ペトリ村の築100年の集会所が、刺繍のタペストリーとともに火災で焼失しました。カロタセグの刺繍イーラーショシュ存続のために私たちにできること。今こそ村の復興のために祈りをこめ、村の人々とともに刺繍をしましょう。ペトリ村との出合いカロタセグ、ペトリ村の地を初めて踏んだのは、2010年の夏のことでした。イーラーショシュを縫う女性たちがいるという話を耳にし、旦那と当時幼稚園生だった息子とともに交通手段のない村まで列車とヒッチハイク、歩きで村にたどりつきました。まるで時計の針がそこだけ止まったかのような小さな村。民俗衣装を着たおばあさんたちが教会の壁の日陰で集い、楽しそうに刺繍をしながらおしゃべりをする風景に遭遇しました。その時、古くからの女性と手仕事のあり方が自ずから分かった気がしたのです。さらに布に図案を描く図案描きの職人さんトゥログニ・アンナさんや、刺繍の作り手のおばあさんたちと知り合いになるうちに、伝統刺繍が今もなお生きているこの村から、イーラーショシュを広めたいという想いが強くなっていきました。→ペトリ村のエピソードはこちらペトリ村の集会所火災小さなペトリ村には、学校も診療所もなく、牧師さんも住んでいません。かつて牧師さんの住まいだった古民家が、村の集会所として冬の間に礼拝所として使われていました。過疎化した村では、ほとんどが高齢のおばあさんが一人で暮らしています。村人たちの拠り所である集会所では、かつて刺繍のワークショップなども行われてきました。私たちが訪れた時は、うす紫のライラックが香る中を緑色の門をくぐって、集会所に入りました。地元新聞記事によりますと、昨年2024年12月1日に突如として起こった火災は、たちまちにペトリ村の集会所を火で襲い、消火作業も空しく、築150年の木造建築の一室と屋根は、あっという間に燃え尽きてしまいました。荒れ果てた家屋の写真を見ると、あの美しい木造家屋と同じものだったことがにわかに信じがたいほどです。それに合わせて、古い刺繍のタペストリーや古い書類や電気製品なども失ってしまったそうです。カルバン派教会のほうでも支援を呼びかける活動がはじまりました。それに応じて、私も微力ながら、村の共同体のために何かできないかと思案するようになりました。→トランシルヴァニアのカルバン派教会の支援サイトはこちら→火災の被害状況が分かる、現地の新聞記事はこちらとこちら私たちのプロジェクトについてトランシルヴァニアに17年在住の伝統刺繍研究家、谷崎聖子が、ペトリ村のおばあさんたち、現地のカメラマンたちといっしょに行います。刺繍を通じて、トランシルヴァニアと日本を繋いできた長年の経験を生かして、今回、村の共同体のために何かできることはないかと思案した結果、この支援活動を行うことに行きつきました。このプロジェクトの大きな柱は3つです。1.長年培った信頼関係をもとに、2025年4月にオンラインワークショップを行うこと、2.ペトリ村の図案描きのおばあさんたちによる手描きの図案をお届けすること、3,村のおばあさんたちが手がけた刺繍作品をお届けすること。火災で炎上した集会所への支援によってカロタセグの地域活性化を図り、村の女性たちに仕事をもたらすことによって、カロタセグのイーラーショシュという刺繍文化を活性化させることが大きな目的です。こちらの売り上げの一部を村で火災に遭った集会所のために、責任をもってお振込みさせていただきます。カロタセグとはルーマニアのトランシルヴァニア地方の西部、西カルパチア山脈に近く、ハンガリーの国境の近くにあります。第一次大戦まではハンガリー王国に属していたため、ほとんどがハンガリー人の村からなります。カロタセグは民俗文化の宝庫で、中でも地域によって異なる民俗衣装や手仕事の文化がすでに19世紀末ごろから注目を浴びていました。今でも村には嫁入り道具をしまった「清潔の部屋」が見られ、その多様で華やかな刺繍や織り、レースの美しさは目を見張るものがあります。高齢の女性は今でも民俗衣装を普段から着る習慣があり、キリスト教の祝日には若い女性たちも民俗衣装の晴れ着で教会に行く姿が見られます。イーラーショシュとはカロタセグに特徴的な刺繍、チェーンステッチの変型判。まるでコードのような太いステッチで、単色により複雑な植物模様を描いていく刺繍です。もともとはハンガリー語で下絵に沿った刺繍を意味していましたが、カロタセグのイーラーショシュが有名になりました。昔はチェーンステッチの小さいイーラーショシュもありましたが、オープンチェーンステッチの大きいイーラーショシュのみが残りました。カロタセグでも上地方、下地方で盛んに作られてきましたが、現在では高齢のおばあさんたちの手によって辛うじてこの刺繍文化が存続しています。→イーラーショシュについてはこちらイーラーショシュを広める活動2011年夏にはじめて東京の神保町で展示会を開催し、私たちが収集したトランシルヴァニアの美しい伝統衣装や伝統刺繍を展示するとともに、「バルツァシャーグの伝統刺繍」を自費出版し、イーラーショシュの刺繍キットを販売を始めました。2015年6月に文化出版局から「トランシルヴァニアの伝統刺繍イーラーショシュ」を、また9月に誠文堂新光社から「カロタセグのきらめく伝統刺繍」を出版。2021年、2023年に日本三か所の県立美術館で開催された企画展「糸で描く物語 刺繍と、絵と、ファッションと。」にて、コレクション30点が展示されました。また、現地の作り手や美しい手仕事を紹介するため、伝統刺繍のツアーの企画や案内も行っています。2021年から「トランシルヴァニアから伝統刺繍を広めたい!」オンラインワークショップを開催。トランシルヴァニア各地の村から、現地の刺繍職人たちとともに実況中継で刺繍の講習会をこれまでに19回決行しました。→「森の彼方-トランシルヴァニアへの扉」HPはこちら「トランシルヴァニアから伝統刺繍を広めたい!」とはコロナ流行の真っただ中、2021年に初めて開催したオンラインワークショップ。現地の刺繍の作り手たちのお宅にお邪魔をして、手仕事の生まれたまさにその場所で、現地の第一人者から刺繍を習うことができます。案内役の谷崎聖子が通訳をして、トランシルヴァニアと日本を結び付けます。生放送ですので、分からないことや質問、感想等がすぐに相手に伝わり、コミュニケーションが取れるのも大きな利点です。日本にいながら、トランシルヴァニアの村へ手芸の旅へ訪れることができるような体験。それまで刺繍のワークショップをオンラインで行う試みはあまり前例がなかったものの、現地の撮影家とともに試行錯誤をして生み出したシステムにより、これまでに6回、全部で19講座を開設してきました。講習内容は、カロタセグのイーラーショシュ、ビーズ刺繍をはじめ、トロツコーのアウトライン刺繍、編みクロスステッチ刺繍、アーラパタク村の編みクロスステッチ刺繍、シク村のアウトライン刺繍、バルツァシャーグのスモッキング刺繍、クロスステッチ刺繍、ウドヴァルヘイ地方の刺繍など。現在もアーカイブでいつでもご参加いただけます。→過去のオンラインワークショップについては、こちらリターンについて本プロジェクトは集まった資金が目標金額に満たなかった場合、オンラインワークショップの開催や集会所への寄付は行われず、リターンの履行も行われない「All or Nothing方式」を採用しています。不成立となりますと支援者の方々にご返金となりますので、リスクの少ないプロジェクトです。ワークショップを開催できるように、皆さま方にもページのシェアや告知にご協力いただけますようお願い申し上げます!【4/13(日)開催のイーラーショシュ、オンラインワークショップ+録画映像つき】日本時間で20:00~22:00までを予定しております。現地からZOOMミーティングによる2時間のオンラインワークショップを行い、約1週間後までに高画質の録画映像をお届けいたします。ワークショップ開催の3日前までにZOOMのご招待状をお送りいたします。もちろん、当日ご都合がつかない場合は、録画映像のみのご視聴でも構いません。材料は、今回のオリジナルキットを使用することもできますが、現地の図案付きキットは、それぞれ図案や形が変わりますので、ワークショップ用にデザインを統一した簡易キットもご用意いたします。(キットは、ワークショップ本番前3日前後にお届けの予定でございます。)【イーラーショシュ、オリジナルキット】(手描きの図案つき布+刺繍糸+針+レシピ)ペトリ村の図案職人トゥログニ・アンナさんやボーディシュ・イロンカさんが手描きした布をお送りいたします。円形、正方形、ポケット型など形もさまざま、模様もそれぞれ、どれも一点ものの図案となります。手作業で手間ひまがかかりますため、お届けは6月上旬を予定しております。(こちらをワークショップに使用される場合は、ご注文の際に、その旨をご連絡くださいませ。3月15日までにご連絡を頂きました場合、4月上旬までにお届けいたします。)・ミニクロス:25×25㎝サイズの手描き図案つき布、イーラーショシュ専用刺繡糸25g、日本製針1本、レシピ・正方形クッションカバー:40×40㎝サイズの手描き図案つき布、イーラーショシュ専用刺繡糸50g、日本製針1本、レシピ・長方形クッションカバー:50×40㎝サイズの手描き図案つき布(アンティークの手織布)、イーラーショシュ専用刺繡糸100g、日本製針1本、レシピ【イーラーショシュ、刺繍の作品】ミニクロス、ブックカバー、クッションカバーの全3種類となります。完成まで手間ひまがかかりますため、お届けは6月上旬を予定しております。・ミニクロス:15~20㎝サイズの円形・ブックカバー:Sサイズは普通の文庫本サイズ(約16×25㎝)Mサイズは大きめの文庫本、聖書、賛美歌サイズ(約17×26㎝)・クッションカバー:40×40㎝正方形サイズと40×50㎝長方形サイズ集会所への支援と資金の使い道資金の使い道皆様からいただいた支援は、下記費用に活用させていただきます。なお、ワークショップの参加人数が予想を上回り、目標金額を超える支援が集まった場合は、ストレッチゴールとして、今後のワークショップ開催に向けたカメラ・PC機材などの購入に充てさせていただきます。・ワークショップ開催費2名のカメラマン、講師のおばあさんたちへの謝礼、カメラ資材レンタル費、交通費、宿泊費など・リターン制作費+送料イーラーショシュオリジナルキットおよびイーラーショシュ刺繍作品のリターン等にかかる、刺繍糸や布の材料費、現地の刺繍職人への謝礼、ルーマニア国内+ルーマニアー日本間の国際送料+日本国内のレターパック送料など・MotionGallery手数料集会所への支援に関してMotionGalleryに支払う手数料を差し引いた売り上げ額の20%(刺繍作品のみ10%)を集会所の支援先にお振込みする計画でございます。プロジェクト成立後、2025年5月末〜6月初週に皆様からの支援の振り込みが行われた後に、6月上旬に集会所の支援先へとお振込みをし、その領収書控えを皆さまにお送りさせていただきます。トランシルヴァニアからお品の発送カロタセグ地方から私の住まいへは400㎞ほど離れているため、郵便でお品が発送されます。町の郵便局では国際郵便の窓口が週に一日しか開いておりません。そのため、刺繍の完成品、もしくは図案が私の手元へ届き、さらに日本の実家に届くまでに3週間前後のお時間がかかります。皆さまのお住まいまで実家の父親が仕分けをして発送をいたします。2025年5月末〜6月初週に支援金が私の元に振り込まれ、皆さまの元へお品を発送するのに、6月上旬を考えております。(オンラインワークショップの簡易キットを除く)やむを得ない事情により遅延等が発生した場合は、メールやアップデート記事にて速やかに進捗をご報告いたします。谷崎 聖子 プロフィール1978年4月29日宮崎県生まれ。伝統刺繍研究家。2022年、大阪外国語大学ハンガリー語学科卒業後、2004年までハンガリー政府奨学生としてブダペスト大学フォークロア学科に在籍。2008年以降、ルーマニア,トランシルヴァニア在住。ハンガリー人少数民族の夫とともにトランシルヴァニア各地を巡り、各地の伝統的な手仕事の今を取材、本や雑誌などで紹介し、トランシルヴァニアの手仕事、農村の文化などを紹介する展示やワークショップも行っている。また自身も伝統刺繍を学び、製作している。2010年に企画展を夫とともに主催したことをきっかけに、ルーマニア、トランシルヴァニア地方の刺繍をテーマとした展示会を定期的に企画している。同時に刺繍のワークショップを日本各地で多数開催。2016年に台北、2023年にバンコクにて開催する。トランシルヴァニアの民俗衣装、伝統刺繍を収集している。三か所の県立美術館で開催された企画展「糸で描く物語 刺繍と、絵と、ファッションと。」にて、コレクション30点が展示された。2021年から「トランシルヴァニアから伝統刺繍を広めたい!」オンラインワークショップを開催、トランシルヴァニア各地の村から、現地の刺繍職人たちとともに中継で刺繍の講習会を開いている。2023年1月に民俗学者シェレシュ・アンドラーシュ刺繍の会を発足した。現地では日本語を教える傍ら、日本文化に関する講演活動、「日本の日」を開催するなど日本文化を紹介する活動も行っている。ご支援いただく皆さま方へ小さな力が集まれば大きな力へと変わります。村の人々が再びいっしょに集うことができるように、小さな村が少しでも活性化するように、そしてイーラーショシュというカロタセグの刺繍文化がこれからも存続していけるように願いを込めましょう。イーラーショシュを愛する人たち、トランシルヴァニアが大好きな人たち、カロタセグの村の復興のお手伝いをしたい人たち、皆さまのご支援をお待ちしています!ペトり村集会所復興プロジェクトページ




