”革のカシミヤ“とも呼ばれる鹿革、その強靭さから鹿革製品の需要はありますが、国内で出回っている9割以上が海外製と言われています。
国内産の鹿革が少ない要因としては、供給量が少なくコストもかかり、野生の鹿はキズ(生活キズ)が多いからだと言えます。
養殖ではなく天然物の鹿は、捕れた地域や雌雄の違い、捕れた季節で皮の厚さが違うなどの理由により個体差が大きいです。
また、枚数を集めるためにジビエ処理場を回り原皮を集めなくてはならない上に、塩漬け・冷凍をしてタンナーさんに送っても少量でのなめしの為に、革1枚あたりのコストがかかります。また輸送コスト(送料)もかかります。
捕獲時のスレやキズ、弾痕やノミダニの痕はなめすことでそのキズや穴はさらに大きく広がります。
そうして鹿革となっても大きさや薄さが違う、キズや血管の跡があり穴が開いている、風合いが統一されていないなどの理由で製品の同一加工が難しく、製作工場や革工房もなかなか扱ってくれないという背景があります。
そんな野生の鹿から生まれた革。
野生で生きてきた証としてデメリットと捉えずに残して訴求し、デザインの一部とすることで自然を感じ、命を考えるきっかけとなればと強く感じます。