はじめに
皆さんは広島市にある原爆ドームを訪れたことがあるでしょうか?
1945(昭和20)年8月6日、原子爆弾の投下によって一瞬にして焼け野原となったこの地は、現在では平和の祈りが日々捧げられる穏やかで美しい場所となっています。
しかし、原爆が落とされる以前、この場所にはごく普通の人々の生活が存在していました。
江戸時代に広島藩では能役者を抱え、広島城大手門につながる地に能楽師や囃子方、能装束や楽器類の細工師を住まわせて能楽に関わる町づくりを進めました。その場所こそ、現在原爆ドームが佇んでいるかつての「猿楽町」「細工町」です。能楽は広く広島の芸能として親しまれ、猿楽町・細工町は生活の中に謡曲や囃子の音が聞こえてくるような、能楽が暮らしに息づいている町でした。
明治維新を経て大正時代に入ると、この場所に広島県物産陳列館、のちの広島県産業奨励館(原爆ドーム)が建設されました。美術展会場や演芸ホールに使用される等、文化活動の拠点として町はさらに賑わいを見せていきました。
このような歴史や能楽の文化、その地に住んでいた人々の生活は、原爆と共に跡形も無くなりました。「猿楽町」「細工町」という町の名前も1965(昭和40)年に廃止され、当時を知る人々も少なくなっています。
このままでは、確かに存在していたこの町の文化や歴史は失われ、町の人々が能楽を身近な芸能として親しんでいた事実も忘れられてしまうーーそのような危機感から、原爆ドームが世界遺産に登録されて25周年となる2021年、当時原爆ドーム横に住んでいた被爆住民や広島市の文化団体が中心となり「爆心地鎮魂薪能実行委員会」を立ち上げました。
このプロジェクトで実現したいこと
「爆心地鎮魂薪能実行委員会」では、かつての「猿楽町」「細工町」である原爆ドーム横に特設能舞台を設けて薪能の上演を目指します。上演の模様は日本ひいては世界中の人々にご覧いただきたいため、無料ライブ配信を行います。
開催日時は2021年(令和3年)11月15日(月)18時から19時40分頃を予定しています(雨天の場合は順延)。能舞台は原爆ドーム隣接地に仮設し、本来老松の描かれる鏡板に該当する場所に原爆ドームを配します。なお、会場周辺にスペースが少なく往来も激しいため、敷地内に客席は設けません。
上演するのは「高砂」と「羽衣」の2演目です。
広島には能楽に所縁がある地名が現在も多数残っていて、川の町・広島地形のかなめ相生橋は、名曲「高砂」の主題である“相寄り相和する”に通じます。「羽衣」の選曲は、浅野藩政時代に広島湾の吉島新開の海辺にあった浜御殿の地名命名に際して、藩公があたりの景観が能羽衣の舞台によく似ていた(東には仁保の浜辺、白砂青松の風景、沖合には安芸の小富士似島など)ところから、命名された言い伝えによります。
演能は、江戸時代から広島藩に縁が深くお家流として重用された喜多流の能楽師を中心に行います。「高砂」の後シテは喜多流大島家5代目・大島輝久、「羽衣」のシテは喜多流初の女性能楽師・大島衣恵が舞を披露します。
撮影には4Kカメラを用い、上演の模様はYouTubeで無料ライブ配信を行います。「高砂」「羽衣」のみならず、演目の解説や喜多流大島家の皆さんへのインタビュー、能楽どころ広島の紹介、原爆による被害等の映像も20分程度制作し放送する予定です。
なお、原爆ドームは世界遺産であり、管理者である広島市の協力が不可欠なので、公演は広島市との共催で実施します。
資金の使い道
「爆心地鎮魂薪能」の上演に際しては、能楽師の出演料や能舞台の設営費、4Kカメラによる撮影等多額の費用が掛かります。鑑賞料もいただかないため、広島市の協力が得られるとはいえ、それだけでは到底不十分です。そこで、広島市内外の多数の企業に協賛を求めるとともに、このクラウドファンディングでいただいた支援金を上演に活用させていただきます。
私達実行委員会では、この「爆心地鎮魂薪能」をこの事業の趣旨に共感いただける皆様と共につくり上げていきたいと考えています。一過性のイベントではなく、多くの方に「猿楽町」「細工町」のことを知っていただき、平和への思いとともに未来に残していきたいからです。ご協力をよろしくお願いいたします。
リターンについて
支援をいただいた方には全てお礼のお手紙をお送りし、お名前を「爆心地鎮魂薪能」のホームページに掲載いたします。
また、5万円ご支援いただいた方には、公演の模様を収録したDVDをお送りいたします。こちらのDVDはライブ配信した映像をさらに編集し、配信の中で放送予定の演目の解説や喜多流大島家の皆さんへのインタビュー、能楽どころ広島の紹介、原爆による被害等の映像も収録しています。
なお、DVDの著作権に関しましては、爆心地鎮魂薪能実行委員会が所有するものとし、複製、転売、改変などの行為を禁止致します。
最後に
原爆ドーム横で能楽を上演することにより、「ヒロシマ」にもかつてはごく普通の人々の生活が存在し、そこには能楽という豊かな文化が育まれていたことを知ってもらう契機としたいと考えています。そして、その歴史を次世代へと継承し、平和を希求する祈りとして全世界へ発信します。
皆様からのご支援をよろしくお願いいたします。
■ 特定商取引法に関する記載
●販売事業者名: 爆心地鎮魂薪能実行委員会
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●対価以外に必要な費用:プロジェクトページ、リターンに記載のとおり。
<プロジェクトオーナーについて>
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<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
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