珈琲うととは、東京都あきる野市にある、店舗の場所を手放して、体調や生活を整える期間を設けることにいたしました。再開のお約束はせずに、このプロジェクトの活動は、ご支援者の皆さまにお願いをして、おわりにさせていただきたいと思います。リターンのお届けが出来ないままおわりにさせていただくことを、お詫び申し上げます。申し訳ございません。
以前より、体調のことについて、お伝えをさせていただいてまいりました。この二年間、自分の躁鬱の激しい体調がどんなものか、元気なときに企てた計画やアイディアを勢いよく実行し、動きすぎて躁状態になり、ぱたりと鬱状態がきて、計画通りに物事を進められない、希死念慮に苦しみ、自己否定をしたり、外へ出ることが怖くなったりする、というようなことを、珈琲うととを通して映し出していたようだなと、思います。
わたしはいま、生活保護制度を利用し、生活保護を受けています。双極性障害に関する様々な手続きを、きちんと休みながら完了させるために、自分で申請をしてそのようなサポートを受けているのですが、そっと力が抜けていくような感覚を味わっています。鬱状態のときに、死なないために闘う時間、その時間が来るかもしれない不安、働きたいのに働けないことが付きまとい、自分が思っていたよりも、日常がないという苦しい状態だったのかもしれません。気が付くまでに、これまで生きてきた分の時間や経験が必要でした。元気なときもあるので複雑です。自分への理解もままならない段階でこの活動をスタートし、たくさんの方を巻き込んでしまいました。
同時に、かけがえのない経験をさせていただきました。この二年間、勇気をふり絞る瞬間が何度もありました。自分の名前や顔を出して、思ったように活動してみるなんて、自分にとっては簡単なことではありませんでした。たくさんの人にも出逢いました。以前は、自分の住む街の人と会話をするのは、あまりないことでした。近所に友だちが出来たことも、これまでの人生のうちで嬉しかったことのひとつです。苦しいときに、お米やお味噌、食糧を集めて箱いっぱいに送ってくださる方もいました。外へ出られなくてお店の玄関を枯れさせたときには、知らぬ間にきれいな緑の植物を置いてくださる方もいました。それから、お店へお越しくださる方々に、大切に焙煎した珈琲豆を喜んでいただけたことは、味わったことのないとくべつな経験でした。
改めて、ご支援者の皆さまには、リターンのお届けが出来ないまま、このプロジェクトの活動をおわりにさせていただくことを、お詫び、お願い申し上げます。これまで経験をさせていただいたことや、その中でいただいた愛情はなくなりません。ご支援をしてくださり、ほんとうに、ありがとうございました。
珈琲うとと
佐野 花帆