はじめに
このプロジェクトをご覧いただきありがとうございます。
株式会社紅梅夢ファームの鈴木ふみかと申します。
紅梅夢ファームは、福島県南相馬市小高区という地域にあります。スマート農業の積極的な導入、高卒・大卒の新卒採用や社内外の研修を取り入れた若手の育成など、従来の農業の枠を超えた方法で、今後のモデルとなるような営農を目指しています。
今回のプロジェクトをきっかけに、もっと私たちが作っている商品を手に取ってもらったり、震災前と今の南相馬市のことを知ってほしい。一緒に農業をしたり、南相馬に来てもらえたらもっと嬉しい。そんな思いから、プロジェクトへの挑戦を決めました。今回得た資金は、商品や地域のことをより多くの人に伝える手段として、私たちを応援してくれる方向けの会報誌をつくったり、地域内外でイベントをする資金にしたいと考えています。
私たちの地域は、東日本大震災と福島第一原発事故の影響を大きく受けました。もともとあった活気ある田園風景は失われ、人の手が入らなくなった畑が荒れていく様子を見ることに辛さを感じていました。そのため、私は農業を通して震災以前の風景を取り戻し、活気のある田園風景豊かな南相馬をより多くの人に知ってもらいたいという思いから、紅梅夢ファームに入社し、スマート農業の導入や産品の6次化などに取り組んでいます。生産している農作物に対しては熱い想いを込めるだけでなく、品質や安全面に対しても、自信を持っています。
一方で、現在感じているのは、そもそも商品を手に取ってもらうことや、商品を買ってから地域へ興味を持ってもらうことの難しさです。商品を購入してくださった方との関係は、販売者→購入者様のような一方通行の関係で終わってしまうことが多く、「田畑のある豊かな南相馬の暮らし」を体感したり、知ってもらえたり機会を作ることができずにいました。
私たちとしても、現状を何とかしたいと思いながらも、情報発信をしたり地域でイベントをするノウハウがなかったり、コロナ禍も重なったことで販売会の機会なども減ってしまったり、未来に向けて何をしたらいいのか...と思い悩む日々が続きました。
今回のプロジェクトを通じて、商品や私たちの思いを届け、会報誌やイベント出展などの活動を積極的に行っていけるようにしたいと思っています。少し長いですが、プロジェクトの思いを読んでいただき、ご支援いただければ嬉しいです。どうぞよろしくおねがいします!
原風景と農業
現状 - 震災の影響
まず、私たちの地域や活動の現状について少しご説明させてください。
私たちの法人がある福島県南相馬市の小高区という地域は、東日本大震災で地震の被害だけでなく、津波被害や原発事故の影響も甚大でした。震災があったその日から、周りの風景が一変。地震があった3月は、周りの草木たちが芽吹き初めて春の訪れを待つばかりのころ。いつも通りの春であれば、近所の方が田んぼで準備を始めたり、生き物たちが冬眠から覚め活動し始める時期でした。
海側の農地は、津波により瓦礫で埋め尽くされました。原発事故により避難指示が出されて、田畑を管理していた住民も小高を離れるしかなく、田畑や周りの山々の管理は強制的にストップ。住民が地域に戻れない間に、震災以前にはいなかったイノシシなどの動物が山から降りて来たりと、環境が荒れていきました。ご近所同士で一緒に取り組んでいた米作りの機会が失われ地域の交流がなくなり、地域の活気もなくなっていったように思います。
当時小学生だった私は、このような景色や地域の人達の状況を子供ながらに見つめていましたが、年月が立ち、周りの環境と地域の皆さんに育てられたことを強く感じるようになりました。自分が過ごしてきた自然体験だけでなく、そこで暮らす祖父母や地域の人達の笑顔や交流の思い出。そういったものが失われてしまうことは悲しく、あってはならない。そうした思いから、震災以前のように自然豊かで地域が活気あふれる風景を取り戻したいと強く思いました。
風景を取り戻したいのは、自分やお世話になってきた方達への思いだけではありません。私は自分より後に南相馬で生まれ育った子供たちも、震災以前のように農業体験をしたり、自然に触れ合える環境を作りたいと考えています。
震災後に生まれた子どもたちに、南相馬の風景はどのように映っているでしょうか?私が見てきたような、田畑あふれる風景を地元の景色として、将来思い出せるでしょうか。自然の中での生物調査や幼稚園で体験した芋堀りや収穫体験など、自然に触れ合う環境がたくさんあったでしょうか。
私自身もそうだったように、屋外活動を制限されたり、目に映る風景は被災し荒れた農地になっている子どもたちも、少なくないはずです。そして残っている記憶も、震災前の南相馬での暮らしより、震災後のことが印象強くなってしまったりしているのではと思います。同じ地域であるにも関わらず、故郷の景色が異なってしまうことを、私は寂しく思います。
みなさまにも、大切にしたい風景、思い出があるのではないでしょうか?
虫取りや川遊びをした自然の景色風景、家族と遊んだ公園の風景、日常の何気ない風景、身近な人達と楽しく過ごした場所。時代の中で変わっていくものはありますが、そうした自分を形作ってきたものがなくなってしまうのは、寂しくないでしょうか?また、そのような自分が楽しかったこと嬉しかったこと好きだったことを、次の世代にも受け継ぎ、体験してもらいたいたいと思いませんか?
紅梅夢ファームについて
私たち紅梅夢ファームは、農業という立場から地域の仕事と景色を取り戻そうと日々農業に勤しんでいます。農業従事者の全国平均年齢は67歳という中、平均年齢20代の若者達が集まり米や野菜を手塩にかけて栽培しています。農作物を通して、土地由来の味を継承することを大切にしています。
作物を育てることだけが農業の仕事だとは思っていません。代々受け継がれてきた田んぼや畑を管理し、その土地に面した環境を守り風景をつくることも、私たちの使命です。田んぼがあることによってカエルが生息し、鳴き声が聞こえる日常がうまれたり、鳥が集まってきたりします。私たちに田んぼを預けてくださっている住民の方からは、「紅梅さんが田んぼをやってくれるようになって、前みたいな日常を感じられるようになって嬉しい」といった声を聞くことができました。
なんでもないと思っている風景は、農業ができなくなることで連なって失われてしまうということを、震災で痛感しました。誰かが作付けをしなければ、畑に野菜が実ることも、稲穂で田んぼが黄金色に染まることもありません。震災によって、85%の農家が離農するという状況の中で、故郷の風景をなんとしても守りたいと、2017年、社長の佐藤が紅梅夢ファームを創設しました。初年度には9haだった耕作面積も、今年は過去最高の120haを見込むまでになりました。
しかし、依然として小高の営農再開率は18.6%、耕作面積は震災前の17%にとどまっています。その要因として、2つの課題があると感じています。
1つ目は風評被害の影響です。未だ福島の農産品は風評被害の影響を受けており、米の出荷価格は11,000円と全国平均よりも0.8%低くなっています。昨年米の価格がさらに騰落し、作った米が売れず、営業が難しいと考える事業者さんも多くいる状況です。
2つ目は農業の担い手不足です。もともと農業をやっていた方は高齢で再開が難しく、離農してしまう人が、特にこの地域では多くいました。他方、若い人たちは農業に対して、体力的にも精神的にもきつい職業のイメージがあるうえに、風評被害の問題も降りかかり、より農業を志す若者が生まれにくい状況になっていると感じています。
こういった風評被害の問題や、農業への負のイメージを払拭するために必要なのが、正しい現状を伝えることだと思っています。若手の私たちが被災地域の小高区で、かっこいい農業を目指し奮闘している姿や、安全な作物になるように栽培しているところを発信することは、地域活性化や農業の負のイメージの払拭につながるのではないか。そんな思いのもと、SNSでの発信にも取り組んできました。
https://www.instagram.com/kohbai_yume_farm/?hl=ja
風評被害を取り除くことができれば、私たちが育てる米を手に取ってくれる人が増えてくれるかもしれない。そうすれば、栽培する面積を増やすことができる。米の需要が高まれば、新しい人の採用もできる。就農者が増えれば、作付けできる面積も増えていくーーー。それは、私たちが描く、田園風景を取り戻すことに結びついていくのだと考えています。
これまで作ってきた作物や商品について
私たちは、「安心安全」を前提とし、徹底した品質管理や新しい技術を取り入れ栽培しています。土づくりから始まり日々の栽培管理、収穫作業などのすべての作業をデータ化し、より美味しい作物づくりを日々模索してきました。米栽培の他、営農再開の希望が見える作物になってほしいと想いを込めて育てている復興のシンボルの菜の花や玉ねぎ、大豆といった地域に根ざした作物作りをしています。
手に取ってもらいやすい商品を目指して、6次化商品開発にも取り組んでいます。売り上げの85%を占める「米」は、パッケージもリニューアルをして、この春から販売を開始する事ができました。以前よりある菜種オイル商品「浦里の雫」は、南相馬市のふるさと納税の返礼品にもなっており、菜の花オイルと食べるオイルシリーズは大変ご好評いただいております。
これまでに開発した商品
南相馬で育った一等級米「新世代」
「あたたかい食卓の手助けになるように、ふるさとを大切に想う若者たちが手塩にかけて育てた、信頼できるお米を提供します。」をコンセプトに生まれた商品です。スマート農業による栽培・製造工程管理など徹底した品質管理のための新しい挑戦。その結晶である「新世代」は、最先端技術だけではなく、しっかりと愛情を込めて育てたお米です。ふるさと「小高」を盛り上げていこうという、紅梅夢ファームメンバーの熱い想いが詰まっています。一人暮らしから家族やお年寄りまで寄り添いたい想いから、計量の手間も省ける2合サイズから販売をしています。お試しで食べていただいたり、ちょっとした手土産にしてもらったり、いろんな方に手にとってもらいたい、イチオシの商品です。
南相馬で育った菜種油を使用
「菜の花オイル 浦里の雫+食べるオイルシリーズ」
鮮やかな黄色に埋め尽くされた菜の花畑は、地域営農再開の希望です。収穫された菜種を焙煎し、「玉締め圧縮製法」で絞ります。原料の風味を損なうことなく、香り高いオイルを使った「食べるオイル」シリーズは、野菜や肉など、あらゆる食材に合うように試食を重ね誕生しました。
感じている課題
私たちの作った農作物を手にとってもらうべく、6次化商品の開発やパッケージのリニューアルに取り組んできました。一方で、モノを置いておくだけでは手にとってもらえない難しさや、認知の広がらなさなど、自分たちだけで販売することに限界を感じ始めています。
コロナ禍というご時世柄、販売会やイベント参加の機会も失われてしまいました。出店は、自分たちの思いを伝える場であり、お客様とコミュニケーションをはかる貴重な機会です。会話をすることで商品を手に取ってくださる方もいらっしゃたので、売り上げにもマイナスの影響が出てしまいました。
これからは私たちの思いや商品を、直接届けられるような「関係」をつくることが大事だと考えるようになりました。今回のプロジェクトを、関係づくりのきっかけにしたいと思っています。
米や商品を食べてくださる消費者の方、私たちの米を仕入れて使ってくださる飲食店オーナー、農業に関するイベントや販売会を一緒に実施してくださるビジネスパートナーとなってくださる方...そんな方たちと出会えたら、今より広く多くの方に、私たちの商品や活動を伝えられるのではと思っています。また、一緒に農業をやってくれる仲間とも出会えたらとても嬉しいです。実現できたら、農業を通して南相馬のことを発信したり、農地再生を盛り上げられるのではないかと思い描いています。
プロジェクトでやりたいこと
お客様との関わりをつくる
今回のプロジェクトをきっかけに、お客様との関わりをつくりたいです。ご支援いただいたみなさまは、LINEの紅梅夢ファーム公式アカウントに招待させていただきたく思っております。農作物の進捗をお知らせやオンラインショップで使えるクーポンの限定配信などを計画しております。ファンクラブ的な関係づくりを目指したいです。
企業パンフレットのリニューアル
私たちの管理している田畑の様子や農作物への思い、南相馬市の状況が伝わるような冊子をつくりたいと思っています。今回応援いただいた全ての方へ、リニューアルしたパンフレットを同封します。
イベントの実施
今年度は、小高区にあるカフェオムスビの方と一緒に、私たちの作った新米で握るおむすびを楽しむイベントを予定しています。ゆくゆくは、田植えや芋ほりなど、子どもから大人までワイワイ楽しめる農業体験をできるようになりたいです。
リターンについて
リターンでは「農産品を食べて応援!」「地域に足を運んで応援!」「ビジネスパートナーとして応援!」の3パターンをご用意しました。みなさまの関わりやすい形で、ご支援いただけますと幸いです!
農産品を食べて応援!
紅梅夢ファームの6次化商品や南相馬市の特産品のリターンです。今年実った「新世代」の新米やこれまでに作った商品をお楽しみいただきたいです。
地域に足を運んで応援!
農業体験や地域体験のリターンです。一緒に圃場を歩きながら南相馬に生息する草花を見つけたり、街歩きをしながら、今の南相馬をお伝えできればと思います。南相馬や紅梅夢ファームに興味がある方に応援していただけたら嬉しいです。
ビジネスパートナーとして応援!
私たちと一緒にイベント企画をしてくださる方と出会いたいです。育てた農産品を持ってイベントへ向かいます。ま
おわりに:私たちが実現したい風景、描いている未来
私は、幼い頃から畑仕事をするのが好きでした。家の中ではなく、とにかく外で、自然にふれあいながら遊んでいました。家の前には兼業農家だった祖父母が作る田園が広がり、家庭菜園には野菜が青々と実っていました。田植えや稲刈りの時期には、ご近所の方々も一緒に農作業をしていました。私はその中に混ざりながら、田畑のこと、周辺に自生する植物、その環境下で生きる動物のことなど、いろんなことを教わりました。
2011年3月11日の東日本大震災によって、私の住む南相馬市は被災しました。地震や津波だけではなく、原子力災害の影響もありました。放射線の影響が懸念され、緊急時避難準備区域に該当したため、屋外での活動は余儀なくされ、祖父母が大切にしてきた田んぼや畑には何も植わっていない状態が続き、どんどん荒れていくのを見ていることは、何よりも辛かったです。震災から時間が経ち、屋外での活動制限は緩和されていったものの、放射線のことは理解ができないままで、私も含め家族みんなが屋外での活動を懸念していました。
震災から3年経ったころ、作物に含まれる放射線線量を検査する条件で、農作物を出荷することが可能になりました。しかし、荒れた農地を一から震災以前のように戻すのは容易ではないこと、近所の方々も震災で避難を余儀なくされ離れ離れになったこと、祖父と祖母も高齢になり震災以前のように農作業をするのが難しくなったことなど...多くの要因が重なり、田畑が見せてくれる四季折々の光景を見ることや、農業を通して感じる人との関係などは、もう取り戻せないかのように感じました。
そんな中、メディアで南相馬市の農業を取り戻す!震災以前の光景を取り戻す!と南相馬市で農業を再開するべく活動をしている人を見かけました。私はその人に感銘を受け、農業の道に進むことを決め、今に至ります。
紅梅夢ファームに入社してから、仲間と一緒に、若い私たちの農業を発信してきましたが、前述したような課題に対しては、今まで通り自分たちだけでやっていくだけでは難しいと感じています。このプロジェクトを、紅梅夢ファームと南相馬市を知ってもらうきっかけにして、今後ますます、自分たちの活動を一人でも多くの人に届けていきたいと思っています。応援よろしくお願いいたします!!
資金の使いみち
・返礼品商品費
・パンフレットリニューアル費
・その他諸経費
・CAMPFIRE手数料
スケジュール
・企業パンフレットのリニューアルー10月
・お米のリターン発送 ー11月
実行者紹介
紅梅夢ファーム
2011年の震災で、ここ小高地区は避難指示区域となり、住民は各々各地へ避難することとなりました。被災地となり、農業ができなくなってしまった状況でしたが、2012年には営農再開を目指し、アグリマックス21が水稲の試験栽培・実証栽培に取り組みはじめました。安全が実証され、避難指示が解除された2016年の翌年、「紅梅夢ファーム」は法人としてのスタートを切りました。スマート農業の積極的な導入、高卒・大卒の新卒採用や社内外の研修を取り入れた若手の育成など、従来の農業の枠を超えた方法で、今後のモデルとなるような営農を行っています。
会社HP: https://kyf.co.jp/
代表・佐藤良一
私たちの「夢」は、故郷の農地、そして景観を守っていくこと。これからもこの地で一生懸命農業をやりたいという、地域の皆さんと共に頑張ってまいります。 さらに、地元出身の若者を育て、農業の良さ、魅力をもっと伝えて行きたいと考えています。今後は、農産物の生産にとどまらず、米の少量パックや加工品の販売にも力を入れるため、社内外の声を広く取り入れ、アグリマックス21と連携し、自社商品の開発に取り組んでまいります。『明るく、楽しく、真剣に』をモットーに、若い担い手が農業に魅力とやりがいを感じ、儲かる農業、他産業に負けない職場環境づくりをこれからも進めてまいります。
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
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