はじめに
私たち「全国草原再生ネットワーク」は、日本の中でもっとも危機に瀕している生態系のひとつである「草原」の保全と再生を目指して、情報の蓄積と共有を図ることを目的とした非営利団体です。草原を有する自治体のネットワーク「全国草原の里市町村連絡協議会」と協力して、自治体が開催する全国草原サミット・シンポジウムを、2009年より支援しています。
このプロジェクトで実現したいこと
全国草原の里市町村連絡協議会では、全国に残る草原とその里に光を当て、人と自然の関わりの中、草原の里で培われてきた知識や技術、人々の想いを共有し、次世代へ受け継ぐため、『未来に残したい草原の里100選」の選定を開始しました。
有識者からなる選考委員会(委員長:湯本貴和京都大学名誉教授)を開催し、2022年には、北海道から九州まで、全国 34 の「未来に残したい草原の里」が選定されました。2023年には、新たに14の草原の里を選定しました。
本プロジェクトは、選ばれた草原の里の素晴らしさを広く紹介するための書籍『未来に残したい日本の草原2023』を発行するものです。「全国草原再生ネットワーク」が自費出版として編集・発行します。
プロジェクトを実施しようと思った理由
かつて日本の暮らしは、草原によって支えられてきました。
茅を使った建築物は縄文時代から使われはじめ、農耕が始まれば、物資の運搬や耕作などの使役を担った草原は、農耕用の牛馬の飼料、茅葺き屋根の材料、ワラビやセンブリなどの食物や薬草など、多くの恵みをもたらしました。また、秋の七草を愛で、盆には草花を備えるなど、豊かな心情や文化も醸成してきました。そして生活に必要な草原を維持するため、利用のルールや、山焼きや野焼きなどの技術が、日本各地で生み出され、引き継がれてきました。
日本の草原は火入れ、放牧、採草など、人の営みによってはぐくまれ、各地にふるさとの原風景と呼べるすばらしい景観を作り出しました。しかし、明治時代には国土の約3割以上を占めていた草原は、高度経済成長とともに利用されなくなり、現在ではその全国土の1%以下にまで減少しています。
草原には、特殊で多様な生物が息づいています。草原が失われつつある今、その多くが「絶滅危惧種」と呼ばれるようになりました。草原生態系や希少野生生物の保全を進めるためには、山焼きや採草、放牧など、人の営みが欠かせません。草原を使った農業や文化を守ることが、草原に生きる生物を守ることに直結しているのです。
いま、草原の価値が見直されつつあります。広々した草原景観は観光資源としての価値が高まっています。多くの希少動植物が暮らす生物多様性の宝庫であり、近年は水源涵養や二酸化炭素の固定能力の高さなど、公益的な価値が証明されつつあります。草原のある里で育まれてきた「過去のものと思われていた」技術や知恵こそが、これからの持続可能な社会を実現するために欠かせないものであることが分かってきました。
草原の里に暮らす人たちに光を当て、そこでの営みをより多くの人に知っていただくことが、草原保全への第一歩と考え、本プロジェクトを行うことにしました。
これまでの活動
全国草原サミット・シンポジウム
全国28の自治体から成る全国草原の里市町村連絡協議会では、全国草原サミット・シンポジウムを開催するとともに、2021年度より「未来に残したい草原の里100選」を開始しました。「全国草原再生ネットワーク」は協議会と連携して草原の保全と再生を目指して取り組んでいます。
資金の使い道
クラウドファンディングによって集まった資金はGoodMorning手数料を除き、以下の用途に使用させていただきます。
・書籍『未来に残したい 日本の草原 2023』およびステッカーの、編集、印刷
・支援者の皆様へのリターン配送
・次年度の100選選定事業
お届けするリターンについて
金額に応じて、お礼状、領収書と一緒にリターンの商品を送らせていただきます。
領収書の宛名に、団体名の記入をご希望される方は、その旨を備考欄にご記入ください。
募集方式について:本プロジェクトはAll-or-Nothing 方式で実施します。期間内に目標金額を達成した場合に、計画を実行し、リターンをお届けします。
◎書籍『未来に残したい 日本の草原 2023』
本プロジェクトで制作する書籍です。
■ 編集:未来に残したい草原の里100選 運営委員会
■ 発行:一般社団法人 全国草原再生ネットワーク
■ 言語:日本語
■ お届け時期:2024年1月
■ ページ:80ページ
◎書籍『未来に残したい 日本の草原』
2022年に選定された草原の里にある、37の草原を紹介した書籍です。
■ 編集:未来に残したい草原の里100選 運営委員会
■ 発行:一般社団法人 全国草原再生ネットワーク
■ 言語:日本語
■ お届け時期:2024年1月
■ ページ:156ページ
◎ステッカー
「未来に残したい草原の里100選」のロゴが描かれたステッカーです。
日本各地に受け継がれてきた草原は、構成する生きものも、人の関わりかたも様々ですが、空が開けて、風が通り抜けて、草が揺れる風景は、共通しています。そんな草原の風景がこれからも人が関わり受け継がれていくことを、旗を描いている様子に置き換えて表しました。
■ 用紙:ホワイト(光沢塩ビ)
■ 大きさ:たて約10cm × よこ約12cm
■ お届け時期:2024年1月
■ ロゴデザイン:よそみっこ
◎草原の里 応援団 Mini
「未来に残したい草原の里100選」の取組を応援してください!
書籍・ステッカーをお届けするとともに、書籍『未来に残したい日本の草原』に「草原の里応援団」としてお名前を掲載させていただきます。
■ お届け時期:2024年1月
◎草原の里 応援団
「未来に残したい草原の里100選」の取組を応援してください!
複数の書籍・ステッカーをお届けするとともに、「未来に残したい草原の里100選」のホームページに「草原の里応援団」としてバナーを掲載させていただきます。
より大きなバナーを掲載する「Max」もご用意しています。
■ 掲載期間:1年間
■ 掲載時期:2024年1月頃
■ お申し込みの際、備考欄よりURLをお知らせ下さい。
※ご注意:公序良俗に反するページや、未成年の視聴に適さないページについては、プロジェクト成立後であっても掲載をお断わりすることがあります。その際、返金はいたしません。
◎草原の里応援セット
「未来に残したい草原の里100選」の取組を応援してください!
書籍へのお名前掲載やホームページへのバナー掲載が不要な方は、こちらを選択してください。書籍・ステッカーをお届けします。
■ お届け時期:2024年1月
実施スケジュール
2023年10月
12日 「未来に残したい草原の里100選」選定記念フォーラムの開催
11月
25日 クラウドファンディング募集締め切り
・印刷・製本開始
・特産品等リターンの発送開始
・書籍、ステッカー完成
2024年1月
・書籍配送開始
・「草原応援団」のバナーを未来に残したい草原の里100選ホームページに掲載
最後に:選考委員からのメッセージ
未来に残したい草原の里100選2023を選定した委員からのメッセージを紹介します。
草原は草の実と草の繊維の生産地。森から出た人類はそれを活用することで衣食住を営み、進化を遂げてきました。草を刈り、使うことで草原は再生され、生活が持続されます。草を使うことをやめれば、草原は放置され消えていきます。草の利用の最大は茅葺きです。茅葺きがなくなって草原は消えました。茅葺きが復活すれば草原も甦ります。その循環の輪を続けましょう。衣食住に草原を生かすことは、昔も今も未来も変わらぬ持続的な暮らしの基盤です。
安藤 邦廣(筑波大学名誉教授)
私たち協議会は、草原保全活動の現状と課題について、より一層議論を深め、活動の連携と交流を図り、広く国民に草原の魅力と公益的役割を発信し草原の利用、保全を核とした地域づくりと地域の活性化を図ることを目的にしております。また、草原の価値を「共創資産」と捉え、次世代に希望ある自然共生型社会の実現に向け「草原の里100選」を推進しています。この事業をきっかっけに、全国の草原の里を活気づけることができればと期待しております。
岩井 茂樹(静岡県東伊豆町長・全国草原の里市町村連絡協議会会長)
原っぱは東京にもありました。9月の十五夜の前、ススキを刈りに行った記憶があります。採ってきたツクシが佃煮になって食卓に並んだり、土手で摘んだヨモギから祖母がヨモギ餅を作ってくれたりしたことも思い出されます。かつては江戸川区葛西沖の「水没民地」に生えるアシ、ヨシは重宝されたと聞きました。草地消滅はいまや全国的なトレンド。身の周りにある草や生きものを大切に使う動きを広げてその傾向を止め、暮らしを豊かにしませんか。
河野 博子(ジャーナリスト自然環境研究センター理事)
日本の草原の起源は、古くは縄文時代頃にまでさかのぼると言われます。古来より人々が自然に手を入れ、世話をする中で作られてきた、人と自然の共生の産物なのです。そこには、新しい時代の持続可能な社会の礎になり得る「智恵」と「技術」と「文化」が根付いています。この草原の価値を受け継いで、地元で頑張っている、頑張ろうとしている人たちを応援し、勇気づける。そんな「草原の里100選」でありたいと願っています。
高橋 佳孝(一般社団法人 全国草原再生ネットワーク代表理事)
新鮮な風をうけ、深く呼吸していると、まるでその風が心の中にまで吹き込んできて、心のもやもやを溶かしていくように感じます。草原は私にとって最高の風を感じることが出来る場所であり、疲れた心を優しく包んでくれる癒しスポットです。これからも多くの人がそんな草原のある風景に癒され、そしてそこで育まれてきた地域固有の文化や豊かな生態系がまた次世代へとつながっていくように、私もご参加される皆様と一緒に「草原の里100選」を共に盛り上げ、大切にしていければと思います。
長沢 裕(タレント・日本環境教育フォーラム理事)
草原の里100選を通じて、草原に関わったことがなかった人が草原の「ファン」になり、そこから草原保全の「サポータ」が誕生し、子どもたちが草原で思いっきり学び「未来の担い手」となってくれることを願っています。そして、草原の里100選のご応募を通じて、地形条件や社会条件など立場が異なる地域が集まって、草原保全の悩みを共有し、課題解決に向けて知恵を出し合うことで、地域が持つ魅力を活かした「草原自慢」が各地で広がることを期待しています。
町田 怜子(東京農業大学地域創成科学科教授)
草原が失われることは、草原性の動植物が絶滅の危機に瀕するだけでなく、草原に関する地域の歴史や文化、人々の記憶や知恵、絆までが失われてしまうことを意味します。「草原の里100選」は、それぞれの地域が草原を生かした地域づくりを競い合い、その輝かしい成果を顕彰する場ではなく、むしろ共通の課題を抱える地域が互いの実践やアイデアを学び合い、共に未来へ進んでいくための仲間探しの場でありたいと思います。
湯本 貴和(選考委員長・京都大学名誉教授)
現代人は計算機と同じで、ゼロか一しか許しません。残りはノイズといわれます。自然環境も似たようなもので、住宅地か森かということになって、草原的な環境はどんどんなくなってしまいます。そんな曖昧なもの、いらないよ、どっちかにしてくれ、というわけです。たまにあっても、薬で除草する、草刈り機で刈る。(私が応援したいのは、ゼロと一との間にある草原を)「気持ちがいい」と言う人たちです。
養老 孟司(東京大学名誉教授)
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