2021/11/10 20:06

私たち禅僧は、常に自然に学んでいます。蜜を求めて花々を飛び回る蝶の姿、池の底に映った月の光、山奥の鳥の声や険しい岩山に根を下ろす松の姿。そうしたものに、仏教の教えの答えを見ています。

私たち、臨済宗の修行は坐禅と作務が両輪です。作務とは、自然の中で掃除をしたり、木々の手入れをしたり、野菜を育てたりする作業のことです。作務を通して自然に触れることで、ただ坐っていても気づかない真理が見えてくることがあります。また、自然の中で無我夢中で働いていると気づかないけど、その後静かに坐っていると、ふと気づくこともあります。

どちらが欠けても、悟りに至る道は険しくなります。

テントサウナを川原ですることは、実は大変な苦労を伴います。河川法のため川原にテントを張ったままにすることができません。2日続けて体験の予約が入っていたとしても毎日テントを畳まなければいけません。

そして天候に左右されやすく、雨が強い場合、風が強い場合、晴れていても川が増水している場合は体験を行うことはできません。しかし、禅の思想をベースにした体験ですから、やはり自然を全身で感じることが、体験の一番重要なことですから、大変だからと言って、このスタイルを変える気はありません。

日々変わる川の水温や流れ、鳥の声や雲の流れ、川を泳ぐ魚の姿に癒やされて欲しいですし、日々の生活の中で気づくことの出来なかった大切なことに気づいて欲しいです。キャンプで大泰寺に遊びに来た子ども達は、川にいる魚を見て「あ、魚がいる!」と歓声を上げます。なんと単純なことで喜んでくれるのかと、うれしくなります。その童心、私たちも持っていたはずです。大事なこと思い出しましょう。