→「みんなとつながる上毛かるた」とは?(1)
→「みんなとつながる上毛かるた」とは?(2)
から続きます。
さて、三輪代表が「自分で作ってみる!」と宣言して、ひと月もたたないゴールデンウィークの前あたり、ジンズの地域共生部の秋本さんとメノキのメンバーで三輪さんのアトリエを訪ねると、なんともう結構な数の札が彫り上がっているではありませんか!
三輪代表は、彫刻家としては職人気質のある人で、とにかく仕事が早い。方針さえ決まれば自分で締め切りを作ってどんどんそれに向けて仕上げていく。視覚を失って、木を彫ることはできなくなって、今回彫るのは長年の仕事仲間の水口健さんがヒノキの板に彫っていくのですが、その前の原型を、木の板に粘土を貼って三輪代表が作り、水口さんの意見も聞きながら修正しつつ、また水口さんが彫った板を触りながら、それを再修正する、という工程で進められていました。
私たちはそのクオリティの高さにびっくりしながら、その愛らしい造形に口元が緩んでしまい、また触りながら、その触り心地の良さにうっとりし、誰ともなく「これいいねえ」と思わず口から言葉が漏れ出ます。
会議や実験の場では、いろんなアイディアが出つつも、今ひとつ具体的な形が見えていなかった新しい上毛かるたのイメージが、はっきりと焦点を結んだ瞬間でした。
三輪代表は、うれしそうに、「さらにこれを漆で仕上げるからね!」と職人の顔で腕をまくる仕草をしています。
見えていないはずの三輪代表が、私たちがモヤモヤしていて見えていなかったイメージを見えるように視覚化していく・・・それはこのかるただけに留まらず、メノキの立ち上げからずっと、どのような活動をしていくのがいいのか、みんなでああでもない、こうでもないと話しながら、モヤモヤしていたことに、三輪代表がある瞬間、すっと、形を作っていくということが何度もあり、アーティストってこういうことなんだな、と深く納得させられる体験でもありました。
こうして形はできましたが、その後さまざまな苦労が待っている事を、この時はまだ私たちは知りませんでした・・・