2021/08/05 08:59

今からさかのぼること、35年前の1986年。

私が初めて持ったクラスにM君という華奢な体つきをした小さな男の子がいました。

この子は、周りの子と一緒に遊ぶよりも、自分の世界に浸って、一人遊びを好むような子でした。

当時、半ドンだった土曜日の午前の授業が終わっても、帰宅しようとせず、いつまでも教室に残って帰ろうとしません。

教室の後ろの床の上で、一人遊びをしています。

「早く帰りなよー。」

と声をかけますが、返事がありません。

近寄ってみると、床の上で消しゴム人形でサッカーをやっています。

「ほらほら、教室の中ではサッカー禁止でしょ。」

そう言って帰らせようとすると、

「違うもん。サッカーじゃないもん。ゴルフだもん。」


結局、まだ学校に残っていたいだけなのでした。


このM君、たった一年間受け持っただけなんですが、私に会うために、数年前に、カンボジアにまでやってました。

現在、二人の娘と奥様と4人で、アメリカで暮らしています。

某大手企業の海外駐在員として働いているようです。

当時、私のベルトラインほどだった背丈も、追い越すほどに。

そして、こちらの長女。

当時のM君と同じ年で、体型や面影が瓜二つ。

しかも、不思議なことに、しぐさや一人遊びに浸る姿なんかは、当時の彼を彷彿させるんです。

私はタイムスリップしたかのように、1986年当時の彼の言動と重なりました。それは、とても不思議な感覚でした。

話をうなずきながら聞いてあげると、独り言のように次々と話してきます。それも、当時の彼と同じ。

聞いてあげる、受け止めてあげるというのは、最高のコミュニケーションなんですね。

私のイメージは、当時の彼そのもの。

「ねえ、ねえ、明日も来るでしょ。」

「私、ずっと一緒にいてほしいんだけどな。」

と、素直な気持ちをそのまま言葉にする娘さん。

一日行動を共にし、ナイトマーケットで食事をした後、お別れしました。

M君ファミリーは、この後、シェムリアップへ。

私にとっては、とても不思議な体験でした。

今、私がカンボジアで支援活動をやっているということに対しても、彼からは一切のコメントはなし。

ただ、微笑みながら聞いているだけ。是もなし可もなし。

おそらく、当時の私が、子どもたちに伝えていたこと。

「今のあなただから輝いているんだよ。」

そのマインドが、彼の中に生き続けているんだと思いました。

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