NAGISA DINING スタッフが奥能登塩田村さんへ”かん水”(塩分濃度の高い海水) を取りに伺いました。
浜士さん自らかん水を汲んでもらえるというので、
すかさず「かん水を汲むところ、見せてもらえないでしょうか!」と、釜屋へ同行させていただきました。
*浜士(はまじ)さんは、製塩の技術者で揚げ浜式製塩の責任者です。
釜屋は、かん水を焚く釜(厚さ1〜1.5cm、直径2m、深さ30cmの平底の鉄鋳物)が置かれている茅葺きの建物です。
釜屋の中へ足を踏み入れた瞬間、厳かな雰囲気に身が引き締まり、塩づくりの歴史とそれに向き合ってきた能登の人の気概を感じます。
「この平釜に入るかん水は、昔の単位で『3石(こく)3斗 (と)3升(しょう)』。」
さんごく、さんと、さんじょ。
さんこく?さんと、さんじょう?
初めて耳にすると聞き取れないものですね。
でも、ものすごく覚えたくなります。
「これを計算してみたら、だいたい600Lになるんよ。」と浜士さん。
1石=約180L 3石=約540L
1斗=約18L 3斗=約54L
1升=約1.8L 3升=約5.4L
599.4L… ホントだ!(家に帰ってよくよく調べて計算した)
釜の容量を昔の単位で教えてくれる浜士さん。
使われている道具に長い歴史があることが、道具愛とともに伝わってきました。
塩づくりの厳しい職人の世界の中へ、温かく迎えてくれる奥能登塩田村さんです。
知ってもらいたい!
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釜屋へかん水が運ばれるまで
海水を汲んで海岸を10回程往復し塩田へ運びます。
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約600リットルの海水を約40分間かけて、塩田に均等に撒きます。
撒いた海水の水分を早く乾燥させるため、塩田の砂に筋目を入れます。
(↑この作業を朝6:00までに完了)
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その後8時間程、太陽にあてて乾かします。
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8時間程度乾燥させた砂「かん砂」を集めます。
集めた砂を入れる「垂舟(たれふね)」と呼ばれる木製の箱を組み立てます。
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砂の入った垂舟の上から海水を流し込み、砂に付いている塩の結晶を垂舟下部の溜池に溜めます。
その溜まったかん水を釜屋まで運んで、釜炊きが始まります。
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かん水は、塩分濃度24%程度になるまで約6時間煮詰め荒炊きをします。
荒焚きしたかん水を一日程度冷まし、竹炭・黒炭・砂が層になった胴桶でろ過します。
このろ過後の貴重なかん水を、
NAGISA DININGの「手塩にかける」塩づくり体験のために分けていただいています。