●それは2001年の秋の事です...。
▲当時、通っていた大学
遡ること19年前、私は大分県の大学に通っておりました。大分の秋は、台風一過で太陽が燦々と照り付ける夏の残暑がややありながらも、そよそよと冬の始まりを感じさせる秋風がそっと吹き込み、夕方は童謡の「夕焼け小焼け」が似合うほど哀愁に満ちた季節です。
そんな郷愁を感じさせる第二の故郷で、私は3年生として勉強と部活(剣道部)、アルバイトに明け暮れておりました。
「真面目で、純粋で、熱血漢。」そして「からかわれやすく、言いやすく聴いてくれる人」。そんな人間でしたから、部やアルバイト先の先輩からも弟のような目で、可愛がって頂いておりました。
そんな中、10月に開催される剣道三段の審査会が迫り、稽古にも一層の熱が入っておりました。そして気合を入れる為に、公式戦用の袴を新調しようとしていた時の事です。
私は当時、某カレー屋さんでアルバイトをしておりました。他のアルバイトの方々も同じ大学の先輩や地元高校生が多かったのですが、仲良くさせて頂いていたバイトリーダーの弓道部の先輩に三段審査が迫っている話をすると、しばらくして「俺から君に四文字熟語をプレゼントするよ。」と「臥龍奮迅」を授けて下さいました。
「画竜点睛」と「獅子奮迅」を合わせた造語で「最後まで諦めるな」と言う意味だそうです。
私は涙が出るほど嬉しく、今でもその時の事を鮮明に覚えています。
剣道具屋さんに新調した袴の腰板(袴の後ろ、腰に当たる板)にその言葉を刺繍して頂き、その袴を身につけて三段審査に挑みました。
結果は合格。
2回目で合格する事が出来ました。
授けてくれた先輩からは「まっ、俺が考えたんだから当然だな!」と笑いながら言ってくれました。その先輩は卒業後も大分に残り、カレー屋さんの社員として働いていたので、私が卒業し離れる時もお店にいらっしゃいました。
みんなから頂いた寄せ書きには感動の言葉が綴られておりましたが先輩からは「君の人生、これからの方が大変だろうから、俺は"お疲れ様"は言わないぜ!!」と先輩らしい言葉で書き綴られておりました。「仲間とはどうあるべきか」を3年半、肌でしっかりと学ばせて頂けた場所でした。
▲送別会で頂いた寄せ書き
...あれから19年。
アルバイト先の当時の仲間は結婚、出産と家庭を築き、時々連絡を取り合って近況を話したりしていますが、当時の事を話すと今でも盛り上がり懐かしさに浸ります。
そして「臥龍奮迅」の先輩は、17年前に地元の長崎県でバイク事故に遭い、他界されました。
私は先輩から授かった「臥龍奮迅」を一生、私の座右の銘として今も生きております。
個展が終わったら、長崎の墓前で報告をする。私が次にやりたいことです。
この言葉をポストカードに変化させ、カッコつけで仲間意識の強い山﨑先輩の生きた情熱の言葉を皆様にもお届けし、私と共感出来たら幸いと存じます。