2020/12/19 18:00

皆さん、こんにちは!山本梨沙です。

「香茶里」プロジェクトのご支援、ありがとうございます。

2番目に紹介したいのは森本隆さん。茶箱の蓋となる組手(くで)をつくる伝統工芸士です。

組手とは、障子の格子の模様を手作業で組み上げていく技法。もともとは家をつくるときの障子に使われる技法ですが、森本さんはこの技法を生かして現在、以下のような素敵な小物づくりにも力を入れています。

これらは、森本さんのパートナー・佳瑛さんがデザインし、森本さんが制作したもの。木で作ったカバンにトートバッグ、サッカーボール。木で作られているとは思えないほどの精巧な形状ですね。

仕事場で談笑する森本さん

森本さんは、(有)森本建具店の3代目として1965年に誕生。高松工芸高校を卒業後、兵庫県の職人のもとで3年修行した後は、ずっと高松で住宅やお店に使う建具づくりに取り組んできました。

精密な木工用機械がある今日、ミリ単位で木を切ったり削ったりするのも、比較的容易にできるようになりました。しかし、森本さんが働き始めた当時は、木材の長さを図るのにコンパスを使うなど、アナログな手法がまだ生きていました。

こうした手作業で精緻な技術を体得してきたからこそ、作れるものがあるとのこと。

例えば、上の写真の2つの組手。右側は雑に作られた組手。左側は精緻に計算しながら作られた組手です。机に置いてみると、右側は隙間が空いてしまうのに対し、左側がピタっと机にはりつきます。

10年、20年と長持ちする家具かどうかは、こうした細かい点までいかにしっかり造りあげられるかどうかにかかってくるということ。

高松にある森本さんの小物を販売するお店「TASUKI-Int.(タスキ インターナショナル)」 

そんな森本さんは、香川の若手木工職人の相談に乗ったり、子ども向けの木工教室も開いたりと、積極的に後進育成にも力を入れています。

和室の需要が減る中、組手のような伝統的な技法をどのように未来へつないでいくかは、大きな課題です。森本さんが小物作りを初めたのも、「後進のためにも、『木工職人にはこんな可能性もある』ということを示したい」という思いだったとのこと。

もっとも、住宅や店舗用の建具に比べ、小物は「金にならない」と言われることが多くあります。

「自分はたぶん、負けず嫌いなんです。ほかの人が『できない』と言うから、やってみたくなる」

そう笑う森本さん。

ベテランでありながら、挑戦心を燃やし続ける。そんな瑞々しい森本さんの心意気を届けたいと思い、今回、香茶里の制作に関わっていただくことをお願いしました。


森本さんのお取組みの詳細や商品情報は、HPをぜひご覧ください。

次回は香茶里の桶の部分を制作する、谷川清さんを紹介します。