■ 小売業者としてもっとお客さまを知りたい:現状の顧客分析では満足できない
私は小売業に勤務する一従業員です。我々小売業の従業員は魂をかけて売場を作ります。それはひとえに、売場の質を上げることが売上に直結すると信じているからです。
私は農産、野菜果実の売場担当でしたが、納得するまで売場を作り込んでいたところ、気づいたら朝の4時だったことがありました。また、南関東地区での売上1位を目指して前日2時まで準備したりと、魂を込めて売場を作ってきました。
一般的には、その売場がお客さまからどのような評価を受けているかのフィードバックとして、売上数値を見ています。しかし、本来であれば売上を見るだけでは不十分であり、お客さまの行動を知ることが必要なのです。
お客さまの行動を知るということは、顧客満足を向上させる種が詰まっています。
買うまでの間にもこれだけの条件分岐があり、可視化して分析できれば、顧客満足度を向上させる改善活動につなげることができます。
AIカメラによって技術的に分析できることは知っていました。ですが、一般的に流通しているものでは自分が望む機能を簡単に付与することができず、価格も非常に高価であるのが現状です。多くの小売業が導入したくてもできない状況ではないでしょうか。悔しくてしょうがない。私はずっと悩んでいました。
■ 売れた・売れないの更に深い原因を知るために - カスタマーアナライザー -
AIカメラが手に入らないのであれば自ら作りたい。せっかく作るのであれば、小売事業者だからこそ作れる、小売事業者のためのAIカメラを作りたいと考え、クラウドファンディングを実施し、皆様のご意見を伺いたいと考えました。市販のカメラとコンピューターで、深い顧客分析を実施するシステム作りを目指しました。
それがカスタマーアナライザーです。
また、一般的なノートPCでも動く様に、WindowsとMacOSにも対応させております。これにより、購入費用としてはwebカメラのみであり、10,000円以下で試験導入を実施することが可能となっており、市場に存在するAIカメラとしては破格のコストと考えています。
こちらの画像が実際にプログラムを動かしているところです。まずは、プロトタイプとして、売場を訪れたお客さまの年齢、性別、売場の滞在時間を計測することに挑戦しました。1日の終わりにcsvファイルで出力されます。そのcsvを元にして、お好きに分析していただけるようにしました。
■ 売場に設置してデータを検証
作成したカスタマーアナライザーのプロトタイプを、実際の店舗に設置してみました。以前私が売場主任をやっていた店の店長にお願いして、実際に鮮魚の売場に1日設置させていただきました。
実は、設置した当日以上に設置の事前チェックに苦労がありました。閉店後の売場をお借りして検証を重ねた上で、当日に向けて準備したのですが、特に苦労したのがカメラの設置位置です。①売場の前に立つお客さまの顔が映る。②お客さまの邪魔にならない。③従業員の邪魔にもならない。これら全てを満たす場所を探したところ上の写真に映っている場所以外はありませんでした。
また、Pythonのコードも設置当日まで調整していたため、うまくいくか緊張しながらの実証実験でしたが、売場では特に売場での問題や、コードのエラーも特に発生せず、無事293名の方の属性と滞在時間を計測することができました。
■ 分析の一例
実際に店舗で設置して計測されたデータを元に分析を行ってみました。
実際に分析を行なったのは鮮魚の売場なので、売場改善の例にあるように、忙しい若い世代でも時短で作れるメニューを提案することで、若い世代に商品の魅力を伝えることができると考えられます。
また、仮にアパレル、例えばボトムスの売場で同様の結果が得られた場合を考えてみます。その場合、20代以下の1人当たり滞在時間が長いこともあり、VP(visual presentation: 売場の演出)のコーディネートが若すぎるために、ターゲットのファミリー世代に刺さっていない可能性が高いです。ワークカジュアルなスタイルと合わせて提案を行なう等VPの見せ方を変えてみる打ち手を考えられます。
このように、年齢別での滞在時間と客数のギャップを見るだけでも、効果的な売場改善につなげるとともに、効果検証まで可能となります。さらに、実際の販売データ上の顧客属性がわかっていれば、売場にいた顧客と購入した顧客のギャップも見えるため、更に具体的な改善策も立案可能です。
■ カスタマーアナライザーのロードマップ
現在、技術的に実施可能な部分から実装を行いました。今後以下の計画に従い、開発を進めていきます。
もしよろしければ、支援いただいた方とも議論をしながら、実装していく機能を更に明確化していきたいと考えています。
■ 小売業従事者以外の方へ
ここまで読んで頂いた、小売業従業員でない、お客さまの立場の方、本当にありがとうございます。
あなたへの直接すぐのリターンは難しいかもしれません。しかし、このデバイスを一つのきっかけに日本の小売業を改革していき、お客さまである皆さまに、よりよい商品・サービスを届けられるようにしていきたいと考えています。
小売業が変われば日本の生活が変わる。本気で信じて日々業務にあたっております。是非ご支援の程お願いします。そして、分析レポートをご一読いただき、少しでも小売事業者の活動に興味をお持ちいただければ幸甚にございます。
なお、基本的には小売業に特化したAIカメラとして考えていますが、以下の場面での使用も可能かと思います。
- 美術館にて絵画をご覧になる方の属性情報・滞在時間を計測
-フォトサロンの個展にて、写真ごとにみられる方の属性情報と滞在時間を計測
スペース内で展示を行う性質のものとは親和性が高いと考えておりますので、ご意見いただけますと幸いです。
■ ご支援いただいた際のリターン
ご支援いただいた方へのリターンは大きく5種類ご用意しました。
1. お礼のメールと分析レポートの共有 / 以降の機能改善報告
実際に完成したカスタマーアナライザーで、私が所属する企業の店舗を分析した結果を、機密情報を除いた形でお届けします。ご支援いただいた皆様に送付させていただきます。
また、ご希望される方には継続的に機能改善の報告をさせていただきます。
2. 作成手順書の送付
1.のリターンに追加して、私の試行錯誤も反映させた作成手順書を送付させていただきます。プログラムのソース自体はgithub等で公開させていただきますので、Python, OpenCVに詳しい方であれば手順書は不要かも知れませんが、初めての方でも作れるような手順書を作成させていただきます。
3. ハンズオン作成支援(3名限定)
プログラミング経験ゼロの方に向けて、御都合よろしい時にwebミーティング等で作成の支援をさせていただきます。お時間としてはPCであれば6時間程度を見込んでいただければ幸いです。
4. プロダクトのキット(1名限定)
1〜3に合わせて、組み立ててすぐに使用可能なキットを送付させていただきます。キットの内容は詳細を御確認ください。
5. 実店舗への取り付けによる実証実験のご協力(5名限定)
店舗をお持ちの方向けに、実店舗にてカスタマーアナライザーを設置し、データを計測。CSVファイルの提供とご希望されるのであれば分析レポートを作成してお渡しします。
※交通費につきまして、関東近辺は基本的には私自身の勉強代として、交通費自己負担にてお伺いさせていただきますが、地域によっては応相談とさせてください。。
リターン時期について
1. と 2. については4月を目途にリターンさせていただきたいと考えておりますが、その他については6月を目途とさせてください。
現状使用している顔による属性認証が、マスクの影響を受けてうまく働かない場合が見受けられます。開発に時間をかけたい部分であり、随時活動報告はさせていただきますのでよろしくお願いします。
また、5. については6月を基本の時期としていますが、感染症の拡大状況によっては訪問時期が後ろ倒しとなる可能性がございます。あらかじめご了承ください。
まだまだ走り始めたばかりのプロダクトであり、不具合・改善点が多々発生するものと思われます。これからも開発を進めていく所存ですので、お互いに継続的な議論や意見交換をさせていただければ幸いです。共感していただける方、共に開発を進めて日本の小売業を変えていきたいと考えている方、是非ともご支援の程よろしくお願いします。
■ むすびに
長文ではございますが、最後までお読みいただきありがとうございます。
日本の小売業はまだまだ発展途上で、お客さまにより良い商品・サービスを提供できるはずだと考えています。大きな動きの中の一つとして、ひいては日本全体に貢献できればと考えています。その第一歩として、今後取り組みを進めて参ります。
どうかご支援よろしくお願い致します。
■ 参考:これまでの活動につきまして
参考として、これまで学んできた過程を記載します。お手すきの時にお読みいただけますと幸いです。
このプロダクトを作るまで(初めてのPython〜OpenCV)
https://zenn.dev/shuyin02/scraps/846d1e431c07f7
https://zenn.dev/shuyin02/scraps/5290f48685e6ce
https://zenn.dev/shuyin02/scraps/4d10a42cd9d767
業務効率化のプロトタイピング
https://qiita.com/watanabe-tsubasa/items/0a49226a843aa2f79d24
今回の実装に必要な機械学習について学び
https://qiita.com/watanabe-tsubasa/items/8c17f54e24bef0b11080
小売業に対する想い
https://note.com/3682tw/n/nf90ed74e02c6
カスタマーアナライザーの原案
https://note.com/3682tw/n/n0116ba0835ee
LT登壇 世間に初めてカスタマーアナライザーのプロトタイプをお披露目
https://iotlt.connpass.com/event/228734/
力試し 初めてのハッカソン(全集中の呼吸が私です。)
https://protopedia.net/event/27
リテールテックアドベントカレンダー
https://qiita.com/advent-calendar/2021/retailtech
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-or-Nothing方式で実施します。目標金額に満たない場合、計画の実行及びリターンのお届けはございません。
最新の活動報告
もっと見るリポジトリの更新につきまして
2022/06/12 23:16こちらの活動報告は支援者限定の公開です。
手術しました
2022/05/29 18:02こちらの活動報告は支援者限定の公開です。
GitHubへの資料公開の件
2022/04/29 10:55こちらの活動報告は支援者限定の公開です。
展示場の各展示を見る人の属性(性別と年代)とその関心度や、公共スペースのディスプレイ内動画に注目する人の属性(性別と年代)とその関心度など測定できますね。使ってみたい。