、ずっと私にくっついて寝ていました。元気だと絶対に近くで寝ないので、ありえないことです。実は、子猫なのにぶどう膜炎にまでなったこと、手術前の血液検査でタンパク質(アルブミン)の値で引っかかったこと、お腹が弱いことなどから「もしかしてFIPなのではないか?」と感じたことはありました。ずっと調べていたので、治るかもしれないこと、そのためには体重が2kg以下の子ですら100万円以上の高額な治療費がかかること、体重の増加に伴って薬の量が増えるため、しゃぶしゃぶの場合は軽く250万円は越すこと、再発の可能性があること……全て知っていました。金銭的な不安もありますが、一番悩んだのは「しゃぶしゃぶにとって1番幸せな方法が何か」ということです。昔話になりますが、私は母を中学生の時に亡くしています。癌でした。母には最後まで余命宣告はしませんでした。父と2人で、「治るから」と母を騙して、辛い抗がん剤治療を受けさせました。母の死の数日前、桜を見て「お花見に行きたい」と言った母に、私は「来年は行こうね!」と返しました。その時の、父の震える背中は一生忘れられません。入院続きの母と、治療費を稼ぐために仕事が忙しい父に代わって、小学校の時からほとんどの家事を担ってきました。家事に追われる辛さはもう忘れてしまいましたが、辛い治療を押し付ける辛さは忘れられません。母の時の辛さをもう一度味わう勇気は、私にはありませんでした。けれど、しゃぶしゃぶがちゅーるを見ると嬉しそうにする。おもちゃを見ると目で追いかける。ご飯の時間になると起き上がろうとする。呼んだら頑張って顔を近づけようとする。抗がん剤治療とは違い、辛い副作用もない。お金はどうにかしよう。何のためにエンジニアになったんだ。もう一度だけ、頑張ってみよう。そう思い、未承認薬を使う決意をしました。
2020年9月20日、FIP発覚によりあと1ヶ月生きれるかどうか…と余命宣告をうけました。その日の朝は「4連休だし、どこか行こうか〜」なんて考えて地元の旅行雑誌を見ていました。行き先も決まり、出かける直前になって、しゃぶしゃぶの耳が黄色いことに気がつきました。いつもピンク色のお腹まで真っ黄色!ネットで調べると、黄疸という症状のようで……黄疸がはっきりとわかるのはかなり危険な状態らしく、急いで動物病院に駆け込みました。それでも、しゃぶしゃぶは普段と変わらず元気な様子だったので、そのネットでの検索結果にも半信半疑でした。診察が始まると、すぐに先生に「黄疸が酷く、これはやばい。触った感じ、お腹にも大きめのしこりががある。」と言われ、すぐにエコー、血液検査になりました。結果はFIP、猫伝染性腹膜炎。致死率はほぼ100%、特に子猫の死亡理由のNo.1の恐ろしい病気です。FIPの特徴としては臓器の慢性的な炎症で白血球が増加、肝臓機能の低下により総ビリルビンが増加、腸内でのタンパク質の吸収が悪くなりアルブミンが低下、グロブリンは増加するため総蛋白の値が高くなります。加えて、肉芽腫が発生することやぶどう膜炎などの眼病変が起こるものはドライタイプと判断されます。ウェットタイプというのもあり、こちらは黄色い腹水が溜まるそうです。しゃぶしゃぶの検査結果から、FIPドライタイプの中期であり、1ヶ月生きれるかわからないとの余命宣告でした。治すための治療法は無いため、後はしゃぶしゃぶができるだけ苦しまずに済むような緩和ケアしかできないとのことでした。元気にみえたしゃぶしゃぶですが、熱があったようで、その日は発熱を抑える抗生物質のみ処方してもらい家に帰りました。4連休中は家に引きこもり、猫のベッドの近くに布団をひいて、常にそばに居ました。しゃぶしゃぶ、何故か具合が悪くなると私にぴったりくっついて寝ようとするので…くっついて丸くなった時に、「あぁ、このまま死ぬんだな」と実感しました。