はじめに・ご挨拶
皆様はじめまして。圓龍プロジェクトです。
我々は首都圏で落語を愛する有志が集まって、三遊亭圓龍師匠との果たせなかった最後の約束を果たそうと活動している団体です。2021年8月20日にお亡くなりになった 師匠との経緯を書かせて頂きます。
我々は、元々は幅広い層の演芸好きな仲間が、落語家・講談師・そのほかの演芸芸人を応援したり、支えたりする趣味仲間でした。そのメンバーには医療・介護のスペシャリストがいるご縁で偶然にも、引退した圓龍師匠のQOL向上のお手伝いをする機会を頂き、どんどんメンバーが増えて今の形になりました。
圓龍師匠との約束
我々は噺家「三遊亭圓龍」に生前お世話になった者たちです。ご自宅に招き入れて頂き、落語・絵・音楽など様々なことを教えて頂きました。師匠である圓生師との思い出もたくさん聞かせて頂きました。師匠はとても気さくで、そして非常に謙虚で真面目で、博識な師匠でした。
ネットを利用されない圓龍師匠に、ご自身のWikipediaに書かれていることを尋ねると、事実とは違うことも多々ありました。そこでお話を聞きながら情報を修正をしつつ、Wikipediaには書けないような様々な思い出も語ってくださり、また大事にされてきた落語に関する資料や写真なども見せて頂きました。
部屋の中で資料を探していると、たくさんのテープが段ボールに詰められているのを発見しました。何が記録されているのか師匠に尋ねたところ昔の音声が残っているとのことでした。そのまま自宅に置いておくだけだと勿体ない、今の時代はYouTubeといものがあって世界中の人が動画や音声を聞けることを説明したところ「そうでしたら、是非ともお願い致します」とお返事頂きました。コロナの感染拡大もあるので、 部屋の整理をしつつ気長に動画配信の準備をしていこうという事になりました。
2021年の夏、圓龍師匠が体調を崩されたことを知りました。少し痩せられた様子ですが、お見舞いに伺うとニカッと笑顔で迎えて頂きました。ノートパソコンを持参して師匠と一緒に落語を聞いたり、会いたいという噺家さんに連絡を取ってお見舞いに来て頂いたり。圓龍師匠の喜ぶことを出来る限り叶えようと、少しでも元気になってくれるならばと、一生懸命やってきました。
2021年8月20日に圓龍師匠は、お亡くなりになりました。あっという間でした。師匠とはいろんな約束をしました。「コロナが収まったら花見でも行きましょう」「師匠が好きなとんかつ食べに行きましょう」「元気になったら浅草の帯源で帯を見に行きましょう」…叶えられなかった多くの約束のうちの1つに、あの「圓龍師匠の落語をYouTubeで配信しよう」もありました。生きているうちに、ご自身の落語がYouTubeで流れるところをお見せできなかったことは残念で仕方がありません。
しかしこの配信の約束は、圓龍師匠が亡くなった後でも叶えることは出来る。そう思いまして、残された遺品の一部を譲り受けて今このプロジェクトを始めるに至っております。
このプロジェクトで実現したいこと
圓龍師匠の落語をYouTubeにアップして、「三遊亭圓龍」の芸を知って頂きたい!
2021年、多くの噺家がお亡くなりになりました。
人間国宝の柳家小三治師が、三遊亭圓生 一門で三遊亭圓丈師、川柳川柳師はニュースで大きく報じられました。しかし、圓生師に弟子入りして入門を許された最後の弟子「三遊亭旭生」のちの圓龍師匠のことはあまり報じて頂けませんでした。笑福亭仁鶴師が亡くなった時期と近いこともあり、また現役引退宣言されてから何年も経ちますので仕方ないという気持ちもあります。しかし、ニュースにならない噺家だから芸がダメだったと評価しないで頂きたいです。
「圓龍さんは、圓生の弟子というネームバリューしかない」と酷評する人もいるそうですが、そんなことはないと思います。落語協会でも、落語芸術協会でも、五代目圓楽一門会でも、圓龍師匠に教わった噺家はたくさんいらっしゃいます。圓龍師匠を偲んで、高座で思い出のまくらを振って下さった方々、本当にありがとうございます。
上方落語の持参金を東京で広めた功績も大きいです。ご自身の落語についても独演会などで圓生の弟子として恥ずかしくない名演をされてきたとの話も聞いております。ご自身で三味線を弾きながら落語をしたり、圓生師しか演じない「骨違い」などの珍しい落語を高座にかけて後世に残したり、あるいは地方に残った落語を復活させ公演する活動をしてきたり、今の時代では伝わりにくい言葉や内容をかみ砕いて落語を知らない方が親しみやすいよう工夫して来られた圓龍師匠。本当はとても努力家で芸達者で個性も十分で、実力もあった。百席以上もの噺を持っていて、何でも器用に出来る噺家だったと聞いています。
器用だからこそ、兄弟子たちの芸風とは違う形で落語を表現できるのだそうです。スターとして落語界を代表する存在としてではなく、名脇役として瞬時に芸を変えたり匂いを消すことが出来るのも芸のうち、魅力の一つだと思います。ですから「知名度」だけで評価されるのは本当に残念に思います。
独演会で記録用に残しておいたのであろう録音テープを一部譲って頂きました。演題も何も記載されていない録音テープなどが多く、圓龍師匠の声が入っているのかどうか分からない状態です。テープもかなり古そうな物もありましたが、しっかり保存されてこなかった為に汚れがひどいだけかもしれません。もしかしたら圓生師の音声が残っているのではないかと仰る方もいますが、正直わからない状態です。圓生師に稽古をつけてもらっている時の音声など出てきたらいいのですが、それは調べてみるほかありません。放置しておけば劣化するだけですので、出来るだけ早くデジタル化するつもりです。
また、圓龍師匠の遺品の中に写真がありました。かなり古いもので圓生師の時代の方々が写っているものもありました。価値がある写真と思いますが、保存状態が悪いのでこちらも後世に残せる形したいと思っております。
昭和の名人 三遊亭圓生
今の若い方々には馴染みがないかもしれませんので、三遊亭圓生という人を簡単にご説明します。
圓生師は芸に対して厳しい人でした。そしてまた、多くの功績を残した名人でもありました。
落語をテーマにした「昭和元禄落語心中」という漫画・アニメ。そこに登場する八代目有楽亭八雲は圓生師をモデルにしているという噂があります。米津玄師の「死神」は、落語の演目にある「死神」をモチーフとしています。この「死神」も圓生師による功績は大きく、圓生の型で死神を継承している現役の噺家も数多くいらっしゃいます。大河ドラマの「いだてん」では歌舞伎役者の中村七之助さんが圓生役を演じていらっしゃいます。芸だけでなく人物としても魅力的な圓生師。その圓生師に直に弟子入りをした最後の噺家が、のちの三遊亭圓龍師匠だったのです。
YouTubeでの公開の準備
圓龍師匠の動画を配信できるよう、「圓龍クラファンちゃんねる」を開設しました。
動画に写っているのは柳家小さん師、金原亭馬生師、立川談志師、古今亭志ん朝師などの名人に囲まれ真打披露公演をされている圓龍師匠です。何度も真打昇進が延期になり、やっと7人同時での真打となりました(1981年3月に柳家さん喬、六代目五街道雲助、七代目むかし家今松、三遊亭歌司、二代目金原亭馬の助、橘家竹蔵と共に真打昇進 Wikipediaより)。その中でも圓龍師匠は「一体いくら支払ったんだい?」と他の噺家に聞かれるほど盛大に行ったそうで、それがこの名人勢ぞろいのお披露目です。
演芸の世界で、次の芸人のために
圓龍師匠が亡くなられた後、お部屋の整理のお手伝いに何度も伺いました。しかし大量にある資料を吟味していては進まないということで、やむなく諦めた物もたくさんありました。
落語に関する本には圓生師の判が押してあったので、おそらく圓生師の遺品の一部を圓龍師匠が譲り受けた物だったかもしれない。こちらは五代目圓楽一門会の芸の肥やしに使うということになりました。
講談に関する書籍も多数あり、今や手に入らないような貴重なものがありました。こちらは講談協会の若手たちの稽古に使わせてほしいということでお譲り致しました。
ピアノも笛も三味線もヴァイオリンまでも弾くことが出来た芸達者な圓龍師匠。そのうち今後も使えそうな楽器などは太神楽の方々、色物さんたち、そして寄席の会場で使って頂くことになりました。
圓龍師匠の書斎。山積みの段ボールにはテープや本などがビッシリ入っていました。
リターンについて
圓龍師匠の手拭いや著書、それに着物については「圓龍師匠を応援したい」と思って頂ける皆様に、返礼品としてお渡しして偲んで頂きたいと思っております。サイン本は古本屋やマニアの方に高値で取引されているようですが、投機目的での買い占めなどはお控えいただきますよう宜しくお願いします。
着物は落語家ご用達の店を教えて頂き、そこで目利きをして頂きました。痛みの激しいものや保存状態が悪いもの、価値の低いものは着物としてではなく生地として再利用することを勧められましたので、1万円以下の着物は着ることを前提に購入することはお勧めしません。リターンは送料込みの金額を提示しております。着物は宅急便で1600円~と伺っております。クラウドファンディングへの手数料もありますのでお届け先次第では赤字になる可能性もありますが、師匠の品を欲しいと仰る方には届けたいとの思いもありますので追加で送料を頂くことはありません。
染め抜きで三つ組み橘の家紋が入っている立派な着物とはいえ、新品ではありません。クラウドファンディングの手数料や送料などが発生するので、オンラインで着物を安く購入したい方は、ご自身で作られる方が安くなるかもしれません。圓生師から譲り受けた着物があるという話は生前伺ってましたが、今となっては誰も証明することが出来ません。故人を偲ぶための返礼品として受け取って頂きたく存じます。
1万円以上の支援を頂いた方は、動画に支援者様のお名前を載せることが出来ます。希望される方は本名でもニックネームでも承れますので、備考欄にその旨をお書きください。ご支援頂いた金額に応じて差をつけるようなことはありません。ネットに名前を出すリスクはあるので、ご判断は慎重にお願いします。
実施スケジュール
圓龍師匠の一周忌 8月20日までには動画を皆さんにご覧頂けるよう、クラウドファンディングをしながら身銭を切って同時並行で配信の準備をしております。しっかりYouTubeで観れるのか、見え方なども含めて確認をしつつ問題なければ随時、公開していく予定です。
集まった資金の使い道
現時点で急ぎ対応が必要な着物類(羽織、袴など含む)は、落語家ご用達の着物屋に事情をお話して長期保存できるようにきれいにして頂きました。それだけで10万円ほど支出しています。他に額縁を買って汚れないようにしたり、書画の修復を依頼したりと、チーム皆で少しずつお金を出し合って、出来る範囲で保存をしようとしています。ただ個々人で出せる金額にも限界があるので、ご支援お願い致します。
動画配信にかかる費用:35万円
・テープのデジタル処理
・動画の編集
・出囃子関連
・圓龍師匠に関する資料収集費
クラウドファンディング関連費用:20万円
・キャンプファイアへの支払い(手数料や税金など)
・着物、口上書きなど貴重な返礼品の発送
・貸倉庫の月々の賃料、著作権に詳しい弁護士への相談料、着物の鑑定にかかる費用など
※予想以上のご支援を頂ければ 写真の保存、修復、復元費用:20万円~
・写真、アルバムの修復
・一部の色あせた写真をデジタル復元など
持ち出すことが出来たテープの比較的綺麗な状態であったものの一部。
最後に
皆様からのご支援が想定以上に集まり、「圓龍師匠を偲べる機会が欲しい。集まりたい」というムードが高まりましたら、圓龍師匠に縁のある噺家さんに思い出も語って頂く落語会をしたいと思っております。師匠の遺されたお写真には、笑顔の落語仲間と酒を飲んでいる写真などもたくさんあります。肖像権の関係でネットに出せないもので残念ですが、機会があれば皆様にご覧になって頂きたいと思います。
誰かがこの世に遺したものは、今を生きる人が次の世代に伝えなければ失われていきます。
圓龍師匠が、先人から受け継いだ話芸や知識や遺品。そのバトンを、我々も大事に次へ繋ぎたい。
100年後も200年後も、落語とそれに関するものが残り続けるため。ご支援お願い致します!
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
最新の活動報告
もっと見る貴重な資料の保存
2022/11/15 21:00大変長らくお待たせしております。9月上旬の活動報告を致します。クラウドファンディングのため保存しておりました、圓龍師匠の着物についてはカビの初期症状が発生しておりましたので呉服屋と相談して専門家に洗いを依頼して綺麗にして頂きました。またアルバムについては温度差が比較的小さなところで保存が出来る場所を見つけることが出来ましたのでクラファン用の倉庫から保管場所へ移動を致しました。どちらも劣化を完全に防ぐわけではないですが、少しでも長く遺せるよう知恵を絞ってメンバーで対応しております。以下にアルバムの一部を載せておきます。実は、このプロジェクトについて以前より三遊亭圓窓師匠にご相談に乗って頂いておりました。アルバムのこと、動画配信のこと、出囃子の事などを実際に何度もお話聞いて頂きました。圓窓師匠と圓龍師匠の思い出話を聞かせて頂いた際には、圓生師匠のこと、圓生一門の方々の事、ご自身の一門のお弟子さんたちのこと、今の噺家・落語家について、そして圓窓師匠の落語観まで聞かせて頂きました。もう二度とお話を聞けないと思うと残念であり、プロジェクトメンバーもとても気を落としました。そのため活動に遅延が生じてしまいご支援頂いた方々にはご迷惑おかけして申し訳ありませんでした。遅くなりましたが、予算の集計および今後も動画配信を続けることに変わりないので、皆様どうぞ引き続き宜しくお願い致します。 もっと見る
2022年8月20日 三遊亭圓龍オンライン落語会の開催
2022/08/21 04:30圓龍師匠の命日に合わせて、何とか動画をアップすることが出来ました。トラブルもあり、動画がアップできたのが命日当日の朝というギリギリでしたが皆様からの熱い応援に支えられて実現できました。本当にありがとうございました。https://www.youtube.com/watch?v=Uu3U3El18NA現時点で既に100回以上ご覧頂いております。師匠がご存命でしたら、たぶん少し照れた笑顔を見せて下さったかと思います。発生した費用、今後の活動など皆様にご報告する内容はたくさんあります。こちらにつきましては来月を目処にご報告させて頂きますので、引き続き圓龍プロジェクトをよろしくお願い致します。 もっと見る
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