2021/10/24 13:59

こんにちは!YSCグローバル・スクールの田中宝紀(たなか・いき)です。

今日は先日、私がオーサーを務めているYahoo!ニュース個人にて公開した「【2021衆院選】有権者ではない日本社会の一員「外国人」のことどう見てる?ー外国人関連公約・政策比較」をベースに、“スピンオフ”版として、迫る衆議院議員選挙に際し、各政党が海外ルーツの子どもに関連するキーワードをその公約や政策集に盛り込んでいるかどうか、どのような内容で記載しているのか等をまとめました。

クラウドファンディングは目標金額の【30%】になりました!ご支援くださっている皆様、本当にありがとうございます。政策面では年々充実し始めている海外ルーツの子ども支援ですが、現場レベルでは「まだまだぜんぜん、あれもこれも足りてない!」状況が続いています。

一日も早く全面的に、公的支援の手が伸びるようにと祈りながらも、それまでの間、今目の前で苦しい状況の子どもたちを放っておくわけにはいきません。

学校や地域での支援にバトンタッチができるその日まで、YSCグローバル・スクールはオンラインも活用しながら子どもたちへ手を伸ばして行きます。ぜひ引き続きの応援とご支援をどうぞ、よろしくお願いいたします!

Yahoo!ニュース個人で公開した記事。2017年衆院選、2019年参院選でも比較を実施しました。

長きにわたる政策不在から前進なるも…

海外ルーツの子どもに関する課題は山積で、受け入れ体制の地域間格差や、日本語教育や学習支援機会の量と質、不登校や不就学の課題や高校進学の壁、高校入学後の中退率の高さや大学・専門学校への進学率の低さなどにとどまらず、母語・母文化継承にまつわる課題や海外ルーツの発達に凸凹のある子どもたちのこと、外国人学校等で学ぶ子どもたちの環境整備のことなど、挙げればきりがないほどです。

そしてその多くが、長年可視化されてこなかったために、限られた自治体や学校現場、支援団体のみが熱心に取り組むばかりで、政府による関与は非常に限定的でした。その結果、多くの「海外にルーツを持つ“元”子どもたち」が来日後、苦しく大変な思いをし、今でもその影響が残る方々も少なくありません。その「政策不在」に変化が見られたのが2018年。政府が外国人材の受け入れのために大きく門戸を開放しはじめ、「外国人(労働者)の子ども」にかかわる様々な取り組みが拡充、新設されてきています。

そんな中で行われる2021年衆議院議員選挙。「有権者ではない外国人」を親に持つ子どもについて、各政党の視点はどのようなものとなっているでしょうか。それぞれホームページからダウンロード可能な公約・政策集や、ホームページ内の政策等から海外ルーツの子どもに関連するキーワードへの言及の有無をまとめました。投票の際の参考になれば、と思うと同時に、この記事をきっかけに、少しでも海外ルーツの子どもたちについて関心を持っていただければ嬉しいです。

(注)

*「●」はマニフェストや政策集、ホームページ上の記載など「一般有権者」としての私が入手可能な資料において、関連キーワードの記載が見られたものです。

*「-」は記載なし、または海外ルーツの子ども等を対象として特定できなかったものですが、必ずしも政策集等の中で「まったく記載がない」とは限らず、表現から明確にカテゴライズできなかったものを含みます。詳細はぜひ下記または各政党ホームページ等でご確認ください。

*以下、斜体は各政党政策集等からの転載です。

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就学対策についての言及

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【自由民主党】

「日本に在住する外国人が社会に溶け込み、また活躍する環境を整備するため、外国人の就学を促進するよう、地方自治体における多言語の就学案内の送付や就学状況把握などの取り組みを支援します。」(J-ファイル120ページ)

【立憲民主党】

「中長期に渡って日本で暮らす外国人が増加していることから、外国人の子どもの就学機会の確保や就学支援、学習支援を行います。」(政策集27ページ)

【共産党】

「外国人の子どもへの教育条件の整備――このほど国は、日本に居住する外国籍で義務教育年齢にあたる子どもたちのうち、学校に通っていない子どもたちは約2万人にのぼることを明らかにしました(文科省推計)。内外人平等を保障した国際人権規約、子どもの権利条約にもとづき、公立学校への受け入れ体制の整備、外国人学校への支援、日本語教室設置、公立高校への入学資格の改善など在日外国人の子どもの教育を保障します。」(分野別政策56,教育)

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(コメント):就学対策については、共産党の記載の通り2019年の文部科学省の調査によって、義務教育年齢にある外国籍の子どもの内、約2万人が学校に通っているかどうか自治体が把握していない、不就学の可能性があることが明らかとなって以降、その取り組みが加速している課題です。

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(子どもの)日本語教育、学習支援等についての言及

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【自由民主党】

「公立学校における外国人の子供の日本語能力や学力を保障するための指導を行う教師や指導員・通訳等の配置やICT機器・教材の活用など、学習者の日本語能力に応じたきめ細かな受け入れ体制を構築します。」(J-ファイル120ページ)
「様々な困難を抱える人々も含め全国民の学びを保障するため、子供向けから大人向けまで多様な動画教材や学習講座を紹介するポータルサイトを整備し、地域・障害・言語などの壁を越えて学びの機会を提供します」(J-ファイル155ページ)

【公明党】

「外国人やその子どもたちが日本語を学べる機会を充実し、日本語教育水準の向上を推進します。あわせて、日本語教師に関する資格制度の創設に向けた検討や日本語教育機関の振興と活用を進めるための支援を行います。」(政策集41ページ)

【立憲民主党】

「外国人労働者の子どもについては、学校教育の機会を保障するとともに、その受け入れ体制の整備を行います。」(政策集27ページ)

「母語・母文化を尊重しながら、すべての外国籍の子どもの就学と日本語教育の充実のための公的支援を整備します。」(政策集75ページ)

「海外在留邦人子女に対する日本語教育支援や、在外邦人コミュニティとの連携強化を推進します。」(政策集69ページ)

【国民民主党】

「障がい、ヤングケアラー、不登校、引きこもり、外国ルーツ、性的マイノリティなどの子どもが互いを理解し、共に学べる環境をつくります。」(重点政策6ページ)

【日本共産党】

「地域での円滑な日常生活をおくるために、夜間中学などを含め外国人労働者・家族の日本語教育の充実を図ります。」(分野別政策69、外国人問題)

「外国人児童の学校教育、外国人学校の支援に取り組みます。」(分野別政策69、外国人問題)

「内外人平等を保障した国際人権規約、子どもの権利条約にもとづき、公立学校への受け入れ体制の整備、外国人学校への支援、日本語教室設置、公立高校への入学資格の改善など在日外国人の子どもの教育を保障します。」(分野別政策56、教育)

【れいわ新選組】

「インクルーシブ教育を推進し、障がいの有無や、民族性、性自認などの違いがあることが、子どもたち相互にとっての利点と思えるような学校づくりをめざす。」(れいわ子ども・教育政策)

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(コメント):自由民主党、立憲民主党、共産党は学校教育での受け入れ体制に言及しています。公明党は大人を含む日本語教育機会の質の向上を含む充実に、立憲民主党は母語・母文化の尊重と共に就学・日本語教育の公的支援機会と、海外在住の日本にルーツを持つ子どもの日本語教育支援について言及した点が特徴的です。また、国民民主党とれいわ新選組はインクルーシブ教育の観点から、他の困難を抱える子どもたちと海外ルーツの子どもを併記する形で記載しています。

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夜間中学、高校についての言及

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【自由民主党】

「高校・大学等への進学の促進を行うとともに、キャリア教育支援を充実することにより、将来、わが国の社会での活躍を目指した学習意欲の向上を図り、日本人の子供と外国人の子供がお互いに学びあい、切磋琢磨しあう環境づくりに取り組みます。」(J-ファイル120ページ)

「2016年4月に制度化された小中一貫教育を地域の実情に応じて積極的に推進すると共に、フリースクールやインターナショナルスクール、フリーアクセスができる教育クラウドの作成などの学校外教育の環境整備、夜間中学の設置促進・教育活動の充実、飛び級の制度化など、個人の志や能力・適正に応じ、様々な挑戦を可能とする学びの保証システムを実現します。」(J-ファイル115ページ)

【公明党】

「不登校経験者や外国人の方などの学ぶ機会を確保するために重要な役割を果たしている夜間中学校を5年以内に全ての都道府県・政令市への設置をめざします。」(政策集41ページ)

【立憲民主党】

「学齢を超過した後に就学を希望する人に対する教育機会の確保を進めるため、全都道府県での夜間中学の拡充を図ります。」(政策集75ページ)

【日本共産党】

「夜間中学は、戦争の混乱や経済的な理由により教育を受けられなかった多くの人、不登校の子ども、障害者、中国帰国者・在日外国人らにとってかけがえのない義務教育の場となっています。ところが公立夜間中学は全国にわずか34校しかありません。2016年12月に成立した教育機会確保法を生かし、全県での協議会設置と公立夜間中学開設を急ぎます。また、就学援助の年齢撤廃、夜間中学の教員配置と研修保障、在校生の八割を占める外国籍の生徒に対応した日本語指導教員等の配置、バリアフリー化、自主夜間中学への公的支援の実施をすすめます。」(分野別政策56、教育)

【れいわ新選組】

「なんらかの事情で学びを断念した人が、いつでも学べる機会・学びなおせる機会を保障する。夜間学校や二部授業の復活など。」(れいわ子ども・教育政策)

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(コメント):自由民主党は高校・大学等への進学促進と、キャリア教育に言及。夜間中学の全都道府県での設置について、立憲民主党は拡充を図ると記載した一方で、公明党は政令市への設置も含め、5年以内に行うと明記しています。共産党は夜間中学の教員配置や日本語教育にまで踏み込み、最も具体的な記載が見られました。れいわ新選組は二部授業の復活を含めた学習機会保障について言及しています。

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外国人学校等、学校外教育施設についての言及

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【自由民主党】

「外国人の子供の健康の確保のため、外国人学校の保健衛生対策の取り組みを進めます。」(J-ファイル120ページ)

(再掲)「2016年4月に制度化された小中一貫教育を地域の実情に応じて積極的に推進すると共に、フリースクールやインターナショナルスクール、フリーアクセスができる教育クラウドの作成などの学校外教育の環境整備、夜間中学の設置促進・教育活動の充実、飛び級の制度化など、個人の志や能力・適正に応じ、様々な挑戦を可能とする学びの保証システムを実現します。」(J-ファイル115ページ)

 【公明党】

「外国人の子どもの健康確保のため、外国人学校の保健衛生対策の取り組みを進めます。」(政策集41ページ)

【共産党】

外国人児童の学校教育、外国人学校の支援に取り組みます。(分野別政策69、外国人問題)

【社会民主党】

外国人学校を含む小学校から高校までの学修費(学校教育にかかる総ての費用)並びに高等教育の授業料の漸進的無償化を進め、子どもたちの学ぶ権利を等しく保障します。また、義務標準法の総額裁量制の廃止と教員定数の引き上げによって20人以下学級を実現し、教員が子どもたちの声に耳を傾け、応えられる学校環境を整えます。(基本政策)

【れいわ新選組】

「ヘイトスピーチ解消法」だけではなく、更に外国人差別をなくすための法律が必要です。また、各種学校である外国人学校 (朝鮮学校含む)についての学費無償化対象に加えます。(れいわ外交政策)

「フリースクールやコミュニティスクール、民族学校など、多様な「学校」を認め、公的に支援する。」(れいわ子ども・教育政策)

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(コメント):自由民主党および公明党は外国人学校の保健衛生対策について言及。これは現在、文部科学省内に有識者会議が設置され、その方策等について検討が進んでいるものです。社会民主党は外国人学校を含む小学校から高校までの漸進的無償化を進めるとの記載があり、れいわ新選組は朝鮮学校を含む外国人学校の学費無償化対象化について言及しています。れいわ新選組はこのほかの項目でも唯一「民族」という言葉を使用して表現している点に特徴があります。

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その他についての言及

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海外ルーツの子どもについても外国人全般と同様に、関連する政策に関する記述は依然と比べて増加しています。今回取り上げたキーワードの他には、

自由民主党が地域、障害、言語などの壁を越えた学びの機会を提供するために、動画教材や学習講座を紹介するポータルサイトの整備に言及。

立憲民主党は海外ルーツの子どもの幼児教育や不登校問題にも取り組むとの記載がありました。

日本維新の会は「AIチャットボット・AI翻訳を活用した行政の多言語対応など、外国籍児童・外国出身児童を含めた外国籍住民との共生を図」ると記載あり。

日本共産党は加えて、日本で育った子どもをはじめとする非正規滞在者の地位安定化に踏み込んでいます。

れいわ新選組は、「国連自由権規約が保障する子どもの最善の利益や家族の結合権といった権利を踏まえ、家族分断が生まれないよう法・制度の改善」を行う政策を盛り込んでおり、各政党の特色が現われました。

最後に、各政党の公約、政策を比較するにあたって参照したホームページ等のリンクを掲載します。私の身近には、選挙権を持たない海外ルーツの方々がたくさん暮らしています。毎選挙ごとに、彼らのことを思いながら一票を投じることにしています。有権者ではない「サイレント・マイノリティ」(声なき少数者)である外国人、海外ルーツの子どもたちのこと、たくさんの有権者の方々に知っていただき、関心を持っていただけたら心強いです。

<参照した各政党公約・政策集およびホームページリンク>

【自由民主党】

政権公約 https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/manifest/20211018_manifest.pdf

政策パンフレット https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/pamphlet/20211011_pamphlet.pdf

総合政策集 J-ファイル https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/pamphlet/20211018_j-file_pamphlet.pdf

【公明党】

重点政策 https://www.komei.or.jp/special/shuin49/wp-content/uploads/manifesto2021_s.pdf

政策集 https://www.komei.or.jp/special/shuin49/wp-content/uploads/manifesto2021.pdf

【立憲民主党】

政策集 https://change2021.cdp-japan.jp/seisaku/files/%E6%94%BF%E7%AD%96%E9%9B%862021.pdf

【国民民主党】

政策パンフレット https://new-kokumin.jp/wp-content/themes/dpfp/files/DPFP-Policies-Pamphlet2.pdf

【日本維新の会】

衆院選マニフェスト https://daikaikaku.o-ishin.jp/manifest/manifest2021.pdf

重点政策 https://daikaikaku.o-ishin.jp/manifest/panel.pdf

日本維新の会政策提言 https://o-ishin.jp/policy/pdf/seisakuteigen20211015_fix.pdf

【日本共産党】

総選挙政策 https://www.jcp.or.jp/web_policy/2021/10/2021-sosenkyo-pamphlet.pdf

分野別政策 https://www.jcp.or.jp/web_policy/2021/10/2021-sosenkyo-index.html

【社会民主党】

重点政策 https://sdp.or.jp/priority-policy-2021/

選挙公約 https://sdp.or.jp/pledge-2021/

【れいわ新選組】

マニフェスト https://reiwa-shinsengumi.com/reiwa_newdeal/


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