はじめに・ご挨拶
私、鵜飼 正保 (うかい まさやす)と申します。愛知県出身で、県立一宮高等学校を2006年に卒業しました。2013年に日本獣医生命科学大学 獣医学部獣医学科を卒業し、獣医師として現在まで働いています。現在カナダのOntario Veterinary College(OVC)という大学の大学附属動物病院で全科研修医 (インターン)をしています。獣医学先進国であるアメリカでの博士号学位(Ph.D.)並びに米国獣医内科学会(American College of Veterinary Internal Medicine; ACVIM)神経内科・神経外科専門医(Diploma)の同時取得を目指し、この秋よりコロラド州立大学獣医生物医科学部(College of Veterinary Medicine and Biomedical Science, Colorado State University)への進学に備えています。
専門医取得のためのResidency(専科研修)を4年後に終え、専門医資格を取得できます。博士課程についてはさらに1-2年必要であり、全部で5-6年かかると予想されます。
このプロジェクトで実現したいこと
現在日本には獣医学先進国である北米の専門医資格 (獣医師免許を獲得後、専門医トレーニングを受けることにより取得できる)を有し、獣医療に従事しているものが非常に少ないのが現状です。私の専科は獣医神経内科/神経外科です。獣医神経科に関して言えば、現在資格を有した専門医はたった一人しか日本におりません。そのため、米国での高い専門知識を日本に持ち帰り、日本の獣医医療のレベル、特に神経学のレベルを高めるために北米への留学を決意し、現在までに修士課程 (Master of Veterinary Science )をOntario Veterinary College (OVC), Canadaにて終え、そして現在全科研修医 (small animal rotating intern)としてOVCの付属病院にて働いています。
幸運にも、数ある候補者の中から米コロラド州立大学に選んでいただき、今秋より専門的なトレーニングを開始する予定です。問題なのが、授業料、生活費を含めた費用です。アメリカの獣医療における授業料が非常に高額であり、年間380万ほどかかります。保険料、生活費を含めるとおそらく年間600万はかかると想定されます。もしみなさまからの援助をいただけるのであれば、北米の最先端の知識と技術を出来る限り多く習得し、それらを日本に持ち帰り、日々の神経疾患の動物たちを救うだけではなく、獣医師のたまごや新人獣医師の育成にも従事しようと考えています。そのような活動が、いずれ日本の獣医学、特に神経内科・外科学の質の向上につながることを期待します。
プロジェクトをやろうと思った理由
すでに獣医師であるのに、なぜ北米に行く必要があるのかという疑問をお持ちかと思います。日本には残念ながら、国際的に認められた専門医資格というものがなく、国家資格である獣医師免許を獲得後、一般診療医として働きます。もちろんその中には、専門的に一つの科を学び、臨床に生かしたいと思う者もおります。その場合は、ベテランの獣医師に学ぶか、独学で勉強するのが定石です。つまり、日本では専門的な訓練や知識を本当の専門医から受けれないということです。そのため、ベテラン獣医師から指導を受けても完全にその分野を網羅することや最新の治療を提供することは難しいのが現状です。
では、何が北米の専門医がすごいのかという点です。まず、北米には専門医を育成するプログラムが数10年前より設けられ、毎年各大学1名を各科が受け入れ、専門医教育を施します。そして、症例数も非常に多いため、3-4年のトレーニング経験で一般の臨床医が一生で経験する専門的な症例を経験できます。もう一つ重要な点は、すべての最新の情報は、当前ですが、英語にて各ジャーナルに論文として掲載されています。この教育期間に毎週、論文に関するディスカッションを行い、統計的なデータと最新の有効的な治療法に関する知識を得て、治療に従事します。日本では語学の壁もあり、日常的に行われていません。
さらに博士課程に関してですが、このような知識が豊富である専門医の指導の下、臨床的な治療研究を行い、将来のコンパニオン動物の 生活の質の改善や、命を救う治療を見つけます。このプログラムにおいて、臨床トレーニングにて日々の神経症状を患った動物を救い、博士課程の研究において将来の膨大な数の神経疾患患者の生活の質の改善と救命を行えると考えています。
このプログラム終了後、日本に帰還し、培った膨大な知識と最新の治療法を日々の診療に生かし、それだけではなく、新人獣医師の育成や、獣医大学へ訪問し、講演を通して獣医師のたまご・ひよこたちへの教育を行いたいと思っています。
しかしながら、費用面にて大きな壁に直面しました。米国の授業料が非常に高額であり、長期的なプログラムでもあることから、個人では賄いきれないと判断しました。貯金や家族、知人へ相談、奨学金等を検討し、実行しましたが十分な資金は集まりませんでした。北米の各獣医大学でトップ数%にランクされた獣医師たちが、毎年各大学の各科(例えば、神経科、内科、外科、循環器科等)の1つのポストをかけて争います。倍率は非常に、非常に高いです。そのため、せっかくのチャンスを、次に巡ってくるかどうかわからないチャンスをどうしても諦めたくありませんでした。いろいろと調べた結果、CAMPFIREに辿り着きました。うまくいく保証がないことは分かっていましたが、このCAMPFIREプロジェクトをやらずにはいられませんでした。
これまでの活動
獣医師としての臨床経験
カナダにて
- 2021-2022: カナダのオンタリオ州獣医大学にて小動物全科研修医 (Small Animal Rotating Intern)
- 2021: カナダのオンタリオ州獣医大学にてリサーチアシスタント (Research Assistant/ Technician I)
- 2020: カナダのオンタリオ州獣医大学にて獣医学生の臨床試験の試験監督(Objective structured clinical examination (OSCE) Examiner in DVM program)
-
日本にて
- 2013 – 2018: 埼玉動物医療センターにて勤務獣医師 (一般診療科および神経科を担当)
研究に関する実績
過去の論文執筆 (Publications)
- -Ukai, M., Parmentier, T., Cortez, M., Fischer, A., Gaitero, L., Lohi, H., Nykamp, S., Jokinen, T., Powers, D., Sammut, V., Sanders, S., Tai, T., Wielaender, F., James, F. (2021). Seizure frequency discrepancy between subjective and objective ictal EEG data in dogs. Journal of Veterinary Internal Medicine, 35(4), 1819-1825. https://doi.org/10.1111/jvim.16158
- -Chawner, E., Ukai, M., Sears, W., James, F. (2021). Frequency of non-generalized tonic clonic seizures in dogs: Absence and Focal seizures.
The Veterinary Journal (In submission). - -Kanazono, S., Ukai, M., Hiramoto, A. (2021). Case report: abnormal behavior episodes associated with zonisamide in three dogs.
Frontiers in Veterinary Science, section Veterinary Neurology and Neurosurgery, n/a,n/a https://doi: 10.3389/fvets.2021.763822 - -Ukai, M., Parmentier, T., Cortez, M., Fischer, A., Gaitero, L., Lohi, H., Nykamp, S., Jokinen, T., Sammut, V., James, F. (2020). Evaluation of “underreporting of seizures” with electroencephalography (EEG) in canine epilepsy [abstract].
Journal of Veterinary Internal Medicine, 34(6), 2869.
https://doi.org/10.1111/jvim.15904 - -Ukai, M., Hamamoto, Y., Yu, Y., Fujiwara-Igarashi, A., Fujita, M., & Hasegawa, D. (2018). Efficacy of zonisamide on interictal electroencephalography in familial spontaneous epileptic cats.
Journal of Feline Medicine and Surgery, 20(10), 962-967. https://doi.org/10.1177/1098612X17740247 - -Rimpo, K., Tanaka, A., Ukai, M., Ishikawa, Y., Hirabayashi, M., & Shoyama, T. (2018). Thrombin-antithrombin complex measurement using a point-of-care testing device for diagnosis of disseminated intravascular coagulation in dogs.
PloS One, 13(10).
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0205511
学会発表 (Scientific conference presentations)
- -Ukai, M., Parmentier, T., Cortez, M., Fischer, A., Gaitero, L., Lohi, H., Nykamp, S., Jokinen, T., Sammut, V., James, F.
‘Seizure under-reporting phenomenon’ in canine epileptology. [Oral presentation].
In: 13th Annual University of Guelph Neuroscience Research Day, July 21st, 2020, University of Guelph.
- -Ukai, M., Parmentier, T., Cortez, M., Fischer, A., Gaitero, L., Lohi, H., Nykamp, S., Jokinen, T., Sammut, V., James, F.
‘Underreporting of seizures’ confirmed with electroencephalography (EEG) in epileptic dogs. [Poster presentation].
In: 13th Annual University of Guelph Neuroscience Research Day, July 21st, 2020, University of Guelph.
- -Ukai, M., Parmentier, T., Cortez, M., Fischer, A., Gaitero, L., Lohi, H., Nykamp, S., Jokinen, T., Sammut, V., James, F.
Evaluation of “Underreporting of seizures” with electroencephalography (EEG) in canine epilepsy. [Poster presentation].
In: 2020 ACVIM forum on Demand, June 2020.
- -Ukai, M., Parmentier, T., Cortez, M., Fischer, A., Gaitero, L., Lohi, H., Nykamp, S., Jokinen, T., Sammut, V., James, F.
Evaluation of “Underreporting of seizures” with electroencephalography (EEG) in canine epilepsy. [Oral presentation].
In: Ontario Veterinary College Ground Rounds, March 20th, 2020, in University of Guelph.
- -Chawner, E., Ukai, M., Sears, W., James, F.
Absence Seizures in Dogs – Identification and Potential Treatments. [Poster Presentation]. In: OVC 2021 Summer Core Program. August 18, 2021, University of Guelph, Guelph, Canada. - -Chawner, E., Ukai, M., Sears, W., James, F.
A retrospective study of absence seizures in canines. [Poster Presentation].
In: 2021 Veterinary Scholar Symposium, August 4th, 2021, Iowa State University, Ames, Iowa, USA. - -Dobronyi, S., Ukai, M., James, F.
The effects of testosterone/sex status on electroencephalography (EEG) ictal event frequency. [Oral presentation].
In: The 2021 Graduate Student Research Symposium, June 22, 2021, in University of Guelph - -Kanazono, S., Ukai, M., Mori, S.
Presumptive antiepileptic drug-related abnormal behavior episodes in two dogs. [Oral presentation].
In: Asian Meeting of Animal Medical Specialties (AMAMS), October 2019 in Shanghai, China
過去の受賞 (Awards)
カナダのオンタリオ州獣医大学にて(大学院修士課程)
- -Ontario Graduate Scholarship (2019 - 2020). One of 4 international students awarded in Ontario Veterinary College, University of Guelph, Canada. $15,000 for graduate program tuition.
日本獣医生命科学大学にて(獣医学部獣医学科)
- -Graduated with honors and placed top in the class (2013) in Nippon Veterinary and Life Science University, Tokyo, Japan
- -Musashino Award (worth US$9,000) in Nippon Veterinary and Life Science University for the top 3 outstanding students (out of 100 students). I received that award for four years (2009 – 2012).
リサーチファンディング (Research funding)
カナダのオンタリオ州獣医大学にて(大学院修士課程)
- -Pet Trust Research Competition (2018 - 2021). Title: Assessment of antiseizure drug (ASD) efficacy by electroencephalography (EEG) for dogs with idiopathic epilepsy (IE). Internal funding awarded, Ontario Veterinary College, University of Guelph, Canada. $16,894.
- -AKC Canine Health Foundation Oak grant (2021). Title: Assessment of frequency of seizures and antiseizure drug (ASD) efficacy by electroencephalography (EEG) for dogs with epilepsy. $83,318.
資金の使い道
上記で述べさせていただいたように、みなさまから援助していただいた資金はすべて米コロラド州立大学の授業料等に当てさせていただきます。授業料は年間380万かかります。仮に、もし援助していただいた資金が380万を上回ることがあれば、ありがたく翌年の授業料に回させていただきます。
CAMPFIRE様よりこの場を借りて、このプロジェクトを立ち上げています。そのため、援助いただいた金額の12-15%程度は手数料に使用されます。
設定金額:350万円
>授業料等:約290万円
>リターンの制作費や送料:約18万円
>CAMPFIRE掲載手数料・決済手数料:約42万円
リターンについて
援助していただいた皆様の獣医関係の、特に神経学関連のご相談にメール等にて無料でお答えできるようにしたいと考えています。2023年1月から2026年12月まで、何度でも対応可能にします。早急な返信は出来ないため、緊急な場合は最寄りの救急病院へご連絡をお願いします。返信までに約5日程度の時間がかかりますので、ご了承ください。
別のリターンとして、コロラド州立大学のポストカードなどお送りしようと考えています。
実施スケジュール
このResidency(専科研修)/PhD (博士課程)のプログラムはこの秋から始まります。もし費用を賄うことが出来れば、プログラムを継続でき、専門医資格/博士号を取得後、日本に知識と経験を還元します。
2022年9月 樹医神経専科研修/博士課程プログラム開始
2022年12月− 2023年2月 リターン発送
2023年1月 メールでのご相談 開始
2026年 6月 米国獣医内科学会 神経内科/外科専門医資格 取得
2027年 12月頃 博士号 (PhD) 取得
最後に
アジア人が北米にて獣医療で専門医を取得するのは言語の壁、異なった教育システムや日本の獣医師免許を直接適用できないなどの理由により、非常に困難であるのが現状です。そのため、非常に少数しか日本にはおりません。獣医神経学に限ってはたったの一人です。しかし、日本には多くのペットが飼育され、神経疾患を罹患する動物たちもまた多いです。私は獣医学部を卒業後、勤務獣医師として5年、埼玉県にある二次診療施設である動物医療センターにて従事しました。当時より神経学に興味があり、神経患者の治療を主に行ってきました。
神経患者へのスタンダードの治療がprimary careの獣医師に行き届いていなかったり、古い治療が変わらず用いられ(アップデートされていない)ていたことを記憶しています。そして、私自身に関しても、もし専門医と同じだけの知識と経験があれば、救えた命がきっとあったと何度も振り返っては後悔と反省を繰り返し、一人でも多くの動物たちの命を、また彼らの生活の質を向上させるために、大学卒業以来、9年間一歩ずつ夢に向かって進み続けてきました。そして、やっと専門医になるための、きっぷを手に入れました。経済的な問題のためにこの2度とないかもしれない機会を逃すのは、絶対に避けたいです。大袈裟かもしれませんが、もし私がこのプログラムを終え、日本に帰還した際には日本の獣医療へ必ず恩恵をもたらせると信じています。どうか皆様、私の長年の夢の実現に、将来の日本の獣医神経学の向上に、お力添えをいただけないでしょうか。
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
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