2022年9月18日18:00、私たちはさっぽろレインボープライド2022の参加者でひしめき合う「炭火焼若武者※1」の店内にいました。この日はさっぽろレインボープライド2022の開催をお祝いするため、NPO法人北海道レインボー・リソースセンターL-Port※2が主催する、「女性※3のための虹色交流会meet up!」を行っていたのです。私たちはそれぞれの役割をこなしながら、他の運営メンバーと共に慌ただしくも楽しい時間を過ごしていました。
交流会に来てくれた女性の中には10代20代の若い方も目立ち、「初めてさっぽろレインボープライドに参加した!」と興奮冷めやらぬ様子で話していた方もいました。皆さんが本当に楽しそうだったので、さっぽろレインボープライド初参加だと話す一人の若者に感想を尋ねたところ、このような答えが返ってきました。
「世界は意外と狭くないんだなって思った。」
私は彼女の言葉に強い共感を覚えたのと同時に、これが札幌でプライドパレードを開催する目的そのものであると再認識しました。さっぽろレインボープライド2023の公式HPには、開催目的として以下の3点が挙げられています。
(1)さっぽろレインボープライドは、地域社会に対し、身近にLGBTQが存在することを広く知らせます。
(2)さっぽろレインボープライドは、孤立するLGBTQに対して自らの存在を肯定的に捉えられるよう情報を発信し、自己肯定感の向上を目指します。
(3)さっぽろレインボープライドは、LGBTQが存在することを前提とする社会制度の構築を、行政や企業、教育現場への働きかけを通じて、広く社会全体へ訴えかけます。また、多様性を認め合い個性を尊重する豊かな社会の実現を提唱します。
「世界は意外と狭くないんだなって思った。」
若者が発したこの一言の背景を想像します。札幌なのか、他の町なのか、どこかで彼女は生まれ育ち、いつしか自分のセクシュアリティに気が付いた時、きっと今自分が見える範囲の『世界』で同じ仲間はいないか探し回ったでしょう。周囲の何気ない一言に傷ついたこともあったかもしれない。本当に好きな人のことや、本当の自分の在り方を誤魔化したり、嘘をついてやり過ごした日もあったでしょう。そうやって、隠して、傷付いて、なかったことにして、、を繰り返して、今日さっぽろレインボープライドに初めて参加したのだと想像しました。そして、自分の世界を思い切って広げてみて、彼女の目に見えた「世界」がどれだけ色鮮やかだったかは、レズビアンの当事者として生きている私たちには想像に難くありませんでした。
さっぽろレインボープライドでは、開催目的の一つとして「孤立するLGBTQに対して自らの存在を肯定的に捉えられるよう情報を発信し、自己肯定感の向上を目指」すことを掲げています。彼女のこの一言は、さっぽろレインボープライド2022も開催目的が達成されたと考えるべき証左のひとつだと考えています。
さっぽろレインボープライドに初めて参加してドキドキした気持ち、一人じゃないと思えた安心感、「私たちはここにいるよ!」と訴える時の興奮、さっぽろレインボープライドに参加しないと出会えなかった人たち、、、会場やパレード隊列を作り出していた数千人の人々のあちらこちらで火花が散って、誰かを励ます力や生きる希望を生み出すのがさっぽろレインボープライドだと考えています。
そんなさっぽろレインボープライドが今年も無事に開催されるように、私たちはさっぽろレインボープライド2023を応援しています。
この度はさっぽろレインボープライド2023の開催おめでとうございます。また、この活動に関わる全ての皆さまに改めて敬意を表すとともに、札幌の街が虹色に輝く素晴らしい2日間となりますよう心より祈念いたしております。
結婚の自由をすべての人に北海道訴訟 控訴人 中谷衣里・C(仮名)
※1
炭火焼若武者はこちら
https://tabelog.com/hokkaido/A0101/A010103/1042665/
※2
NPO法人北海道レインボー・リソースセンターL-Portはこちら
https://l-port.net/
※3
ここで示す女性とは、性自認を含む多様なセクシュアリティを生きる女性を指しています。