映画業界の労働環境が、他の業界に比べて、また外国と比べて、おかしいと感じている人は少なくないでしょう。
労働時間だって長いし、徹夜は続くし、契約はないし、ギャラだっていつ払われるのか(払われないのか!?)わからないし・・・ジェンダー不平等はあからさま。映画愛を振りかざした精神論でブラックになる現場も少なくない。
action4cinema の活動を通し、様々な業界関係者と言葉を交わす中で、自分の世代はガマンするけど、次の世代にこの映画業界をこのまま渡していくのは忍びない、という制作各部署の重鎮の方々の内なる思いを多く聞きました。
みな、映画業界の構造的問題に気づいている。
・労働時間をごく普通にしてほしい
・契約をイン前に結んでほしい
・ギャラは透明性をもって説明・支払してほしい
・子育てをふつうにしたい
・ジェンダー平等がスタンダードになってほしい
・ハラスメントは絶対NGという現場の空気になってほしい
・もし問題が起きても、頼れる外部機関があってほしい
など、気づいているんです。
ただ問題が巨大すぎて、どうすればよいのかわからない。
だからこそ、業界改革のまず第一歩として、僕たちはそれを説明する「言葉」、何故おかしいのか説明する「言葉」を持たなければいけない。
現場で働く人々の無意識を言語化し、数値化し、社会にわかってもらう「言葉」です。何がおかしいのか、数字で、証拠で示すために。
それには徹底したリサーチが必要です。
日本の映画業界を変えるための「言葉」を組織しようというJapanese Film Project 。
とても重要なプロジェクトだと思います。
10年後、20年後の映画界のために汗をかいている人を応援したいと思います!
僕自身も、自作の現場から進んで変えてゆきたいと思います。
舩橋淳
映画作家/ action4cinema
【プロフィール】2000年ニューヨークで映画を撮り始め、処女作『echoes』がアノネー国際映画祭で審査員特別賞・観客賞。第二作『Big River』(主演オダギリジョー)はベルリン、釜山国際映画祭等でプレミア上映された。福島原発事故を描いた「フタバから遠く離れて」(2012)はベルリン国際映画祭で上映。音楽担当の坂本龍一と登壇し、世界に向けフクシマの窮状を訴え、その後世界40カ国以上で公開された。2013年メロドラマ『桜並木の満開の下に』(主演:臼田あさ美、三浦貴大)で、ベルリン国際映画祭へ5作連続正式招待の快挙。2018年監督した日葡合作「ポルトの恋人たち 時の記憶」では、柄本佑がキネマ旬報最優秀男優賞。日本のジェンダー不平等を問いかける最新作「ある職場」は現在劇場公開中。著書に「まだ見ぬ映画言語に向けて」(吉田喜重監督との共著、作品社)「フタバから遠く離れて」「フタバから遠く離れて 第二部」(ともに岩波書店)など。オフィシャルHP:www.atsushifunahashi.com