一本のメガネを造るには200以上の工程を経なければならないことは度々お伝えしておりますが、実はその手前に究極の手仕事の存在があります。
それは「プロトタイプ造り」です。
メガネは顔に掛けるものなので、平面のデザインの後にプロトタイプサンプルを造って掛け心地やサイズ感を実際に装着して確認します。プロトタイプは量産のメガネと限りなく近いように作られますが、実は佐々木セルロイドにいるたった一人のプロト職人が造り上げています。
クラウドファンディングの本文にも登場していますが、改めてご紹介・・・佐々木セルロイド自慢の職人、福森です!
(熱い思いを語ってくれています。)
鯖江の職人は、だいたい鯖江近郊で生まれ育ってそのままメガネ業界に飛び込む場合が多いのですが、福森は違います。遠く他県で別の仕事に従事していた中でメガネ好きが高じ、メガネ職人になった異色の経歴の持ち主です。
「自分でメガネを造りたい」という強い思いから鯖江に移住し、修行を重ねていた中で縁あって佐々木セルロイドに入社したのが約15年前。それ以来、一貫して量産に入る前のプロトタイプを造り続けています。
福森が造るプロトタイプは、美しいです。お客様からのご依頼で造ったものをお届けし、ご依頼主が手に取った瞬間「さすが福森さんだね!」と言っていただけるくらい美しく、艶やかです。もちろん、美しいだけではありません。量産時に現場の職人が作りやすいよう、またメガネをかけるお客様の掛け心地が良いよう、平面のデザインでは考慮しきれていない部分を細かく詰めながら造ります。まさにデザインと製品の橋渡しを行ってくれている存在です。
サンプル用の板を削り出し、デザインに沿って角度を付け、磨き、組み上げていきます。
たかが一本のプロトサンプルですが、福森の技術と想いが詰まった、たった一本でもあります。長年の鍛錬を経て造られる一本一本が、お客様に良いメガネをお届けするための“かすがい”の役割を果たしてくれています。