クラウドファンディングも残すところ10日となり、支援総額は227%に到達しております。
今回は、支援総額200%達成を記念して、当書籍の「はじめに」を公開させて頂きます!!
「はじめに」は、支援者限定で以前にも公開させて頂きましたが、その時に見れなかった方もいらっしゃるかと思います。ぜひ目を通してみてください。
また、支援や書籍に興味はあるけど、どのような書籍なのか分からない。そういった方も、書籍の雰囲気を掴むきっかけになると思います。
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子どものころ、死ぬのが怖くて怖くて仕方なかった。
夜になってから電気を消して布団に潜っても、なかなか寝つけない。ひょっとすると自分は、このまま目覚めることなくあの世に逝ってしまうのではないか。電化製品のヒューズが飛ぶように心臓がいきなり止まったら、人間の魂はどこへ行ってしまうのだろう。そんなことを想像していたら、体がブルブル震えてきた。
大人になってから、ヴィクトル・ユゴーの『死刑囚最後の日』(岩波文庫)という古典の存在を知った。この作品には、死刑執行を待つ男の様子が日記のように綴られている。〈人はみな不定期の猶予つきで死刑に処せられている〉という一節は衝撃的だ。
なるほど、いつか必ず死ぬことが約束されている人間は、私も含めて全員が死刑囚に等しい。死へのカウントダウンが今この瞬間も続いているかと思うと、ますます死ぬのが怖くなってきた。
死を怖れるのは私だけではない。秦の始皇帝は「不老不死の薬」がどこかにあると信じ、草の根を分けてでも探させた。日本の昔話『竹取物語』(かぐや姫)にも「不死の薬」が出てくる。
サイエンスとイノベーションによって、いつの日か夢の「不老不死の薬」が開発されないものか。「寿命なき世界」を永遠に生きられないものか。できることなら、100歳までも120歳までも生きたい。私は切実にそう願ってきたのだ。
従来から「人間の生物学的寿命は120歳が限界だ」と言われてきた。ところがほとんどの人が、80代後半か90代にさしかかるころには亡くなってしまう。生物学的寿命が120歳だとして、なぜ20年も30年も早く人間は死んでしまうのだろう。中には、生物学的寿命の半分も生きられずこの世を去っていく人もいる。
もちろん中には、DNAにエラーがあるせいで生まれつき早逝が約束されてしまっている人もいるだろう。「生老病死」を「四苦」と呼ぶとおり、生きている限りインフルエンザにかかって苦しむこともあれば、思わぬ病気に罹患してしまうこともある。
すべての病気をゼロにできなくとも、病気のリスクを未然に減らし、人為的に健康寿命を増進させることはできるはずだ。病気の発生因子を知り、自分の体の状態を医学的、科学的に熟知する。早期発見・早期治療に加えて「予防医療」という観点を加味すれば、人間は「寿命なき世界」に一歩ずつ近づけるはずだ。
すべての人が、1日でも長く健康で長生きし、一度きりしかない人生を謳歌してほしい。健康管理を後回しにし続けた結果、家族や友人、そしてあなた自身が人生を後悔しないでほしい。そんな思いから、私は仲間と一緒に一般社団法人「予防医療普及協会」を立ち上げた(2016年9月)。これまで100名以上の医師や専門家にインタビューをお願いし、最新の予防医療の知見をうかがってきた。
本書は、2019年から2022年にかけて予防医療普及協会が企画したインタビューの内容をベースとして、全篇書き下ろした一書だ。
医学者が読む専門書ではないため、一般向けにできるだけ易しく書きたい。かといって、サイエンスから逸脱した似非科学的な所見が混じってはならない。そこで本書に登場していただいた約30名の医師に、論文発表で言うところの「査読」(専門家の視点からのクロスチェック)をお願いした。「査読」の過程で、それぞれの項目の最新知見を加筆して盛りこんでもいただいた。
予防医療の分野は、今こうして原稿を書いている間も日進月歩で凄まじい進歩を続けている。24時間365日、世界中の研究者がラボで実験や研究を重ね、論文を量産しているのだ。
19世紀に活躍したSF作家ジュール・ヴェルヌ(『海底二万里』『八十日間世界一周』『十五少年漂流記』で有名)は「人間が想像できることは、必ず人間が実現できる」と言った。この言葉どおり、「寿命なき世界」「人間が120歳まで生きられる世界」はすぐそこまで来ていると信じたい。
私がそう確信する理由の一端は、本書にも綴られている。「人工冬眠」の可能性だ。筑波大学・国際統合睡眠医科学研究機構の櫻井武教授は、2020年に世界で初めて冬眠状態を誘導する新しい神経回路を突き止めた。
カエルやリスやクマなど、生物の中には生まれつき冬眠が組みこまれている種類がいる。体の状態を冬眠モードに切り替え、代謝を100分の1まで抑え、呼吸までも制御して食糧が乏しい冬を生き延びるのだ。
過去に山で遭難した人の中に、20日以上も飲まず食わず、心肺停止状態なのに死ななかった例がある。ひょっとすると哺乳類である人間には、生命の危機を乗り切る冬眠モードのスイッチが、どこかに組みこまれているのかもしれない。
そんなお話をうかがっていたらワクワクしてきた。人工冬眠が技術的に可能になれば、冬眠したまま宇宙船に乗りこみ、100年後とか1000年後に復活することだってできるかもしれないのだ。
サイエンスと医学の知見を勉強するだけでは、大学生や10代の中高生がついてこれなくなってしまう。そこで本書には、人工冬眠のようにSF映画っぽいエンタメの要素、ノンフィクションやミステリーの要素も盛りこんで読みやすくまとめた。「知ることは力なり」だ。サイエンスと医療技術に関する最新の知見を手に入れることによって、読者の皆さんも予防医療に努めてほしい。
「寿命なき世界」を志向する研究者の知見には、あらゆるビジネスの種も潜んでいる。事実、私もインタビュー中に新しい仕事をいくつも思いついた。30~40代のがっついた若手ビジネスパーソンにも、ぜひ本書を手にとってほしい。
2022年、精神科医の和田秀樹さんが書いた『80歳の壁』(幻冬舎新書)という本が●万部超えの大ベストセラーになった。「80歳の壁」を悠々と乗り越え、願わくば90歳の壁、100歳の壁も突破したい。さらなる強いバイタリティで仕事もプライベートも楽しみ尽くすために、本書を実用書として活用してほしい。
なお、私は現在月刊誌「GOETHE」(ゲーテ)で「堀江貴文の金を使うならカラダに使え!」を連載中だ。ウェブサイトでも原稿を読める(https://goetheweb.jp/)。本書の副読本として、こちらの連載にも注目してほしい。
すべての人が、いつまでも健康で人生を満喫してほしい。みんなのQOL(quality of life)を一歩ずつ向上させるために、これから私はますます奮闘していく。
2022年12月 堀江貴文
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この書籍を1人でも多くの人に届けることができるよう、引き続き努めて参ります。
YOBO - LABO『寿命なき世界(仮)』制作プロジェクトチーム