2021/03/20 16:32

10年の幸福写真 実行委員長の遠藤綾子です。
14日まで開催された写真展にはたくさんの方にいらしていただき、心より感謝申し上げます。
また、挑戦中のクラウドファンディングを応援してくださった皆さま、本当にありがとうございました。

10年前の3月11日、本来なら夢のある「もしも」という言葉は、私たちにとって最も残酷な言葉になりました。世界は色を失い、口にするものは紙みたいに味がなく、湯船に浸かれば罪悪感に苛まれ、私は二度と心から笑えないだろうと確信していました。

差し伸べてくれる手も、暖めようとしてくれた火も、どんな優しい言葉も岩の心で拒んだまま1年が経った頃、気持ちが変化したのが2012年、けいちゃんこと平井慶祐の小さな写真展でのことでした。そこにあったのは、あんなに大変な時期にもかかわらず被災した人やボランティアが泣いたり、頑張ったり、考えたり、笑っていたり、と豊かな表情を切り取った写真たち。驚きとともに、私は少しずつ様々なことを赦せるようになっていったのでした。



それからいつも3月11日は けいちゃんや大切な人たちが一緒にいてくれて、とうとう来年は10回目のその日だと考えたら、どうしてもあの写真たちに囲まれて迎えたいという衝動が抑えられず。年度内に企画書が間に合わなくて、そこらへんにあった紙に果たし状を書いて けいちゃん家に走りました。



けいちゃんの、こたつを会場に置きたいとか、どんぶく(どてら・綿入半纏)を制服にしたいなんて面白いアイデアはまあ想定内。しかしある取材中、彼が、「写真展では、自身や知り合いが写っている写真があれば持ち帰ってもらおうと考えています。最終日には会場に写真が1枚も残っていないのが夢です!」とニコニコして言い放った時にはさすがに「ちょっと何言ってるかわかんない」状態でした。

それでも、会期が始まるとたくさんの方々が自分や家族、知り合いなどの写っている写真を見つけてはエピソードを話してくれ、嬉しそうに持ち帰りました。何と幸せな8日間だったことか。

私は楽しいことが大好きだったし、何より大事な人が楽しそうにしているのを見るのがもっと大好きだったはず。


最近になってようやく、今の私たちを支えてくれているのは周りの大切な人たちの思いだけど、その礎となっているのは震災前に確かにあったごく普通の、でも素晴らしい日々なのだと気付くことができました。

けいちゃんの写真に確かに残る震災後の自分たちの姿は、きっと未来の自分たちを支えてくれると思います。


大勢が喜んだ3,000と数100枚のプリント代も、皆さまからのご支援で賄わさせていただきます。この数日間は写真展にいらした方からいただいた感想や、クラファンへの応援メッセージを読んで、また笑ったり泣いたりしています。

「もしも」またいつかこんな写真展をやれたらいいだろうなあ!けいちゃんもパートナーのきみちゃんも、素晴らしい実行委員会のメンバーも、そして私も夫もずっと会場で笑いながら幸せな時間をすごしました。

全力で応援していただいた皆さま、本当にありがとうございます。必ず写真展に負けないぐらい良い写真集を作りますからね。

リターンにはなぜか私の果たし(た)状が付きます。
そして、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

■クラウドファウンディング支援者100人!ありがとうございます!
現在達成率35%(3/18現在)
【震災から10年の石巻でつくる「幸福」を願う写真展と写真集をつくりたい】
https://camp-fire.jp/projects/view/388133