2021/12/14 15:32
東洋医学で女性の心と身体をめぐらせる「たねまきはりきゅう院」の院長・五十嵐めいこさんに聞く。東洋医学の本当のチカラ。西洋医学では手が届かない女性の悩みを東洋医学のチカラで解決するセルフケアの方法を教えます。

先日、人に相談しづらいこと、わざわざ病院に行くほどではないけど気になっていることなど、吉川ひなのさんのインスタグラムで募集しました。

多岐にわたる女性の悩みに、五十嵐めいこさんが、セルフマッサージ、セルフお灸、食の提案など、セルフケアの方法をあなたに伝授します!

●五十嵐めいこプロフィール
専門学校在籍時より鍼灸治療専門院やリラクゼーションサロン、鍼灸マッサージ院、在宅医療治療院、医療的ケア児の在宅ケア、不妊治療専門鍼灸院など、さまざまな現場で経験を積む。鍼灸マッサージ師として、自分が何を伝えたいのか、自分の役割はなんなのか、自分にとっての喜びとは何か。日々模索する中で、子どもたちの笑顔と幸せな未来に貢献することが使命だと気づく。そして、専門分野である東洋医学の力、心と身体の調和といった考え、食や養生法など暮らしの知恵を伝えることが、妊娠出産子育てを取り巻く諸問題にダイレクトに役立つと確信する。まずはお母さんの笑顔と元気、そしてこころのゆとりを取り戻すことで、結果的に子どもたちが豊かな愛と、本来の生きる力をたっぷりと受け取っていけるように、私自身が愛を持って伝えていくことをもっとうとしている。【資格】2008年 鍼灸師国家資格取得、あん摩マッサージ指圧師国家資格取得 / 2016年 タッチケア指導者養成講座修了


【インタビュー】

五十嵐めいこさんにインタービューしました。

- Q1) 鍼灸師になるきっかけは?

子どもの頃から、具合が悪いと鍼灸院に連れて行ってくれる母親のもとで育ちました。母親は、お腹が痛ければ優しくさすって治してくれ、熱が出て不安なときも身体を触って心を落ち着かせてくれました。

出汁は必ず煮干しや昆布からとっていたし、レトルト食品を食べた記憶もありません。

鍼灸やマッサージ、ハーブやお手当てなどのいわゆる“自然療法”は、私にとって特別なものではなく、いつもそばにいて寄り添ってくれるお守りのような存在でした。

そしてそれが、いかに生活のあちこちで本当に助けになっていたことか。当たり前の日常のありがたさに、大人になってから改めて気づき、私自身も鍼灸師を目指すことに。

- Q2) 「たねまきはりきゅう院」を開業した理由は?

私は鍼灸マッサージの専門学校へ通いはじめた20歳の頃から、31歳で子どもを産むまで、全く毛色の違う治療院をいくつかまわりながら、働いていました。相模原市藤野への引越しを転機に、フリーの鍼灸師として 「caretime さらさ」という屋号で2018年10月に開業しました。その後、より深く自分の鍼灸師としての役割を表現していくために、2019年12月「たねまきはりきゅうマッサージ院」と名称を変更し、再スタートしました。現在は、助産院のマタニティ&産後ケア、マルシェ出店や女性を中心とした出張での治療などを行っています。


- Q3) 西洋医学と東洋医学は何が違うと思いますか?

以前、「西洋医学は “救いの医学” だ」と言う鍼灸師の仲間がいました。私もそう思います。西洋の薬を使えば、痛みや苦しさをブロックしてくれる。死ぬかもしれない病気も、西洋医学の発展とともに助けられた命は数知れません。

一方東洋医学は “自分を愛する医学” だと思っています。ちょっとした痛みや不調は、あなたの身体や心が発しているサイン。そのサインに気付いて、自分が本来持っている自然治癒力を発揮するための手助けをするのが東洋医学の力です。症状だけにフォーカスせず、あなたという人間をまるごと診て、癒していく。また、病気や不調が出る前から自分を整えておくことで、健康を維持することができる『予防医学』という観点でも、これからの時代に必要な医学だと言えるでしょう。

西洋医学も東洋医学も、お互いの得意分野を補完しあえるような関係でありたいものです。そして1人1人が、状況に応じて医学の選択を当たり前にできる世の中になれば素晴らしいなと思います。


- Q4) 今後「たねまきはりきゅう院」が目指していることは?

妊娠を考え始めた時から、妊娠期、出産期、子育て期の家族を一本の線として、子どもたちが周りの大人から『生きる根本』をきちんと受け取ることができるようサポートしていきたいです。まずは大人たちに、そして子どもたちに愛と言葉とケアを通して伝えていきたいと思っています。オンラインなどを活用しながら、遠くにいる方ともどんどん繋がっていきたいです!
最終目標は、私たちが地球の一員として日々の暮らしから恩恵を受けて生きているという事実を当たり前に感じられるファミリーを増やすこと。それが今起きているあらゆる社会問題の解決への一端となると信じています。


【女性の悩みQ&A】

「生理痛がひどく、足ツボマッサージや腰を温めてますが、あまり効果がありません。」
「41歳です。生理前、とにかくメンタルが落ちてしまいます。どうしたら良いですか?」
「更年期が気になります。生理周期が短くなり、肌もゆらぎ気味で(泣)」
「PMSについて。生理前とにかくイライラが止まらず家族が引いています笑!」
「11歳の娘に生理がきて、周期が安定するまでにできるヘルプなどある?」
「生理が1ヶ月きてません!それ以外どこも悪くなく元気です!40歳で人生初!無視でよい?」

先日、吉川ひなのさんのインスタグラムで募集した【女性の悩みQ&A】では、生理に関する悩みが多数寄せられました。

今回は生理前にイライラする症状、PMS(生理前緊張症候群)についてお話ししていただきました。

お風呂のふたが少しあいていただけでイラっ。ドアをしめる音にイラっ。5年前くらいの話をわざわざ引っ張り出して怒り始めてみたり、しまいにはイライラを気遣ってくれる姿にまでイライラ笑。考えるすきなく怒りがこみあげてくるあのかんじ、男性にはなかなか理解できない感覚ですよね。ささいなことでイラっとして、「あっわたし今、生理前だな」と気づく人も多いのでは?生理前はそんなもの。と思っている人もいるかもしれないけれど、これも立派な身体からのサイン。

東洋医学では生理前にどんな症状が出やすいかで、身体を構成する気、血、水のどこに異常があるかを診断することができます。

今回は生理前にイライラしてしまう、身体をめぐる気(エネルギー)が滞りやすいタイプ  =『気滞(きたい)タイプ』についてお話しします。

☆生理前にイライラの症状がでる気滞タイプはこんな人

・ストレスを溜めやすい人
・毎日バタバタ忙しい人
・神経質な人
・緊張しやすい人
・気が張りやすい人
・普段の呼吸が浅い人


<起こりやすい症状>

肩こり、胸が張る、便秘。
脇腹が張ったり、げっぷやおなら、ため息がでるなど、詰まって苦しいような症状が特徴。


<オススメケア>

気滞タイプの人には特に「きちんと自分の余白を作るように意識して」といつも伝えています。パンパンにふくらませた風船の空気をプシューッとやさしく抜いてあげる感じです。

ウォーキングやランニング、ダンスや大きな声で歌ったり!身体を動かしたり声を出して詰まった気をめぐらせ、発散させましょう。特にデスクワークなど、目や頭を酷使している人は、頭にのぼった気を下に降ろすイメージで、足を良く動かすことを意識すると良いでしょう。

また、ベルガモットやスイートオレンジなど柑橘系のアロマを活用するのもオススメ。気滞を発散させる効果があります。ハンカチにたらして持ち歩いて、イライラしそうになったらクンクン、おおきく深呼吸。ペパーミントなどスーッとする香りも気が流れてオススメです。カモミールのバスエッセンスなども◎


<気をめぐらせるマッサージ>

マッサージでおすすめしたい場所は、腕と頭。

ベースオイルや手持ちのクリームなどに、上にあげたエッセンシャルオイルを少し垂らして、腕全体と頭をかきあげるようによくマッサージしてみて。

▼ 腕は表3ライン、裏3ラインに分けてマッサージ

▼ 鎖骨下のラインを胸を広げるようにマッサージ

▼ 頭は指の先を使って頭をかきあげるように、ヘッドスパ用のブラシなども活用して


<おすすめのツボ>

▼ 合谷(ごうこく)
手の甲側、親指と人差し指の「水かき」の部分にあるツボです。

▼ 太衝(たいしょう)の取り方
足の親指と人さし指の骨の交点のすこし手前にとる


<おすすめ薬膳ごはん>

▼香味野菜とおろし大根の温かいおそば〜ゆずしょうがポン酢がけ〜

冬の香味野菜、春菊や柚子を使った温かいおろしそば。香りの高いお野菜は気滞を解消するのにもってこい。そばには、頭の方に上がった気を下に下げてくれる作用もあります。温かいおそばにすることで血流もアップ!せりやみつば、大葉やミョウガなど、季節に合わせてアレンジしてみて!

▼ 作り方レシピ

①大根おろしをたっぷり作って醤油やみりん、めんつゆなどで先に味付けをします。

だし汁ときのこを鍋に入れ、先程の大根おろしをいれて一煮立ち(アクが出たらとる)したら火を止めます。

②別の鍋で蕎麦が茹で上がるころに、みじん切りにしておいた香味野菜(今回は春菊と大根の葉)をだし汁の鍋にいれ余熱で火を通します。

③どんぶりにお湯を切った蕎麦を入れ、上から大根おろし入りのだし汁をかけます。

④柚子の絞り汁、すりおろし生姜、醤油、みりんの柚子ポン酢を作っておき、おそばにかけて味を整えていただきます。


【最後になりますが】

「11歳の娘に生理がきて、周期が安定するまでにできるヘルプなどある?」のお悩みに、一言だけ伝えさせてください。

初潮を迎えても、まだまだその年齢の頃は身体も成長段階で、ホルモンバランスも子宮などの発達も未完成です。なので、何年かは不順で当たり前なんです。

とはいえ、その頃から自分の生理についてきちんと向き合うことはとても大切なことです。

10代の頃から、基礎体温のこと、生理っていったい何のためにくるのか。生理の時は特に冷やしちゃいけないんだな、甘いものを食べすぎると生理痛って強くなるんだ、痛みが強いけど、疲れが溜まってたかな?など、生理を自分の体や心のバロメーターにすることを身につけておけたら、それって本当にすてきなこと。大袈裟なようですが、その子の生きる力になります。

生理の時は、いつもより自分をいたわって大切にする時間なんだと、周りの大人が伝えられたら、その子が大人になって、赤ちゃんが欲しいなと思った時に、急に慌てることなくきちんと向き合えるでしょう。

なのでぜひ、お子さんと一緒に生理について真剣に話し合う機会を一度作ってみることをおすすめします。

大人と同じように、睡眠、冷やさない、食生活など、基本的な生活のリズムを整えることさえきちんと意識していれば、特別大きなケアをする必要はまだないです、安心してくださいね。

以上です。


▶︎ 次回も五十嵐芽衣子さんには、吉川さんのインスタグラムにいただいている【女性の悩みQ&A】にお答えいただく機会を設ける予定です。

- ありがとうございました。