私は芸能専門学校の他、個人レッスンでも教えています。現在、個人レッスンで40名以上の門下生を教えています。声楽家の他、歌手、俳優、声優、ナレーター等、多岐に渡っています。私は、それらの人々に、それぞれの目的に応じた筋力トレーニング、発声トレーニング、滑舌トレーニング、そして台詞演技に至るまで、あらゆる事を教える事が出来る、トータル・コーチです。私が教える時に心がけている事は、「私が若い時にせざるを得なかった苦労を出来るだけさせない」と言う事です。私の音大時代は、声楽の発声に関するメソッドや演技に関するメソッドが、まだそんなに周知されておらず、教える側も教わる側も、経験とイメージのみで技術を習得するしか方法がありませんでした。私が現在の発声理論や演技理論を構築出来たのは、海外で学べた事が大きいです。どこをどうすればどうなるのか、そのためには何をどうすればどうなるのか、それをはっきりと理論立てて学ぶ事が出来ました。事故で声を失い、そこから復活する過程においても、その頃に得た知見が大いに生きています。またリハビリのおかけで、その知見を更に発展させ、加齢による劣化を極力防ぎながら、品質の高いパフォーマンスを維持できる、総合パフォーマンスメソッドの構築に至ったのです。そうしたメソッドを最大限に駆使して、若い人たちに明確に方法を示しながら、それぞれの進むべき道へ活かしてもらっています。教えていて、若い人たちが活き活きと活躍する姿を見ていると、教師冥利に尽きると言うものです。10月2日のリサイタルには、レッスンに来てくれている声楽家が2名、俳優が2名、それぞれ客演してくれます。彼らのパフォーマンスも、共にお楽しみくだされば嬉しいです。どうぞご支援のほど、宜しくお願い致します。
低音 の付いた活動報告
「歌っていて楽しいですか?」良くご質問をいただきます。ズバリお答えいたしますと、楽しくはないです(笑)。如何にせよ筋肉を使いますので、練習の段階からかなり疲れます。練習を重ねて、やっと歌える状態の筋肉の動きを作り出せた段階でも、やはりそれなりの苦しさを伴います。そんなに苦しい思いをして、どうして歌う事をやめないのでしょうか?それは、お客様の前でご披露して、拍手をいただく事で全て報われるからです。高い山に登って、山頂を制覇したときの様な、そんな達成感に似ています。ですから私は「歌っていて楽しいですか?」と言うご質問には、「楽しくはないです、愉しくはありますが」とお応えしています。歌っている最中は、苦しい事も多々ありますが、歌い終わって、お客様の拍手をいただくと、愉快な気持ちになります。その愉快の「愉」を取って「愉しい」と申し上げています。皆様も、聴く楽しみと同時に、聴く愉しみも見出してみては如何でしょう。歌い手の苦労を知れば知るほど、愉しみも増しますよ。そんな愉しみに満ちたステージ、是非体感してみてください。皆様のご支援、宜しくお願い致します。
私は自他共に認める"遅咲き"です。私は、それこそ声が熟すか熟さないかの時に声を失って、そのあと、声を再生していく過程で、今の発声メソッドにたどり着いて、それがやっと安定してきたのが、50歳を過ぎてからでした。ですので、声楽の世界では、相当な遅咲きと言えます。遅く咲いてしまうと、枯れてしまわない様に、維持するのが大変です。また、新鮮さには欠けてしまいますから、その分損しているようにも思えます。でも、それを補って余りある知見を蓄えることが出来ていたり、表現に必要な情緒も、より豊かになっていることがあるのです。更に、遅咲きの分だけ、素材だけはまだリソースが余っています。特に私はブランクがあるので、素材をそれ程酷使していません。61歳現在、声に少しのかすれも出ていないのです。あとは、出来るだけ長く、身体機能を有効に使えるように、日頃のメンテナンスを怠らないようにして行くつもりです。遅咲きにして"今が旬"。たくさんの方に楽しんでいただけますよう、祈っています。皆様のご支援をお待ちしております。どうぞ宜しくお願い致します。