2022/03/03 21:08

活動方向では、色々と情報を発信していく予定ですが、

まずは、とおいち運営チームからのメッセージをお伝えします。


(簡単な自己紹介)

はじめまして。とおいち運営チームのひとり、佐藤です。

僕は千葉県で生まれ、筑波大学大学院を修了してから、建築デザインを教える大学教員として働いています。2年前に結婚し、長野県塩尻市木曽平沢で妻と田舎暮らしを楽しみつつ、名古屋の大学で働いています。

今日は、なぜこのお店を始めるに至ったのか、そして、何を目指しているのか、つらつらと書かせていただきます。


(移住のきっかけやこれまでの仕事など)

大学で建築の勉強をしていて、学生時代からまちづくりに関わる機会がありました。

埼玉県北本市では、駅前広場の改修にともなうまちの活性化に関する取り組みの手助け役を、研究室で担っていました。そこでの経験は、何も知らない僕を育ててくれた時間であるとともに、今につながるタネのようなものでもありました。いろんな方と関わりながら、少しずつ知恵や力を出し合って街を面白くしていくことの楽しさと大変さを学びました。

宮城県石巻市では、復興後の集落のまちづくりに携わりました。自分が学んできたことが誰かの助けになるのかもしれない。そんな思いから、多くの時間を石巻で過ごしましたし、今でも一緒に仕事をしています。

そこで出会った漁師さんたちからは、人生に必要なことの多くを教えてもらいました。自分でできることが多いことの強さ、そして、他者と協力することの重要性、数えきれない経験を、与えてもらいました。

そんな石巻での経験があったから、僕は古いものや集落といったものに興味をもち、研究で全国の集落を回ってきました。僕たちが知らないことを多く知っている地域のおじいさん、おばあさんからお話を聞き、その村の成り立ちを考える。そんな研究をしてきました。

そんな経験があったから、自分が住む場所も、魅力的な集落がいいなぁと漠然と考えていたわけです。そんな折、当時付き合っていた彼女が、職人がたくさん住むまちの古民家に移住しました。他方、僕は、すでに名古屋での仕事が決まっていたので、必然的に中距離恋愛が始まったわけです。


(移住してからの仕事)

名古屋で教員として建築を教える傍ら、全国の集落研究と石巻での活動は継続します。

ずっと通い続けてきた石巻で、僕も地域に何か返したいと思いはじめたのが、「牡鹿漁師学校」や「石巻水産業担い手センター事業」という、漁師さんを応援するプロジェクトです。

漁師さんと漁業に興味のある方をマッチングして、地域の漁業を盛り立てようという取り組みは、現地の一般社団法人とともに現在まで7年以上続けていて、40名以上の若者が漁師に弟子入りしています。

また、地域に通ってくれる人がたくさんになって欲しいと、「もものうらビレッジ」という宿泊施設を企画して設計して施工して、運営する機会にも恵まれました。地域の魅力を考え、伝える、今でもとても大切にしているプロジェクトです。

同時に、彼女に会いに足繁く木曽に通ううちに、木曽漆器をぬる職人さんたちと触れ合うことになります。職人さんのお話を聞くと、だんだん、漁師さんの仕事との共通項も現れてきます。そして、課題もどこか似通っている。もしかしたら、これは、石巻でやってきた、漁師さんの後継者育成に近い視点があるのかもしれない。

また、名古屋から木曽に至る中山道で、四季折々の山の風景の美しさにも気付きます。もっともっと自然とともにある生活を楽しみたいし、素敵な暮らしをもっと多くの人とシェアしたいと思うようにもなりました。なんだか、石巻の魅力を伝える宿泊施設を作ったことに近いことも考えるようになってきました。


(とおいちを企画した理由)

そろそろ、木曽でも何か自分も活動ができるんじゃないか。そんなことを考えはじめたタイミングで、4年付き合った彼女と、結婚することになりました。彼女はその時地域おこし協力隊の任期が2年。生活のすり合わせを重ねるうちに、任期の終了のタイミングが近づきました。それまでに続けてきた活動を、どう続けて、発展させていこうか。そんな話をよくするようになります。

結果我々は、地域の職人さんを応援したい。そして、奈良井宿に訪れた人に、もう一回きてもらいたい。自分の住む街が楽しくあって欲しい。

漠然とした思いを、たくさん話すようになってきました。

それら僕たちの理想を詰め込んだお店が、とおいちというお店です。

職人さんを応援すること。

地域のファンを増やすこと。

それを実現するために、職人さんの商品を、職人さんの仕事の誇りとともに紹介するお店「土--とおいち-」を、仲間と一緒に始めることにしました。


(自分の理想はどんな暮らしなのか)

コロナの期間に読んだ素晴らしい本に、「cradle to cradle ゆりかごからゆりかごへ」というものがあります。知人の建築家の紹介です。

最近、理想の暮らしは、廻るものなんじゃないかと思うようになりました。

木を切って建物をたて、長い寿命ののちに燃やしてco2が木に還る。

刈った雑草を土に埋めると、雑草は消えて無くなり土の養分になる。

食べ物の残りを腐らせて家庭菜園の肥料にすると、美味しい野菜ができる。

地方の集落に行った時二度と会わないであろう老人に優しくしていただき、そのお礼をしようとすると、

「私はいい。私がしたいからしただけだから。だったらその感謝を、他の誰かにしてあげて。そしたらきっと、巡り巡って私に帰ってくるから。」

そんな言葉をいただいたこともあります。人の行いも、きっと、廻るんでしょう。


木曽で生まれた商品たちも、

地球の循環の中の、優しい素材で作られています。

良い商品は、誰かの笑顔を支えてくれる。

暮らしのすぐ隣に良いものをおくと、日々の生活が幸せになります。

そうすると、もしかしたら、他者に対しても優しくなれるかもしれない。

手元に届いた商品が、優しい笑顔の循環を生み出すことができたら、それはやさしい社会の始まりになるかもしれない。


少なくとも、職人の素晴らしい工芸品の魅力を理解し、

手元においてくれる人は、

職人に小さな幸せを、すでにくれています。

そこからもきっと、幸せの連鎖は始まるでしょう。


そんなことを願い、土-とおいち-をはじめます。