2021/01/08 16:10

撮影:松本幸治

※今回の写真集用に撮影していますが、写真集に採用されるかは不明です。

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今日からクラウドファンディングが終了する1月27日まで、毎日のんほいパークにいる動物に関することを少しお話しさせていただきます。

今日はスマトラオランウータンです。

スマトラオランウータンのレッドリスト評価はCR(深刻な危機)。

絶滅危惧種と言われるのは

CR(深刻な危機)

EN(危機)

VU(危急)

の3評価。

オランウータンはその中でも一番深刻なカテゴリーと言えます。


この地図を見てもわかるように

インドネシアのスマトラ島でも上述のようなほんの少しの「EXTANT(現存する)」エリアにのみに生息しており、現在およそ14,000頭しか生息していません。


オランウータンは

スマトラ島に生息する「スマトラオランウータン」

ボルネオ島に生息する「ボルネオオランウータン

そして2017年に新種と認定されスマトラ島のごく一部生息する「タパヌリオランウータン

の3種類がいます。

そもそもオランウータンは
「orang(人) hutan(森) = 森の人」の意味であり

大型霊長類(ゴリラやチンパンジー)と違ってナックルウォーク(拳を使って歩くこと)をせず、樹上生活をして過ごします。

子離れするまでは母ザルは小ザルと行動を共にしますが、基本的には一人で森の中に暮らしています。


スマトラオランウータンはなぜ絶滅に近づいているのか?

それは大きく分けて2つの理由があります。

1つは、単純にスマトラ島の森、ボルネオ島の森、みんなが思い浮かべる東南アジアの鬱蒼としたジャングルがどんどん無くなっているということ。

それは

1965年ぐらいから国策として植えられたアブラヤシを植えるプランテーション (plantation) のせいで、棲む森が伐採され、パームヤシの林というか畑に作り替えられているからです。

思い出すのは20年ほどまえ。

NHKの関連会社時代、マレーシアのジャングルに入って合計9週間撮影するという仕事があった。最初の渡航時、高度が高い時にボルネオ島と思われる島を上から見て、いろんな緑色がモコモコと折り重なる風景を見て「ジャングに来た」という興奮に包まれた。

しかしほどなくKL空港に向い高度を下げていく中で、その森が深い緑色単色のチェックの森に変わる。何かな?と思うとそれがパームヤシの林だったわけだ。

撮影に関係ないがアブラヤシの森というか畑に行って勝手に撮っていると凄い剣幕で怒られて追い出された記憶が甦る。


20年前でもあんなに伐採されていたのなら、それから20年経ったいま、ほとんどジャングルが無くなってきているのは想像に易い。

上図の生息環境の小ささを考えればなおさらだ。


生息環境が減っているということが大きな原因の一つと言えるが

オランウータンにはもう一つある。

それは「ペット」としての需要だ。

対象は小ザル。

しかし密猟者にとって、ジャングルに入って単独行動しているオランウータンを見つけて仕留めるのは至難の業。

以前イベントで聞いたのは、上記のアブラヤシと関係している。

アブラヤシを植えるためには

重機を入れてジャングルの伐採を行わなくてはならない。

これはデベロッパーの仕事だ。

デベロッパーが伐採・開墾している中で逃げ後れた母子のオランウータンを発見する。

するとデベロッパーから密猟者に連絡がいき

密猟者は母ザルを銃で撃ち殺し

母ザルにしがみついて離れない小ザルを引きはがすようにして連れて行くのだという。


オランウータンは

アブラヤシのために生息環境を追われ

アブラヤシのために見つかり銃で撃たれる。

前者は生息地が分断されることで繁殖の機会が奪われ(出会いが無くなる)

後者は悲劇でしかない。


全ては人が引き起こしていること。

アブラヤシがなぜ?

それは私たちの身の回りにある

ケーキ

ポテトチップス

フライドチキンに

フライドポテト・・・。

植物由来のシャンプーに石鹸などなど

アブラヤシを主原料とする植物油が使われている場所はいっぱいある。

コンビニで植物油を使っていないお菓子を買おうと思うと至難の業であるし

スーパーのお惣菜も気にしていたら揚げ物はほとんど買えないだろう。


私たちが暮らすということをもっと見つめることができたなら

少しでも風向きが変わって

彼らが助かるかもしれない・・・のだ。

だから「知る」ことが大切なのである。

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