こんにちは、Cafe Gattoの服部です。
Cafe Gattoは猫たちに安心できるおうちと家族を探すために
活動しています。
スタッフが外で負傷している猫たちに出会うことも多く
そんな子たちを保護する活動もしています。
今回保護した子はとてもひどい傷で、写真に傷口なども写っているので
閲覧にはくれぐれも、ご注意ください。
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先日のこと。
スタッフが出かけようと玄関ドアを開けたところ
サァッと黒猫が横切りました。
あれ?体に汚れが付いてる?
チラッと見えただけだったのですが
何か違和感を覚え、黒猫が行った方向に目をやると
その黒猫がじっと座り、こちらを見ていました。
そこで先ほどの違和感が何かわかりました。
どうやら怪我をしているようで
お腹から背中までぐるりとびっしり
膿がへばりついているというか
皮膚もむき出しになっていたんです。
今までに見たことのないような膿の量。
そーっともう少し近づいてみると
皮膚にも穴が開いていて、普通のケガではない様子。
これはすぐに保護しなきゃ!
とまた少し近づいてみると
それほど逃げる様子もなく
もしかして抱っこできる?
とさらに1歩近づいたところで
「ウ~」と威嚇され、
逃げ出しそうなそぶりを見せたので
いったん距離を取り
ごはんでおびき寄せる作戦にし、
急いでごはんを準備して置いてみると
1歩ずつ近づき、その場では食べないけれど
くわえて持ち運び
離れた場所で食べていました。
捕獲器で行けるかな?
と準備しましたがそれには全く入る気配なし。
どうやら入れ物に入るのが怖い様子。
庭において1日様子を見ましたが
入ることはなくその後姿を消してしまいました。
けれど次の日もまた現れ、
こちらの様子をうかがっているので
また仕掛けてみるものの失敗。
何度かやってみましたが、決して入ることはない…。
傷をこのままにしてはおけないのでとりあえず
怪我している部分を写真にとり、
病院で抗生剤を処方してもらいました。
薬はごはんと一緒に上手に飲んでくれました。
絶対にあきらめない!!
なんとか保護して助ける!
最初に出会ったときからそう決めていたので
名前も考え、「あんこ」と名付けました。
ごはんをあげ始めて少しずつ気を許してくれたのか、
触ることはできないものの、
庭のウッドデッキの下をすみかにしたようで、
あんこ~と呼ぶとニャ~と鳴いて、
ごはんを食べに来るまでになりました。
もう少しで保護できるかも!!
少しずつ距離が縮まっていることに嬉しくもあり、
一刻も早く保護して、
ちゃんと病院で見てもらいたいという焦る気持ちもありました。
ごはんはガツガツしっかり食べているので、
心なしか毛並みもよくなってきた気がしました。
しかし相変わらず体中についている
膿でものすごい臭いです。
早く保護してあげたいと挑戦はするけれども
やっぱり捕獲器には入らないし、
触ろうと近づけば、すぐに手が出てくるので
思うようにはいかず。
しかしどこかへ行くことはなく
ウッドデッキの下で寝泊まりし、生活してくれている様子。
寒くないようにできる限り周りを風よけしたり、
猫ベッドも用意したら使ってくれていました。
日に日に縮まる距離に
あともう少しだ!!
そう思っていたのに…。
19日の朝、
前日の夕方まであんなにガツガツ食べていたあんこが
名前を呼んでも寝床から出てこず、
ウッドデッキの下を覗いてみると
寝床で倒れ立ち上がれなくなっていました。
その前の2日間は雪も降って、
一気に冷え込んだこともあり、体に応えたのかもしれません。
時折痙攣も見られ、急いで病院へ電話して
あんこを連れて行き、すぐに酸素室に入ることになりました。
その後、昼に電話があり、
体温が33℃とかなり下がっていたのが36℃にまで回復。
点滴を流しながら治療中とのことでした。
とても危険な状態にあるとのことで
覚悟はしておいてくださいと言われました。
夕方連絡があり
呼吸は浅いとのことでしたがごはんをあげると食べているとのこと。
しかし、食べ終わるとまたぐったり・・・という様子なのだと。
怪我はかなりひどいもので、
どうしてこんなことになったのか原因は不明。
やはり膿がひどく、内臓にまでかなりの膿がたまっていたそうです。
さらに、肺には水が溜まっているとのことでした。
状態としてはだいぶ弱ってしまっているので、
出来ることが限られているとのことでしたが、
とにかくまずはあんこが少しでも楽になるように
切開して膿を出します。とのこと。
あんこの生命力を信じ、その後の治療をお願いしました。
ごはんは食べれるんだからきっとよくなる。
退院したらやっとおうちの子になって
これからどんどん幸せになるんだから。
みんなで帰ってくることを信じ続けました。
ですが
昨日の朝、
病院から「あんこが亡くなった」と連絡が入りました。
もっと早くに出会って保護できていれば助けられたかもしれない…。
悔しい気持ちでいっぱいになりました。
あの体で必死に助けを求めて
あの日、うちの前に現れたんだろうに。
ごめんね、あんこ。
食事にも困らなくて、寒さも気にしないで安心してゆっくり眠れる生活を
あんこに知ってもらいたかった。
もう少し、あともう少しでも早く出会いたかった。
これまで悲惨な状態の猫たちを沢山保護してきましたが、
あんこの怪我は本当にひどいもので、
あの怪我で生きていたこと自体信じられないくらいだし
その生命力にも驚かされました。
外で生きていくことは、
私たちが思っている以上に
猫にとっては過酷です。
今回あんこが
なんであんなにもひどい怪我をしていたのかはわかりません。
猫同士のけんかによるものなのか、罠によるものなのか・・・、
本当のことはわかりません。
けれど
少なくとも外で生活をしていなければあんな怪我をすることはなかったはずです。
せっかく生まれてきた命、こんな不自然な亡くなり方をしてほしくない。
あんこと出会って1週間と5日。
短い期間だったけど
あんこと過ごした日々はかけがえのないもので、
日に日に心を許してくれるあんこを見て、
あともう少しで保護出来て、
そのうちめちゃくちゃ甘えてくれるようになるんじゃないかって、
あんことのそんな未来を想像して幸せだったよ!
あんこ、ありがとう。
昨日、午後から火葬に行き、やっと一緒にお家に帰ることが出来ました。
もう痛いことも苦しいこともなく今はスタッフの自宅で安らかに眠っています。