みなさま、たくさんのご支援、ご協力、本当にありがとうございます!
今回は、リターンとなっているNPO法人judo3.0が制作した書籍について紹介させていただきます。
本屋さんで本を手に取ったとき、まず「はじめに」や「前書き」を読むことが多いと思います。そこで、以下、リターンとなっている書籍2冊の「まえがき」を全文公開させていただきます。
1. 「発達が気になる子が輝く柔道&スポーツの指導法」の「はじめに」
やめてしまったあの子を思い出すことはありませんか。
もっと違う指導をしていたらあの子は柔道を続けることができたのではないかと。
子供たちの個性はとても多様です。発達障害があってもなくても。
そんな個性豊かな子供たち一人ひとりが素敵に成長するためにはどうしたらよいのか。
発達障害に関する情報はたくさんありますが、地域の柔道クラブの指導者が抱える悩みや後悔の念に向かい合ったものは見当たりません。
この本はその悩みに向かい合い、試行錯誤してきた4人の柔道の指導者が書きました。
愛媛県で、既存の少年柔道クラブでの指導に限界を感じ、発達障害のある子もない子も共に柔道に親しめる環境を作ろうと少年柔道クラブを立ち上げた長野敏秀(ユニバーサル柔道アカデミー代表)、
島根県で、特別支援教育における柔道の活用を研究してきた西村健一(島根県立大学准教授)、
大阪府で、少年柔道クラブの指導をしながら、発達障害のある子供たちに柔道を活用した療育を提供する福祉施設を立ち上げた浦井重信(文武両道の放課後等デイサービス「みらいキッズ塾」代表)、
宮城県で、社会課題を柔道で解決しようとするNPOを立ち上げた酒井重義(特定非営利活動法人judo3.0代表)、それぞれ異なる領域で発達障害に関わってきた指導者です。
第1章では、発達障害とは何か?運動にはどのような効果があるのか?指導者には何ができるのか?を学びます。きっと想像以上に自分たちの役割が大きいことに胸が躍ると思います。
第2章では、子供との関わり方について学びます。声かけ一つで子供が変わること、指導を工夫する楽しさを知ったら、子供たちと接する日が待ち遠しくなると思います。
第3章では、運動プログラムの作り方について学びます。いま行っている稽古を大幅に変える必要はありません。ただちょっと視点を追加するだけで子供たちは伸びると思うのです。
第4章は、少年柔道クラブなどのコミュニティの運営を考えます。発達が気になる子への指導をはじめた指導者は、その子だけではなく、コミュニティそのものを導いていたことに気づくでしょう。
この本は柔道の指導を念頭においていますが、柔道だけに当てはまるものは少なく、スポーツ全般に当てはまることがほとんどだと思います。また、スポーツや体育の先生が指導する場合のほか、お父さんやお母さんがわが子と身体を動かして遊ぶときにも当てはまると思います。
著者4人は全国各地で発達障害と柔道指導に関するワークショップを開催し、多くの指導者や保護者とお話してきましたが、特にうれしかったことは「私がやりたいと思っていたことは間違っていなかった。勇気づけられた。」という声でした。
この本を手に取ったあなたは、もう子供の顔が思い浮かんでいるかもしれません。子供たちは待っていると思います。これから歩もうとされる道を少しでも照らすことができたら望外の幸せです。
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2.「誰一人取り残さない柔道 柔道人口が増える3つの視点」の「はじめに」
日本から柔道がなくなってしまう。
そんな不安を感じることはありませんか。
大会に行くと、以前は会場に選手が溢れ、夕方まで試合が続いていたけれども、今はガランとして会場の広さが目立ち、午前中に試合が終わってしまう。気が付くと学校に柔道部はなく、町道場に来る子供は年々少なくなっていく。
国内の柔道登録人口はこの30年で約13万人も減り、2022年は約12万人となりました。これから30年後にはどうなってしまうのか、途方に暮れてしまう。
この危機は関係者に認識されていると思いますが、これから具体的に何をしたらいいのか、どこに向かったらいいのか、まとまった情報はなかなか見当たりません。
もっとも、人知れず、これまで柔道が届かなかった人々に柔道を届けている挑戦者がいます。
NPO法人judo3.0は2016年からオープンな学びの場を運営して、数多くの挑戦者のお話を伺ってきました。本書はその挑戦者の取り組みにスポットライトを当て、そこから見えてくる「誰一人取り残さない」柔道の魅力を紹介するものです。
第1章では、「受身」と「遊び」という切り口で子供との接点を広げる取り組みを見ていきます。外遊びをする環境が失われ、子供の成育環境が悪化しています。これらの取り組みから、いまの子供達がどのような状況に置かれ、何を必要としているかが見えてくるでしょう。
第2章では、発達に凸凹(でこぼこ)のある子供の柔道を見ていきます。2022年12月に公表された文部科学省の調査によると、発達障害の可能性がある小中学生が8.8%、約80万人います。彼ら彼女らが柔道で成長していく様子を見たら、凸凹の子供の発達を支える柔道に大きな可能性があることに気付くでしょう。日本の柔道がこのまま縮小するか、それとも盛り返すかの分岐点の一つは、「柔道は凸凹の子供の発達に良い」という実績と評判を組織的に築くことができるか否かにあると考えています。
第3章では、女性であったり、年を重ねていたり、ケガや病気があったり、障害があったりする人々、すなわち若くて健康な男子「以外」の人々の柔道を見ていきます。柔道は主に若くて健康な男子に向けて作られてきました。しかし少子高齢化が進み、6歳から22歳までの男子が全人口に占める割合は8%弱にすぎません。90%以上の人々に適した柔道のカタチは未だ十分に開拓されていない、ここにフロンティアがあることに気付くでしょう。
2015年の国連サミットで、2030年までに達成すべき人類共通の目標(SDGs)が定められ、「誰一人取り残さない」がその理念となりました。日本の柔道の未来は、地球の未来と同じく、誰一人取り残さない柔道に挑戦することによって切り開かれていくと信じています。
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3.最後に
この「モンゴルの道場に日本から畳を贈りたい!」プロジェクトは、畳や国際交流を通じて、柔道を通じた青少年の成長を支援するものですが、 これら2冊の書籍も、柔道を通じて青少年が成長する環境を作るためにはどうしたらいいか、という視点で作られています。
柔道や教育、体育やスポーツの可能性を模索している皆さまのご参考になったら幸いです。
※今週の土曜日の夜もお楽しみに!
6/17(土)20:00からモンゴルと直接ビデオ会議!モンゴルの仲間が話します!