2020/12/25 12:39

活動報告vol.1

たくさんの方の応援、毎日本当に嬉しく思っています。
本当にありがとうございます!!!


現在制作している絵本「こびとのくつや」

こちらの下書きが完成いたしました…!!
そんな中身を今回公開しちゃいます!!!

素敵な絵になっています…!!!

著:ヤーコプ・グリム、 ヴィルヘルム・グリム
絵:Peacock 訳:anri

むかしむかしあるまちにまずしいくつやのおじいさんとおばあさんがすんでいました。


ふたりは、あさからばんまではたらいていました。

しかし、わかいころのように、一日中くつをつくりつづけるのがむずかし

くなり、やがて、ざいりょうをかうお金も、なくなってしまいました。

「とうとう、のこりのかわが1まいになってしまったよ。」おじい

さんは言いました。「これがさいごなのですね。」

おばあさんも、答えました。

おじいさんはくつをつくることが、だいすきで

おばあさんも、おじいさんのくつづくりをなんじゅうねんももそ

ばでみまもりささえています。

ふたりにとってくつをつくることは、かけがえのないたいせつな

いきがいなのです。

じぶんたちでつくったくつをだれかにはいてもらうことがなに

よりもうれしいことでした。

おじいさんは、ゆっくりと革を切り進めます。


気づけば、夜がちかづいてきました。

「おばあさん、さきにねてくれるかい。

さいごのくつだから、もうすこしがんばりたいんだ」

「わかりました。むりはしないでくださいね。

それでは、おやすみなさい」

よるおそくまでかわを切っていたおじいさんは、そのままねてしまいました。

つぎの日のあさ、おじいさんが目をさますと、

きのう、とちゅうまできっていたかわが、

ぴかぴかのくつになっているのです。

「おやおや。なぜだろう、、、すごくりっぱで、かっこいいくつだ」

ベッドからおきてきて、はなしをきいたおばあさんもふしぎそうです。

「きのうねぼけて、さいごまでつくったのではないですか?」

「そうかもしれないなあ。ふしぎなこともあるもんだ。」

くつをおみせにならべると、すぐにおきゃくさんがやってきました。

できあがったばかりのりっぱなくつをみて、おきゃくさんは言いました。

「なんとかっこいいくつでしょう。ぜひ、かわせてください。」

おきゃくさんがはらってくれたお金で、

またあたらしいくつをつくるためのかわを、2そくぶんかうことができました。

「これでまた、くつがつくれるぞ。」

おじいさんは、はさみでかわをきりすすめます。

「よし、しあげはあしたのあさ、することにしよう。」

きったかわをテーブルの上におき、おじいさんとおばあさんは

ねむりにつきました。

つぎ日のあさ、二人がもどると、

またしても、りっぱなくつが二そく、テーブルの上においてありました。

おじいさんとおばあさんは、びっくりして、まわりをきょろきょろみわたします。

「これはいったい、どういうことなのでしょう。」

「かってにくつができあがるなんて。なにがおこっているんだ。」

その日も、おみせをあけると、すぐにお客さんがやってきて、

2そくとも、うれてしまいました。

こうして、おきゃくさんがはらってくれたお金でつぎの日は4そくぶん

そのつぎの日は8そくぶんのかわをかうことができました。

くつやはおきゃくさんでいっぱいになり、おじいさんもおばあさんもお

およろこび。二人は、いぜんのようにまずしく、せいかつにこまることは

なくなりました。

しかし、はさみできっただけのかわが、よるのあいだにくつにかわ

るりゆうは、わからないままでした。

「うーん。いったいだれが、こんなにりっぱなくつをつくってくれたんだろう。」

「ぜひ、おれいがいいたいわ。」

「そうだ、今日のよる、こっそりしごとばをのぞいて、たしかめてみよう。」

そのよる、おじいさんとおばあさんは、おとをたてないよう、そーっとしごとばを

のぞきました。

すると、なんということでしょう。

こびとたちが、テーブルの上で、くつをつくっているではありませんか。

「よいしょ。よいしょ。さあ、すてきなくつをつくるぞ。」

「おじいさんとおばあさん、よろこんでくれるといいなあ。」

こびとたちは、そう言いながら、ちいさなからだをせっせとうごかします。

おじいさんとおばあさんはびっくりして、かおをみあわせました。

「おやおや。なんということだ。」

あっというまにすてきなくつをかんせいさせると、どこかにきえてしまいまし

た。

こびとたちは、おじいさんとおばあさんが、ながいあいだ二人きりで、いっしょう

けんめいにくつをつくるすがたを、かくれてのぞいていたのです。

なにか、おじいさんとおばあさんのおてつだいがしたいとかんがえたこびとたちは、

よるおそくにこっそりと、くつづくりのおてつだいにやってきていました。

つぎの⽇、⼆⼈はきのう⾒たこびとたちについて、はなします。

「なにかおれいがしたいなあ。」

「そうですね。あのこたちがきていたようふくと、くつがずいぶんふるいように

みえました。

わたしたちで、ようふくとくつをつくって、プレゼントするのはどうでしょう。」

「それがいい!さっそくつくって、きょうのよるにテーブルの上においておこう。」

それから、おばあさんはこびとにぴったりの

ちいさなようふくを、おじいさんは、ちいさなくつを、つくりました。

さて、よるがやってきました。

こびとたちがまた、しごとばにやってきます。

「きょうも、たくさんくつをつくるぞ!」

テーブルに上がると、そこには、ざいりょうのくつがありません。

「あれれ、おかしいな。きょうはいつものかわがないみたいだ。」

「でも、なにかがおいてあるぞ」

いつもかわがあるばしょに、ちいさなようふくとくつがありました。

「なんてかわいいようふくとくつなんだ。きてみようよ。」

「そうだね。きっと、ぼくたちにぴったりだ。」

こびとたちは、すぐにようふくにうでをとおし、くつをはいて、よろこびました。

そのようすを、かげからみまもっていたおじいさんとおばあさんも、

とてもうれしく、あたたかいきもちになりました。

「こんなにもよろこんでくれるなんて。すこしは、あのこたちにおんがえしが

できたようですね。」

「ああ。おれいができて、ほんとうによかったよ。」

こびとたちは、たのしそうにうたいながら、しごとばをでると、

それから、おじいさんとおばあさんのまえにあらわれることは、ありませんでした。

それでも、おじいさんのつくるくつは、こびとたちがつくったくつとおなじくらい、

きれいなものだったので、たくさんのおきゃくさんがくつをかいにきました。

おじいさんとおばあさんは、くつやをつづけながら、ずっとしあわせにくらし

たそうです。



おしまい