“パァーン!”
国道13号信夫通り直線240メートル。
ペース配分?勝利の方程式?
レース前に考えた戦略なんて忘れた。
頭の中は真っ白だ。視線の先にあるのはゴール。最初から全力だ。
何も持たず一人で走れば、ぜんぜん辛くはない距離。
だけど今は10人で100kgの大きなわらじを運ぶ。
それがなかなか進まない。
まだ半分?脚が動かない、肩が痛い、ゴールが遠い。
一人だったら、とっくにやめてる。
だけど今はみんなで担いでる。
自分が諦めたらわらじは落ちる、歩みは止まる。
まだ走れる人がいても止まる、、、力を緩めちゃダメだ。
肩が擦り剥けようが、脚が壊れようが、
先頭の自分がわらじを担ぎ動き続けているかぎり、
どうにでもなるんだ。
とにかく前へ前へ、がむしゃらにゴールまで行くんだ。
このわらじをみんなでゴールまで担ぐんだ。
目指すは『優勝』それだけだ!
キャストリーダーのアニマルと僕は、
震災前から福島の社会人陸上チーム『Golden age』で
毎年「わらじ競争」に参加していました。
今年8月、『Golden age』は8回目のわらじ競争に出場。
これまでに5回の優勝もしました。
社会人になっても、同じ「優勝」という目標を持つ仲間と
1年に一度集まって担ぐ「わらじ」。
みんなと走るのが楽しくて、自分たちの力を試したくて担いでいた「わらじ」。
僕自身アキレス腱を切って走ることが怖くなった時も、みんなと一緒にわらじを担ぎたい一心からリハビリをしました。
それは自分を高め、自分の限界に挑めるステージだったと思います。
そして12月。
9回目のわらじ競争。
ロメオとして担ぐわらじ。
それは『優勝』するために担ぐわらじではない。
視線の先にゴールは見えない。
見えるのは鏡に映るロメオのみんな。
職業も年齢も性格もバラバラだけど、ただ一つ、同じ想いで福島を担いでいる。
「福島が…この街が大好きだ...」
福島をかつげるほど大した男じゃないけど、それしか方法を知らない。舞台のためのお金の集め方も、上手な集客の仕方もわからない。今回の脚本・演出家の夢さんを信じて、12月まで走り続ける。
それしか方法を知らない、僕たちロメオパラディッソ。
けれど、一人でもロメオを楽しみにしてくれている人がいるなら、何もわからなくても前に進むしかない。
この「わらじ」は、自分たちのためだけに担いでいるものではないんだと、今回強く感じる。
ロメオを通して出会えた福島愛に溢れる人たち。
綺麗な自然や街中・駅を活かしてイベントを開いたり、美味しい果物で福島をPRしたり、演劇や音楽の力で街を盛り上げたり。
みんな福島が大好きで、福島を笑顔溢れる街にしようと頑張っている。
普段はロメオの活動に興味無さそうにしているのに、イベントや舞台には必ず足を運び応援してくれる家族。
そして、舞台を楽しみに待っていてくれる友達。
ロメオを楽しみにしてくれる人がいるから、担ぐ「わらじ」。
その重さは、この街を、福島を愛する人たちの想い。
わらじ競争のようにゴールして解放されるモノではなく。
いつも心に寄り添い、あたたかく、心の中にいつもある。
ずっとずっと受け継がれていく想い。
応援してもらっているこの恩は、僕たちがステージの上で最高のパフォーマンスをすることでしか返せない。
ロメオを続けてきて気づいたこと。
きっと僕は、自分のためだけではなく、
自分の中から何か伝えたいことがあったのかもしれない、、、と。
いま、その伝えたいものはなんなのか、それはまだわからないけれど、
舞台の上で「わらじ」を担ぎ切った時、見えるのかもしれない。
わらじに想いをのせて
僕たちロメオパラディッソが、福島を担ぎます。
最後まで、応援宜しくお願いします。
ロメオパラディッソ アキレス
■ロメオパラディッソ第4回本公演【WARAJI BOYS〜オレたちの一番熱い夏〜】
作・演出:夢麻呂(『熱ら。』)
開催日時:2017年12月2日(土) 1回目公演/14:00~ 2回目公演/18:00~
12月3日(日) 3回目公演/13:00~
会場:福島県教育会館 大ホール
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