観音菩薩像の頭部を分離している
(株)文化財マネージメントの宮本です。
本プロジェクトの修復内容として、「像の体幹部と脚部の分離」という工程を予定しており、そのことをプロジェクトの説明でも記載しておりました。
(「修復について」の「B.像の体幹部と脚部の分離」)
しかしながら、クラウドファンディング期間中に先行して進めていた修復作業によって像の状態の詳細がわかったことで、他の方法のほうが安全かつ良好な結果となる見込みとなったため、一部修復内容を変更することになりました。
詳細については、修復を担当していただいている吉備文化財修復所の牧野隆夫さんの下記のご説明をご覧くださいませ。
1.作業内容変更について
・第1期修復では、あくまでもこれ以上の像の損傷を防ぎ、無事に新堂へ戻すことを第一議に考え、体幹部と脚部の分離を断念した。
2.理由としては
・像の部材接合(膠、鉄鎹、鉄釘)の劣化が全体的に進行しており、作業上の大きな振動や分離による重量バランスの変化でより損傷を進行させる恐れがあること。
・今後の移動のために、像の底面に移動時のコロを入れたままであり、また修理作業のため、底面から像内に出入りを行う必要があり、作業台上に大きな開口部を開けてあるので、分離時に像を支え切れる確信が持ちにくいこと。
3.代替作業
・代替案として頭部を抜くことにより、新堂への搬入作業が格段に楽になるため、その方法に切り替えた。
・観音菩薩蔵頭部の取り外しに続き、11月5日、本日薬師如来像の頭部も分離できた。
4.今後の作業
・像内部の強化
・新堂搬入のための準備
※画像はいずれも吉備文化財修復所から提供いただきました。