本当に悲しく、信じられない事が、今もこの国では起きています。公然と。写真は、数年前ではありますが、ある水族館で目にした光景です。生きているアメリカザリガニが、クサガメたちがたくさんいる水槽に無造作に投げ込まれました。自然界では逃げる事も可能ですが、ここはカメたちの水槽でカメがウヨウヨいるばかりか、逃げ場はどこにもありません。ザリガニは、カメたちに噛まれ続け、身体の部分部分をだんだんと失っていきました。最初は、10本ある脚の後の方の脚から、やがてお腹、胸と、自分の身体が少しずつ減っていくのを自分で見ながら、その恐怖と屈辱と哀れと痛みを感じながら、絶望の中で飲み込まれました。今も多数の水族館で公然と、あるいは隠れて、このような惨劇は行われ続けています。もしこれが、他の動物であったなら、おそらくお客さんからの苦情でこの残酷極まりない所業は、大問題となるでしょう。しかし、残酷に殺されているのがアメリカザリガニの場合、何の問題視もされる事はありません。それは、政府やマスコミが植え付けた『外来種=厄介者、迷惑者=殺して解決』という暗黙の方程式が我々の頭の中に潜在的にあるからではないでしょうか。TVでも、例えば、池の水を抜くような企画において、アメリカザリガニは厄介者だとか、迷惑者と形容され、『外来種であるアメリカザリガニは全部処分されました』というたった1行のナレーションで片付けられています。確かに外来生物は、本来の生態系を乱したり壊したり、在来種を減らしたりします。しかし、外来生物が好き好んで日本に来たわけではなく、日本人の身勝手で連れて来て、挙句、拡散させてしまったわけで、誰がどう考えても彼らこそ被害者な筈です。そんな被害者を加害者が捕獲しては殺したり、命を冒涜する殺し方をしたり、全部殺せば良いという考え方をしたりするのは、私は、人として恥ずべきだと思っております。人間って、なんなんでしょう?そんなに偉いのでしょうか?かつて、アメリカザリガニを保護しようなどというプロジェクトはこの国に存在したでしょうか?少なくても私は聞いた事がございません。おそらく、誰もが馬鹿馬鹿しいと思い、やっていないはずです。ところが今回、そんな馬鹿馬鹿しいプロジェクトに今現在、55名様という多くの方々が賛同し、大切なお金をご支援くださいました。キャンプファイヤーの片隅で行われているこの小さなプロジェクトにご賛同してくださいました55名の心有る方々に、私は同じ国に生きる人間として、誇りを感じます。そして、多大なる感謝と敬意を表したいと思います。本当にありがとうございます。残りあと1日、どうぞ応援よろしくお願い申し上げます。 2021年11月28日 佐藤栄記