2023/11/13 16:21

こんにちは!株式会社yahDoryの佐川と言います。

私は『プレ創業lab』の支援を受けたことで、2023年6月に会社設立に至りました。

今日は、私が起業に至るまでの背景と、具体的にどんな支援を受けたのかをお話ししようと思います。そしてもしよければ、一緒に起業を目指しませんか?、もしくは起業を目指す方々を応援していただけないでしょうか?、というお誘い・お願いになります。


いつから起業を考えていたのか。

それを言ってしまうと実は10年以上前から、漠然と起業したいな、と考えていました(笑)。

そんな10年前のもやもやしてた頃からの経歴をまとめると、以下のような感じです。


・起業に関する略歴

2010~2012年 国際協力系のNPOでパートタイマーとして勤務

2014年 社会起業大学のセミナーを受講するも途中で諦める

2016年 生活保護の相談を受けている団体さんで相談を受けるボランティアをはじめる

2021年 メンヘラさんぱいアプリに”せんぱい”として登録、副業でアプリ上での相談を受ける

2022年 インキュベーション施設フェムベース池上を訪れたのをきっかけに支援を受けることに

2023年 念願の会社設立を果たし退職して夢に向かって邁進中


私自身のやりたいことは何か。

それは

"雨が降ったらあまやどりをするように、何か問題が起き困った時に立ち寄って、少しでも前向きになれる場所づくりをしたい"

ということでした。


これだけ聞くと漠然としていますよね?……実際にこれまで何度も「あなたが起業して何をやりたいのかよくわからない」と言われてきました(笑)。その度に自分の言葉足らずが悔しく、泣いてしまった日もあります。実際に、自分でも何をすればよいか漠然としており、一人で悶々と過ごしながら10年近い日々が過ぎていました。

ただ漠然としている中にも、私なりの方針はありました。


・事業継続のために経済的自律性を持ちたい、だからちゃんとお金が稼げる事業を持つ株式会社にしていきたい

・NPOで働いていた時の経験で、自分はITエンジニアとしての素養があるようだから、その強みを活かして事業を興したい

・物理的な場所づくりと共にITツールを活用して被支援者にリーチしていきたい、そしてそのITツールは自分で開発したい


こういった方針の下、ITエンジニアとして働いていたのもあり、”まずは何かツールのプロト開発を進めるところからかな”と考えていました。


そして出会ったのが、インキュベーション施設フェムベース池上でした。


その時ちょうど私は育児休業中でした。

コロナ禍で中々外に出られず、かといって子どもの世話をするので自分の時間も取れず、悶々と過ごしていたのです。


そんな育休の終盤、コロナの感染者数が落ち着いたタイミングがありました。

この機に少し外に出ようかな、といくつか子育てひろばなどに参加している中で、ふと、Web広告で見かけたワーキングスペースについて、思い出しました。当時のホームページを見ると、託児についても応相談との記載があったと記憶しています。

当時の私は、残りの育休でそこに通って、少しでも自分のやりたかったことのために時間を使えないかな、という思いで、見学に訪れました。


その時は気づきませんでしたが、この時の出会いが、私の人生を変えてくれたのです。


残念ながら、元々期待していた託児については、ベビーシッターさんを自分で契約してお願いする形になるとのことでした。それであれば自宅でベビーシッターさんを雇えばいいな、とがっかりしたのを覚えています。

一方でこの時、私はふとした思いつきで、

「利用者同士が交代で子どもを見ることでワーキングスペースを利用する仕組みを実現できないか」

というお話をさせていただきました。するとその場で、

「いいアイデアですね!トライアルでやるのでしたら、ぜひこのスペース使ってください!」

と言っていただくことができました。


このなんてことないやり取りが、私の背中を押してくれたのです。


それから2ヵ月、育児の合間に、せっかくならば事業としてどのような形で展開していけるか、パワーポイントにまとめてみました。そしてあらためてもう一度、アイデアを聞いていただけませんか、とお願いしたのです。

ありがたいことに快諾いただき、結果、当時スタートアップ向けの出資プログラムを行っていた財団さんを紹介いただくことになりました。


……ここまでこの記事を読んでいただいている方の中には、きっとそのまま出資を受けることになり、とんとん拍子で会社設立に至った、というストーリーを期待される方も多いのではないでしょうか。


残念ながら、そんな展開にはなりませんでした。人生そんな甘くはありません(笑)。


プレゼンの結果、財団さんからの反応は悪くはありませんでした。しかしながら出資を受けるには、将来的な市場価値がどれだけあるのか、数値として示すことができなければなりません。

そのための取り組みとして、「利用者同士が交代で子どもを見ることでワーキングスペースを利用する仕組み」を個人でできる範囲から実現して、経過報告させていただく約束を取り付けました。


……もうね、初回のトライアルイベントで盛大につまづきました。参加者0人という結果です。


この時、広報協力いただいた方に言われたのが、「アイデアはいいけどわかりにくい、時代にとって早すぎる」という言葉でした。


少し話は変わりまして。


当時の私は知らなかったのですが、起業時にピボットする、というのは重要な考え方だそうです。

ピボット……バスケットボールで、軸足を固定したまま、もう片方の足で方向転換する動作のことを言いますよね。

同じように、実現したいことの核は保ちつつ、柔軟な発想で方向転換することを起業時に”ピボットする”というそうです。


なぜピボットすることが起業時に重要なのか。


なぜなら事業というのは、ユーザーあってのものだからです。誰も求めていないモノは、売れません。でも起業で提供しようとしている価値が、本当に求められているモノなのか、自分一人でアイデアを考えるだけではわかりません。


だから必要なのは、なんでもいいのでとにかく小さな最低限の形を実現して、世の中に送り出すこと、そして実際に市場の反応を見ることです

市場の反応を見た結果、柔軟に方向性を変えて”ピボット”していくこと、これが新しい事業を生み出す上で、重要なのです。


そう、最初のトライアルイベントで失敗した私は、ピボットして事業の方向性を見直したのです。


失敗から考えたのは、子どもをお互いに預け合う要素は残して研修講座の提供ができないか、ということでした。そして研修講座のニーズ調査として子ども食堂で「パソコンなんでも相談室」を開催させていただいたのです。2022年の秋から冬にかけて、全5回開催いたしました。

……でも待って、ニーズはあるけど、自分の強みとしてその方向性って本当にいいの?

……いやいや、そもそもトライアルイベントやるにしてもパソコンなんでも相談室やるにしても、育児と仕事しながらだと時間が足りない、もっと時間を作りたい!

……フリーランスのエンジニアなら、半月でも生計立てられるのでは?


そんな思考の末、半月の稼働で生計を立てながら時間を作る方向、に行動をシフトしました。

そして契約の目途が立ったため、晴れて2023年6月に会社設立に至ったのです。


さてここまで話が進む間にも、”プレ創業lab”からは様々な形でご支援いただきました。


事業の方向転換について壁打ちで相談を受けていただいたり

子ども食堂を経営されている方をご紹介いただいたり

ピボットした方向で出資いただけそうな方をご紹介いただいてプレゼンの機会をいただいたり

フリーランスのエンジニアとしてのお仕事をいただけそうな方をご紹介いただいたり


一人で悶々としていた頃には考えられなかったたくさんの出会いに導いてくださりました。

そしてそのおかげで、ピボットするために必要なトライアルのサイクルを回すことができ、会社設立に至れたと思います。


実は会社を設立した今でも、事業の方向性については模索しています。

正直、いざ会社を設立してみると、”やっとスタート地点に立っただけ”という感覚になりました。

ただ、従業員としての働き方を辞め、自分で時間の使い方を決めることができるようになったのが、何よりのメリットでした。本業の傍らで起業に向けて活動していた頃とは、ピボットするためのサイクルをまわせるスピードが圧倒的に早くなったと実感しています。この記事の冒頭で掲げている写真は8月にエレベーターピッチイベントに参加した時のものですが、11月の今時点でまた色々変わっています。


それでも私自身の

"雨が降ったらあまやどりをするように、何か問題が起き困った時に立ち寄って、少しでも前向きになれる場所づくりをしたい"

という思いは変わっていません。現在進行形で、夢に向かって邁進中です。


遠回りに思われるかもしれませんが、私にとって最適な形で起業に至れたのだと思います。

そしてその最適な形を見出すことができたのは、"プレ創業lab"で前向きな言葉をいただき、様々な人脈をご紹介いただいたおかげです。


これから立ち上げる創業labでは、私が受けたような支援に加え、起業家同士で支え合う仕組みを創ろうとしています。また将来的には海外やシステムエンジニアとのつながりを提供できる仕組みを構築しようとしています。


起業家を支援する組織や取り組みは、色々あります。

創業labはその中で、どんな状況であっても起業を諦めないでほしい、という強い思いがあります。プレ創業labのご支援でいただいた言葉のおかげで、私は前を向いて行動を続けることができました。

また創業labが立ち上がったばかりで第1期生になるというのは、それだけで特別な存在になれるということでもあります。創業labの仕組みをつくるというそれ自体に関わることも可能です。


さあ一緒に夢に向かって走りましょう!

もしくは、こうした私たちの夢を創業labへの支援を通じて応援いただけるのであれば、嬉しく思います。