「みんなとつながる上毛かるた」が多くの人の目と手に触れたのは、昨年9月〜10月の中之条ビエンナーレでした。中之条ビエンナーレは、群馬県を代表する地域芸術祭で、2年に一度、群馬県の中之条町で開催されてきました。昨年は9回めの開催で、始まってからもう20年近く続いている、すっかり地域に根付いたユニークな芸術祭です。昨年、メノキはこの芸術祭に参加し、CONTON_meetingという五感を使った遊びをテーマにした展示・ワークショップ空間で、「みんなとつながる上毛かるた」を多くの人に触れてもらいました。中之条ビエンナーレ・オフィシャルの動画が上がっています。この中にも出てきますが、この「みんなとつながる上毛かるた」を触りながら、対話するということが、ビエンナーレ会期中、毎日この空間でなされていました。昨日の活動報告で三輪代表が書いていますが、まさに、コミュニケーションツールとして、知らない人同士を結びつけ、見えない人・見えにくい人と見える人の世界を共有させるという、「触察」の不思議な効果を、私たちも身をもって知りました。この中之条ビエンナーレでは、1ヶ月間に、1万人近い人々がこの会場を訪れてくれて、このかるたを体験していってくれました。そして、この空間を作るのにも、中之条ビエンナーレのスタッフを初め、数多くのボランティアの方や群馬大学・株式会社ジンズの協力があってこそ、実現することができました。この場を借りてお礼申し上げます。
彫刻 の付いた活動報告
→「みんなとつながる上毛かるた」とは?(1)→「みんなとつながる上毛かるた」とは?(2)から続きます。さて、三輪代表が「自分で作ってみる!」と宣言して、ひと月もたたないゴールデンウィークの前あたり、ジンズの地域共生部の秋本さんとメノキのメンバーで三輪さんのアトリエを訪ねると、なんともう結構な数の札が彫り上がっているではありませんか!三輪代表は、彫刻家としては職人気質のある人で、とにかく仕事が早い。方針さえ決まれば自分で締め切りを作ってどんどんそれに向けて仕上げていく。視覚を失って、木を彫ることはできなくなって、今回彫るのは長年の仕事仲間の水口健さんがヒノキの板に彫っていくのですが、その前の原型を、木の板に粘土を貼って三輪代表が作り、水口さんの意見も聞きながら修正しつつ、また水口さんが彫った板を触りながら、それを再修正する、という工程で進められていました。私たちはそのクオリティの高さにびっくりしながら、その愛らしい造形に口元が緩んでしまい、また触りながら、その触り心地の良さにうっとりし、誰ともなく「これいいねえ」と思わず口から言葉が漏れ出ます。会議や実験の場では、いろんなアイディアが出つつも、今ひとつ具体的な形が見えていなかった新しい上毛かるたのイメージが、はっきりと焦点を結んだ瞬間でした。三輪代表は、うれしそうに、「さらにこれを漆で仕上げるからね!」と職人の顔で腕をまくる仕草をしています。見えていないはずの三輪代表が、私たちがモヤモヤしていて見えていなかったイメージを見えるように視覚化していく・・・それはこのかるただけに留まらず、メノキの立ち上げからずっと、どのような活動をしていくのがいいのか、みんなでああでもない、こうでもないと話しながら、モヤモヤしていたことに、三輪代表がある瞬間、すっと、形を作っていくということが何度もあり、アーティストってこういうことなんだな、と深く納得させられる体験でもありました。こうして形はできましたが、その後さまざまな苦労が待っている事を、この時はまだ私たちは知りませんでした・・・