【公費解体できない内灘の家々】冒頭の画像の異常さにお気づきだろうか。張り紙が貼ってあるから、被災した家なんだろうなとはき気付かれるはず。しかし、通常の地震被害とは異なる。右下に祠がある。なんと屋根以下の部分が地面に飲み込まれている。これが「液状化現象」である。内灘地区は、西荒屋・室を中心に、地形が全く変わる被害を受けた。河北潟に向かって砂丘部分(内灘全体)が滑るように落ち込み、液状化現象で家々が地面に飲み込まれたりした。最大で12mも家が移動してしまったところもある。京都大学の教授による調査では、「前代未聞」とのことである。(コロナを理由に早々と閉鎖された西荒屋小)問題点中には、家が壊れていなくて、地面が裂けたり変形している住宅もある。これ、実は公費解体ができないのだ。建物が半壊以上ではないので、公費解体には当たらないと判断される。だが、地面が裂けたり、隆起・陥没している土地に住めるはずがないので、整地するにしても家は壊すなり移動が必要である。しかし、解体費用の数百万円は、自腹で出すことになる。内灘町は、被災から6ヶ月目だが、地域住民の7割が未だ他地域で暮らしている。私の教え子の奥さんとお子さんとお話をしたが、壊すに壊せず、傾いた家に住むしかないので、そこに住んでいるという。自分の教え子が、そんな状態の中、家族を守って頑張っていると思うと、思いが込み上げてくる。6ヶ月目。なぜ、生殺しのままに放置しておくのか。人間は生きている。希望を失った人は、自ら命を断つ。能登半島地震でも、次々にそういう悲劇が起きているが、様々な理由で災害関連死や自死にカウントされない。「無かったことにしてよしとする。」私は、こんな日本でいていいはずがないと思っている。