ボンダンス映画祭で私の『ケムール博士』がグランプリ受賞した時のプレゼンターが『恋の渦』『身体を売ったらサヨウナラ』の華麗なる映画女優・柴田千紘さんだった。以前パーティで会って以来、常に海外にいるのでなかなか会えずやっと再会出来たので、高円寺で一番ビールの安い店で酔っ払いインタビュー。
ー幼少の頃は?
柴「今と同じで何でもかんでもやりたいタイプ。物欲はその頃からそんなになかったらしく持ってたお菓子を周りに配った結果なくなって「まあいっか」が口癖だったらしい。なんてけなげな子なんでしょう(笑)小さい頃はバレエとピアノを習ってて、絵本やアニメ(クレヨンしんちゃん、カートゥーン系、ディズニー、ちょっとブラックな実写版のグリム童話、たこ焼きマントマン、幽遊白書など)も沢山見た。
小学三年生までは正義感に溢れて真面目だったけど親戚に赤毛のアンって言われる位妄想家だったみたい。小三の担任の先生が凄く自由な人で、女性だけどトライアスロンみたいな競技に出て超人認定貰ったり、富士山の頂上で水着で写真撮ってたり、台風の日に「こんな日は外で雨や風や直接感じた方が学べる事がある」って勝手にクラスの子たちを早退させて翌日校長に叱られてたり。彼女のおかげで私も視野を広げたんじゃないかなって。
教育や環境って本当に大切。高校の時の担任には世間に踊らされるしかない時も知って踊ろうよ、って言われたのとか。今でも覚えてる言葉はいくつかある」
ー中高生時代は?
「中学校の時、新入生代表の言葉も私が読んだから違う小学校だった人達は余程私が出来る子だと思ったのか、友達になった子に「お母さんに千紘ちゃんと仲良くしなさいって言われた」とか言われた!
その影響ですんなり学級委員長になったのに、二週間後に「生活態度があまりに学級委員に向いてない」らしくクビになりました。歴代最短記録を打ち出したそうです。帰りのHRも自分のクラスにじっと居られなくて好きな人がいるクラスに入ってべったりしていたんだけど、ある日ほかのクラスのドアに「柴田立ち入り禁止」って紙が張り出されていてあんぐりしましたね。次の日からはベランダから入ったけど。
あ、中学の三年生になる春あたりに国民的美少女コンテストを受けて途中の電話スカウトでオスカープロモーションに所属しましたね。その前にモー娘。を受けていて36人とかまで残って落ちたばかりで。なんかオーディション自体もイベント的に楽しかったのかも。
高校は芸能系の専門学校みたいな所でドラムや歌や演技やアクションやダンスが授業。
製作をして発表するのが日常。男女の境がなかったとゆうか、まあ実際にLGBTも身近だし、舞台裏で役者やモデルがいちいち男女気にせずに下着になって着替えるのと同じですよね。脇毛を隣のクラスの男子に抜いてもらったり。自分でやってたら目がよってなんか、ロンパっちゃうんで。全員で仲良しだったのでグループとかを作ったり関わらない人ってほぼいなかった。短所をそれぞれ知ってて嫌いなところがあっても長所や個性も解ってて、限られた人数で3年間も色んなもの(舞台やバンドとか)を作るには、この役ならこの子っぽい、この役割ならあの子が最高、って常にプロデューサーみたいでないといけないからかな。だから全部見られるし見てるし許しあえるぶん甘えちゃうし、ほんと親戚みたいでしたね。
男女の壁も、美化された憧れも無かった。机に足あげてたらパンツ丸見えだし。女子がオナラして失敬!とか言ってたり。女子校ですよね普通の感覚だと」
ー今、一番関心があることはなんですか?
柴「関心はかなり幅広くあるんですけど、なんでしょう。世界平和が人生の目標の遠くにでもある人達と繋がっていったり何かをするのがめちゃくちゃ面白いです。地球のこととか。世界平和をビジネス面で進められそうな人や、戦争を失くす数式をといちゃった人や、感謝の輪を広めてる人や、助け合うコミュニティを作ってる人や、アーティスも起業家も博士も、私の友達皆めちゃくちゃ面白いんです。好きな人といる。そんなな仲間でなにか作る。そしたらその力がなにか平和に繋がったりまたヒントが貰える。そうやってパワーアップしていくのが面白いし、幸せです。」
ー映画出演はいつから?
「自分で見つけて受けていた松永大司監督のワークショップの直後に、松永監督に素晴らしい監督がいるから受けてみたら、と教えて頂き、『息もできない』のヤンイクチュン監督のWSに行ってそこで選んでもらって主演した『しば田とながお』ですね。脇役でならその前にもちょこちょこあるんですけど。深作監督で向井理さん主演の、カンボジアに学校建てる映画とか。。
「しば田とながお」は私の名前もそのまま使ってもらって。撮影やプライベートの時間を通してヤン監督が大好きになりましたね。周りの人もみんな大好きだと思う。ヤンさんの子犬みたいな儚さと優しさとチャーミングさが伝わる作品だから是非みんなに観てほしいです。18分って短さで上映する機会があんまりないのが残念、、」
ー女優として憧れの人とかやりたい役はある?
柴「クリスヘムズワースと共演させてくれたらなんでもいいです。よろ!(笑)…『もののけ姫』みたいな神秘的で野生的な役がやれたら最高ですね。とてもピュアな気持ちの人達と撮りたい。 世界と時代に残せるものがいいです」
ー本も書きますね?
「光文社さんから短編小説の文庫本(ショートショートの宝箱)とか。短編なので基本的には少しゾッとするのとかことわざみたいな変わった話が多いですね。世にも奇妙な〜にありそうなやつ。二冊目のではスピリチュアルなかんじのメッセージを本当はたくさん込めて迷路みたいにしてたんだけどそしたら長くなっちゃってがっつり切られたので迷わせっぱなしかも。。
あと、最近旅の本も自費出版しました。文は私が書いてるけど、写真は各地で出会った写真家さんたちにそれぞれ撮ってもらってるので、一冊で何人かの写真家さんの違いを楽しめるのもいいかと。HIT AND RUN宜しくお願いします。」
ー好きな映画は?
「中学の頃はジョニーデップが大好きで、ギルバートグレイプとか妹の恋人とか耳に残るは君の歌声とかほとんど観たけど、キャンディ(ヒースレジャー主演)、ブルーに生まれついて(イーサンホーク)、ベティブルー、華麗なるギャッツビー、ロミオとジュリエット、みたいな破滅的なんだけどものすごく優しくて純粋な人間の映画好きですね。そうゆう俳優が好き。あと単純にファンタジーっぽい可愛いパッケージや美術のはすぐに手が出る。Dr.パルナサスの鏡とかミックマックとかコープスブライドとか。一時期エンターザボイドやラスベガスをやっつけろみたいな映像アートみたいなのにも惹かれてた」
ー何故いつも旅に出てるんですか?
「まあ冬は寒いから暑いところに行きたいとか見たことのない景色が見たいとか単純な事ですけど、生きてる実感したかったり脳を肥大化させたいからかな?安全すぎる世界で生きてたら想像力を失って脳が縮むらしくて、実際に現代縮小してるとか聞くじゃないですか?五感も六感も、たまには使ってあげたいし、この自然の中でいたら数時間で死ぬなぁとかこの高さから落ちれば死ぬなぁとか当たり前な恐怖をちゃんと感じていたい。想像力を失くす人生が一番いやかも。
一人で旅してると旅先でも泊めてくれる人、奢ってくれる人に出会えてどの国の人にも感謝できるし、それを伝えたいのもある。まさにそんなところから旅の本を出したんですけどね。韓国と日本が喧嘩してても、こんなに韓国人に親切にされたよ、とかね。私のことを大切に思ってくれる人と感謝を共有できたら。
岩手の座敷童旅館では座敷童に会いました。会うと良い事あるらしいのに、その直後に婚約破棄になりました」
*締めのなんちゃら
「面白い事が出来る仲間は随時募集中です。許しあえる優しい世界で嘘なくやりたい事をしていたいですね。皆さんも脳がちっこくならないように自然の中で生きてください!そんで生かさせてくれてる地球に少しでもいいものを与えて地球人を終われるように、なんか皆で考えたいな。武器を作ったり、欲張って奪い合ったりじゃなくて、そうゆうことに手を取る時代だと思います。」
旅人女優柴田千紘を応援しよう!
●プロフィール
女優、酒飲み、旅人、小説家
映画『恋の渦』『身体を売ったらサヨウナラ』等出演。
「ショートショートの宝箱」執筆。
旅本「HITANDRUN」が秋葉原ブックタワー、神保町書泉グランデで発売中。直に会って値切り交渉可能。