絵図に時間軸を作って風が吹くように季節を動かしたい。この絵図には時間軸があります。過去から現在、未来へと経過していく時間の流れ 、変える事のできない、すべての人に平等に与えられたもの。絵図の一番左は1月、一番右は12月として時間を設定して月日を表現。また、人が生まれてから命が終わるまでの時間軸も存在します。人は生まれ、どんな人とご縁があり、地域のどんな行事に参加して人生を送ったのか、何を見て、何を感じて生きていたのか、人の一生の歳月も左から右に行くにつれて進むように描きました。ねらい作品の流れに視点をまかせることで、自然と作品を見る事ができるのではないか。絵巻物を見ているように、絵図の物語を見てほしいと思ったから。一番左の1月にはお正月の行事を描き、8月には送り火の行事が集まり、絵図上には五山の送り火があります。一番右の12月には新年に使うお正月の飾りを作る家族を描いています。大きな赤い矢印の動きのように人の一生も一年の月日も過ぎていくその中心の『船山』は、始まりと終わりとして存在しています。ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず (方丈記)川の流れのように、幸せも、悲しみも、時とともに過ぎていき、なにごとも移り変わっていく、人の人生とはそういうはかないものかもしれません。しかし、それぞれの流れの中で私達はほんの一瞬を生きていますが、情熱をかけて生きていること、その土地の歴史に比べれは点にすぎないかもしれないけど、毎年同じ行事を同じ場所で行い、親から子へ里で暮らす技の継承を繰り返していくことで次の世代に受け継がれ、『点』すらも、何度も繰り返すことで大宮という土地に根付いてこの場所に色を残していくのではないでしょうか。私はそういうものを鳥瞰図で描いていきたい。次の③からは大宮絵図のテーマについて解説。おたのしみに。