本日は素材の話です。
どうなんでしょう。ちょっとマニアックな話かもしれません。
「素材」
作りたいカタチを作るために。
私は、大学・大学院・卒業後の約4年の、10年ほど焼き物での造形をしていました。しかし焼き物での造形は、素材の特性による制限が多く、多くの失敗を重ねました。
そこで、作りたい形、つまり“空間を活かす造形”をするために辿り着いたのが、今の「場所によって素材を変える」作り方です。
この作品を粘土だけで作ろうと思ったら、接合部が荷重に耐えられません。
「 K 」87×48×119cm
小さなサイズならできる造形も、大きな作品になるとそれだけ負荷がかかります。粘土以外の素材を合わせて使うことで、地面と接する面を減らし、空間を作ることができるようになります。
重さの違う素材を使うことで、好きな体勢で立たせる事が出来ます。
一見何気ないこの体勢も、この頭の重さを支え、且つ後ろ脚を浮かせるには重心の調節が必要になります。筋力の存在しない動物造形には、筋力の代わりになる要素が必要なのです。
さらに細かく分ければ、一口に粘土と言っても様々な特性を持った粘土があり、重いもの、軽いもの、硬く十分な強度を発揮するもの、乾燥後でも柔軟性があるもの、弾力があるもの、それぞれの特徴にあった場所にその素材を使います。
(もう一つ、ここまで紹介した「形を作るための素材の使い分け」とは別に、「テクスチャーとしての素材の使い分け」というのがあるのですが、長くなるので割愛します。)
一つ一つその素材のどこが魅力で、それを作品のどこに活かすか。色々な素材を扱うミクストメディアならではの面白さです。私はそこにドップリと嵌ってしまいました。
今後も、作品を作り続ける限り素材研究の日々です。