「虎こけし」を紹介します。ミアウペッケに似ているかもしれませんが、虎です。同じ猫族ですから、そこは大きな心持ちで見守っていただきたい。 オマージュした作品の「伊年印 虎図」は400年前の作品なので作者の俵屋宗達さんが本物の虎を見たとは思えず、中国の屏風図から空想した想像図であろうと思います。これを見た時に、どうにもこうにも私には、虎が面白そうなものを見つけたようにしか思えませんでした。いたずら好きの子虎のようにも見えます。 現在では、動物園で虎を見れますし、写真などから写実して描くことはできます。でも、このかわいい感じは琳派と言われる画家たちが私淑して、歴々と新たな絵画にして引き継いでいってます。なので、新型こけしでやってみようと思いました。 伝統こけしは直接師匠から伝統の技法を教わりますが、新型こけしに決められたしきたりはありません。なので、勝手に真似して勝ってに模写して自由に楽しくこの作品を作りました。自信をもって私淑してると言えるように、琳派をもっと研究していきたいと思います。 絵画の専門家からすれば、平面の絵を立体に変えて描くのがこけしなので、あまり現実的ではないと言われるやもしれません。自分勝手にひとときの幻想をみるだけになるやもしれません。それでもやめられなくなりました。だから、こけしは面白いのかもしれません。 俵屋宗達の虎は大きな足が今にも踏み出そうとしているかのようです。でも、かわいいことに爪は引っ込めているし、しっぽは丸めてしまっているようです。虎こけしはこけしだからいずれにしましても出せないままです。誰か助けてあげてください。感染病パンデミックのおかげで「ひとやすみ」もしていられないし、「どこをみてるの」かもわからない。せめて話を聞かろよって言いたげです。 400歳の長老虎「そうた」は、濃い眉をひそめ、体の紋様はすこし太めになり、しっぽがともかく長いのが特徴です。 まだまだ若い虎「ソータ」は、丸くつぶらなひとみ、体の紋様には精悍なフレッシュさが漂い、しっぽは上品な長さなのが特徴です。 二人に共通しているのは、大きくへの字にした口と、ぎゅっと指を握った足と、あたまの模様です。偶然にも匠とのコラボレーションから巡りあうことができた2体の虎こけしです。 今年だけの限定品となりましょう。次は12年後なのでまた作れるかはわかりません。100年後に私淑して作る人が現れるやもしれません。またもや現実から幻想の世界へと飛んでしまいました。功 Selection 「ひとやすみ」 を紹介します。 見せてもらった工房の215体の作品から選びました。新型こけしではなく創作こけしといいたいところです。手間暇がかかるからあまり作りたくはないと佐々木功工人からは言われました。でも、今の世界情勢から、ひとやすみしたいと強く願う人達に届けられればと思い無理にお願いをしました。 特徴は顔の表情に限らず、頭髪のまげ、着物(服)にあります。着物の色は写真では黒いように見えますが、紫が混じった濃いこげ茶色です。しかもこの着物は和紙です。胴体に巻き付けてあり適度にしわが寄っています。実物を見ていただたらその出来栄えに驚かれるだろうと思っています。ささやかながらも新鮮なアート感を味わえるのが新型こけしの魅力です。美穂 Selection 「どこみてるの」 を紹介します。 伝統こけしの特徴ある形状を【たちこ】【えじこ】と呼ぶことがあります。この新型こけしからは、えじこに創意工夫をした雰囲気が感じとれます。えじことは藁を編んだ籠のことで、赤ん坊を入れて農作業をしていました。えじこの中に小さなこけしをすっぽりと入れる技を磨くことは、こけし工人の修業のひとつとされているようです。 特徴はそのごくごく小さな頭。この小さく丸い形に描く表情は、大きな形に描くよりとても神経を使います。1mmのずれも許されなくなるからです。その巧みさのなかから生み出された豊かな心温まる表情に思いを寄せていただれば嬉しいです。みなさんはどこを見ますか?モンシロチョウにもモンキチョウにも一筆書きとは違って丁寧な描写がありますよ。もっとご紹介したいところが山ほどあります。このほかのSelection品についても今後活動報告で紹介していきたいと思います。 そして小さいながらも展示会を開き、ひとりでも多くの人に現物を見てもらえるようにしていきたいと思っています。1月22日~23日で行います。今回は「ミアウペッケ」の誕生物語を紹介する予定です。場所は宮城県大河原町の「うらにわあとりえ」、来ていただけると嬉しいです。https://uraniwaatelier.com/