2021/01/08 11:28

みなさん、こんにちは。茨城県潮来市にあるお寺、潮音寺の住職・村上定運です。このたび、東日本大震災から10年を数える2021年3月11日に、「花あかり」というイベントを行うこととなり、そのためのクラウドファンディングを開始しました。

今回は、「花あかり」というイベントを主催する潮音寺がどんなところなのか、みなさんにご紹介したいと思います。

◆潮音寺って、どんなところ?

潮音寺があるのは、茨城県の東南部・鹿行(ろっこう)地区の潮来(いたこ)市というところです。霞ケ浦や利根川などの水辺に囲まれた水郷として有名な街で、お米作りが盛んな土地でもあります。

なかでも潮音寺が位置する日の出地区は、大きな湖を丸ごと埋め立てて開発されてきた場所です。そんなニュータウンの顔として創建されたこのお寺には、地域のみなさんにとって心のよりどころとなるようにとの思いが込められています。

本尊である聖観世音菩薩は「慈母観音」とも呼ばれており、その名の通り親子の絆を大切にするお寺です。「父母の恩を知り、報恩・感謝の気持ちを養うことこそ幸せである」を教えの基本とする「父母恩重経抄」のお写経を行うほか、先祖供養・水子供養の御祈願などに力を注いできました。

創建当初に行われた落慶法要では、全国から約3万人の参拝者が訪れるなど注目を集めました。潮来を中心とした鹿行地域の多くの人々がご利益や救いを求めて来訪し、そうした方々の支えによって、このお寺はいまも活動を続けることができています。

◆数々の苦難を乗り越えて

しかし、潮音寺が完成してから45年、順風満帆に発展を遂げてきたわけではありません。創建者の没後、時代の移り変わりとともに参拝者の数は減少し、一時は境内も荒れ果てていました。

特定の檀家さんを持たない潮音寺は地域に広く根差して活動していますが、一方でそれは決まった支援者を持たないということでもあります。歴代の住職たちはお寺の衰退を食い止めるべく、試行錯誤して手を尽くしてきました。

その過程で火災や台風など多くの困難を経験し、なかでもひときわ甚大な被害を受けたのが、2011年の東日本大震災でした。

復興をめざす過程で、地域の方だけでなく全国から寄付金などの支援をいただいたことで、壊滅的な損傷を受けた境内の修復も進み、今日にいたります。

震災の爪痕はまだまだ境内のいたるところに残っていますが、道場や鐘楼の再建を行ったことで、お寺としての活動を再開できるようになりました。

◆感謝と祈りを発信する3.11に

そんなお寺が、震災から10年の節目となる2021年の3月11日に、感謝の気持ちを込めてなにができるだろうか? そう考え、「花あかり」を企画しようと思い立ったのです。

潮音寺の歴史について簡単にお話ししてきましたが、いかがだったでしょうか? 次回以降は、震災を通してこのお寺が学んできたこと、そして花あかりで境内に花を飾る理由について、詳しくお伝えしていきます。