日本には、約1億2千万人の人々が暮らしています。そのひとりひとりに、「人生」という物語が存在しています。今まさに物語がスタートした人もいれば、人生の岐路を迎えている方もいるでしょう。そのひとりひとりの「人生」という物語をカタチにしたいという想いから、自分史制作を事業とする「かなでる」を創業しました。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーわたしは、高校生の時に父を亡くしました。当たり前の日常は、突然悲しみに耐える日常へと姿を変えました。信じられない気持ちを抱えたまま、父と再開を果たしたときに「父と、もう2度と会えない」ことを認識しました。たくさん涙を流しました。ほんとうに、たくさんの涙を流しました。状況を理解し、心を整理するには、あまりにも若すぎたわたしは「いつも通りに学校へ行き、授業を受け、部活をして帰る」そうすれば、心もやがて平穏を取り戻すものだと考えていました。しかし、悲しみは容赦なくわたしを執拗に追いかけ、なかなか開放してくれませんでした。母に心配を掛けないように、お風呂場の湯船に潜って毎晩のように泣きました。たくさん泣きました。ほんとうに、たくさん泣きました。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー父はどんな人生だったのか。どんなことで悩み、どんな決断をして歩みを進めてきたのか。幸せだったのか。不幸だったのか。父に直接聞くことはできません。彼が歩いた道を、父の視点から聞くことは2度とできないのです。もし、父の人生を記した書籍を作っていたならば、紡がれた言葉や何気ない日常のエピソードから、父を感じることができたでしょう。記された経験から、直面する困難を切り抜けるヒントを得ることができたかもしれません。出生のエピソードから、人生を歩く意味を見いだせた可能性もあります。生命を持つものは、残念ながら生まれた瞬間から死に向かって歩き出しています。その秒針が0を指し示す前に、あなたの大切な人と語り合ってほしいのです。『人生を書籍に残す必要はありません』あなたの大切な人と、たくさん話しをしてほしいんです。たくさん、どんな話題でもいいので、たくさん話しをしてください。そして、あなたの想いも、ちゃんと伝えてあげてください。しかし、近い存在ほど「感謝を伝えたり、人生を聞く」というのは難しいものです。その役目をわたしたちが「自分史」というカタチで担います。大切なひとの人生を記した本は、あなた以外のひとにとっては無価値なものでしょう。しかし、あなたにとっては値段をつけることができない宝物になります。