はじめに (本プロジェクトの概要)
初めまして、社会福祉法人光徳寺 善隣館 中津学園建替プロジェクト応援団です。この施設は社会福祉法人光徳寺善隣館が運営する施設です。
私たちはこの度、佐伯祐正・祐三兄弟の生誕の地でもある「光徳寺善隣館」の建替えに伴って、大学などのアートや福祉、建築などの専門家や地域に関わる団体や法人によって応援団を結成することになりました。目的は、建替を機に兄の佐伯祐正の「社会福祉の心」と弟の祐三の「アートの心」を受け継ぐ拠点として生まれ変わらせる活動を行うものです。様々な事業の推進に向けて、日々話し合いを重ね、活動をしています。
佐伯祐三とはどんな画家?
佐伯祐三は日本を代表する洋画家です。「郵便配達夫」「ガス灯と広告」「カフェのテラス」などは皆さんも一度は目にしたのではないでしょうか?
祐三はわずか2年あまりで次々と名作を描き上げた天才画家です。絵を描くことに全身全霊を捧げたあまり、体を壊し30歳で逝去します。
これまでの経緯
中津学園(福祉型生活施設)は、今年(2024年)で建設されて63年です。
昭和36年の開設当初、知的障がい児の居住施設は大阪にはとても少なく、手探りで運営を始めました。現在までその時の建物を使い続けてきましたが痛みが激しく、補修をしても雨漏りがひどくなってきました。また、地震に対する安全性が不十分で、近接する淀川の氾濫時には浸水被害等も予想されます。このような事情から、今回、建て替えをすることにしました。
光徳寺善隣館は福祉施設の顔だけでなく、浄土真宗のお寺(光徳寺)という顔を持ちます。その二つは密接に関係しています。祐三の兄である祐正が、住職を継ぎますが、既存の寺のあり方に疑問を持ち「お寺も地域に貢献すべき」という強い意思のもと福祉事業を始めたのがきっかけです。祐正が福祉事業を始めてから100年が経過しました※。
※善隣館開設前の1924年に、方面委員事務所(現在の民生委員)を中津町役場から光徳寺に移した年を福祉事業を始めた年としています。
祐正は1926年にイギリスのセツルメントにならい施設を「善隣館」と名付け、当時地位の低かった女性の授産事業(就労支援事業)、夜間洋裁学校、そのこどもたちのお世話をする幼稚部、小学生学童保育、中学生学童保護、図書室、芸術や憩いの場など地域の人々の暮らしぶりが良くなるための施設を作りました。
また、福祉事業の傍ら祐三の画家人生を生涯に渡り応援しました。二人はとても仲の良い兄弟であったようです。祐三が逝去した後も精力的に福祉事業に邁進した祐正でしたが、空襲により被災し49歳で逝去しました。残された妻千代子は戦禍で建物が灰と化した中、呆然としている間もなく幼稚部を発展させ保育所を作ります。
時は過ぎ高度経済成長期になると、あちこちで幼稚園や保育所が建ち始め、こどもたちのための施設はある程度充足していきました。そのような中で、当時は家庭内で見ることが難しい知的障がい児が生き生きと暮らせる場所が必要と考え、1961年に知的障がい児のための居住施設を作ることにしたのが、現在の中津学園の誕生です。
このように佐伯家では祐正の代から始まり、妻、こども、孫の代に至る現在まで、その時々の課題に対応した福祉事業を進めてきたのです。
これからの展望と計画
中津学園の建て替えに合わせて、以下の目的を達成したいと考えています。
1:地域のこどもたちにアートにふれあい、楽しめる場をつくる
2:佐伯祐正と祐三の業績を伝える取り組みを行う
3:地域に開かれた交流できる場所をつくる
4:これらの情報を発信し、広く皆さんに知ってもらえる場所として発展させる。
1:地域のこどもたちにアートにふれあい、楽しめる場をつくる
佐伯兄弟は、芸術全般を愛していたようです。祐正は時には当時の社会事業家が慈善事業の一環として行なった演劇で役者の真似事をしたり、兄弟二人でバイオリンを弾いていたという記録が残っています。兄・祐正は人々には働く場だけでなく、遊んだり学んだりする機会が必要だと考えていたようです。
そのような意志を引き継ぎ「社会福祉の心」と「アートを楽しめる場」を新しい建物でも現代に甦らせたいと考えています。
具体的には、新しい建物の1階にクラフト室をつくります。そこで障がい児や地域のこどもたちが絵を描き、工作ができる機会を作ります。絵や工作を教えるボランティアを募りサークルを結成し、こどもたちにアートにふれあう楽しさを伝えたいと考えています。また、クラフト室はギャラリーとしての貸し出しを行い、アーティストの絵画展、工作展なども開催したいと考えています。
2:佐伯祐正と祐三の業績を伝える取り組みを行う
その1:入口にメモリアルウォールを設置したい
佐伯祐正と祐三との業績を伝える「メモリアルウォール」を設置します。場所は、入口通路の側面とし、訪れる方にご覧いただけるようにします。また、障がい児や地域のこどもたちが作った作品の掲示やイベントの案内も掲示します。
その2:佐伯祐正と祐三の時代から現代までのアーカイブギャラリーを設置したい
佐伯家には祐正と祐三の時代の写真、祐正・祐三がパリから送った手紙、当時の建築図面など貴重な資料がたくさんあります。福祉史や美術史の側面から見ても大変貴重なものです。現在は紙ベースの写真、絵葉書、図面等が保管されていますが、今回デジタル化するなどアーカイブに整理し、ギャラリーを設置します。
また、今回のアーカイブをきっかけに、学園内部から新たに発掘されたものや親族が大切に保管されていたものもあり、聴き取りしながら作業を進めています。近畿大学寺川研究室が中心となって実施しています。
その3:佐伯祐正と祐三の時代の施設とまちを模型で再現したい
アーカイブ資料をもとに、当時の「善隣館」を含む施設の図面や模型、大阪市北区中津付近の様子の模型等で再現します。こちらも近畿大学寺川研究室が中心となって進めています。
その2とその3については、中津学園の新しい園舎ができた際にお披露目する予定です。
3:地域に開かれた交流できる場をつくる
その1:地域の人々と(仮称)サエキド・マルシェを開催したい
エントランスから交流広場にかけては、地域の人々を集めてマルシェを開催する予定です。佐伯祐正の時代には、祐正は方面委員(現在の民生委員)を担い、地域の人々の悩みを聞いていました。施設自体も地域の人々の内職の場、学びの場、憩いの場として常に人々が出入りするオープンな場所でした。
現在は居住施設ですので恒常的に開くことはできませんが、不定期ですが地域と協働し雑貨、飲食等を販売し、交流する機会を持ちます。
その2:高潮等非常事態時の防災機能を屋上に整備したい
中津学園は淀川に近接し「家屋倒壊等氾濫想定区域」に指定されています。高潮等非常事態が発生した際に建物の屋上に、こどもたちや地域の障がいのある方々が避難できるよう、防災機能(雨水利用設備等)を整備します。
4:これらの情報を発信し、広く皆さんに知ってもら得る場所として発展させる
新しいホームページを作り、中津学園の紹介、見学会や各種イベントの案内を行います。また、佐伯祐正・祐三関連のニュースや記事もアップ予定です。竣工後は、オープニングイベントの開催、佐伯祐正・祐三の業績を伝えるボード展示、模型展示、その他写真・文書等のお披露目会などを行う予定であり、ホームページ上で発信予定です。
支援金の使い道について
前述の内容を実施するために1500万円の費用が必要であり、このうち500万円をクラウドファンディングで募集します。今回、クラウドファンディングで集まったお金は具体的には以下の項目で使わせていただきたいと思います。なお、第二弾のクラウドファンディングも予定しておりますので、あらかじめご了承ください。
1:地域のこどもたちがアートにふれあい楽しめる場づくり
2:佐伯祐正と祐三の業績を伝える取り組み
・入口にメモリアルウォールを設置
・佐伯祐正と祐三の時代から現代までのアーカイブギャラリーの設置
・佐伯祐正と祐三の時代の施設とまちを模型で再現したい
3:地域に開かれた交流する場づくり
・地域の人々と(仮称)サエキド・マルシェを開催
・高潮等非常事態時の防災機能を屋上に整備
4:情報の発信と活動の発展
・ホームページの作成
・竣工後のオープンイベントの開催
・アーカイブのお披露目会の開催
これからのスケジュール
令和6年1月から解体を開始し、現在は園舎の建て替え工事中です。
令和7年春に竣工予定です。
関係者からのコメント
渡辺祐子園長(中津学園)からのコメント:
新しい中津学園園舎の建替えが始まりました。建築費の高騰が続く中で、子どもたちが安心・安全に暮らすことが出来る住処を作るべく関係者一同、奮闘を重ねる毎日です。クラウドファンディングについて、是非皆様のお知り合いの方々にも広く情報をお伝え頂ければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
寺川政司准教授(近畿大学)からのコメント:
「たえず種を蒔けよ、たとい鳥が啄むも」これは、うまくいかなくとも、まずはじめる大切さを示す施設の思いを表しています。佐伯兄弟は、目につきにくい人や物を大切にしてきました。設立から100年。兄弟の息吹を「アート×障害児×地域」でつむぐ新しい居場所を作ることになりました。新しい歴史を作る取組みに皆さんとご一緒できれば幸いです。
・リンク先一覧
インスタグラム:https://www.instagram.com/saekibros_prj/?hl=ja
フェイスブック:https://www.facebook.com/profile.php?id=61561546621485
動画:https://youtu.be/_gDD1Z3omz0
最新の活動報告
もっと見るクラウドファンディング 終了のご報告とお礼 及び今後のスケジュール
2024/12/20 16:32支援者の皆様へこの度は、私たちのプロジェクトをご支援いただき、誠にありがとうございました。皆様のおかげで募集が無事に終了し、2,449,997円(226名)に達することができましたことを、心より感謝申し上げます。 今後の予定やリターンの発送については、順次活動報告を通じてお知らせいたします。また、個別にご質問がある場合は順次メールにてご連絡しておりますので、よろしくお願いいたします。 <現在進めている事業やイベントスケジュールについて>・2025年2月〜 佐伯祐正と祐三の業績を伝える動画をYouTubeでアップ予定。ご寄付いただいた方のお名前をHPにて記載(ご希望される方のみ)。順次返礼品を発送・2025年春 新中津学園完成予定・2025年春〜秋 刻印れんが設置・2025年10月25日(土) こどもアートワークショップ(時間は調整中)→【こどもアートワークショップ参加券】にお選びいただいた方には、日時、持ち物、注意事項等、個別に後日メールにてご連絡させていただきます。・2025年11月23日(祝・日) 見学会、まち歩き、マルシェイベント(時間は調整中)→【マルシェイベント参加券】【見学会】【まち歩き参加券】 【刻印れんが+見学会参加券】 を返礼品にお選びいただいた方には、日時、注意事項等について、個別に後日メールにてご連絡させていただきます。***<関係者からお礼のコメント>***渡辺祐子園長(中津学園)から:ご支援を頂いた皆様に、心より感謝を申し上げます。こんなにもたくさんの方々に応援して頂いたことに感激しています。佐伯祐三をきっかけとして、アートで繋がる拠点となるようにこれからは、地域の皆様とともに活動していければと願っています。今後とも、皆様のお力添えの程よろしくお願い申し上げます。寺川政司准教授(近畿大学)から:この度は、応援団一同、手探りのクラウドファンディング活動でしたが、多くの方々からの熱いメッセージやご支援をいただき、感謝しております。このプロジェクトもいよいよ最終段階に入ります。皆様のご期待に沿えるよう、またこのつながりを大切にしながら、応援団一同、本事業の成功に向けて奮闘する所存ですので、今後とも見守っていただきますようお願い申しあげます。 最後になりましたが、皆様の温かいご支援があったからこそ、このプロジェクトを進めることができました。本当にありがとうございました!!引き続きのご声援をどうぞよろしくお願い申し上げます。*********写真は、佐伯祐正と祐三の業績を伝える動画の撮影風景。12月20日に渡辺園長の撮影を行いました。 もっと見るついにクラファン最終日!明日(12/16)の23時59分で終わりです。
2024/12/15 09:05ついにクラファン最終日!明日(12/16)の23時59分で終わりです。 建て替え応援団の川幡です。 なかなか支援金が伸びなくて、支援をしていただいた方の中には一緒になって気を揉んでいらっしゃった方もいるのではないでしょうか?しかしやっと214万円まできました!もう少しで目標の半額に達しそうです。 12月に入ってからは山田五郎さんがTwitterでつぶやいてくださり、読売新聞、N H Kさんが報道してくださったおかげでぐんと金額が上昇しました。祐三の母校・北野高校の皆さんは期間中ずっと拡散やご支援が絶えることはありませんでした。そのほか、個人的にも拡散してくださった方がたくさんいました。何回もご支援いただいた方、親戚や家族までご支援いただいた方、今後の中津学園の取り組みで使えそうな助成金の情報を送っていただいた方。。。本当に感謝しかありません。ご支援していただいた際に、コメントをいただき、それを一つずつ読んでいるうちに、このプロジェクトはすでに中津学園や応援団だけのものではなく、これだけたくさんのご支援をもとに成り立っているということをしみじみ感じております。 とても嬉しく暖かい気持ちになると同時に身の引き締まる思いで日々過ごしてきました。 応援団を結成し準備を進める間に、資金集めのためにクラウドファンディングをやってみることにしました。正直、かなり安易に考えていました。個人の皆さんのご支援は想像以上の数でしたが、もう少し企業などにもアプローチできたらよかったとも思っています。その手段は今は思いつきませんが。 ご紹介いただいた方には、直接訪問して趣旨を説明し恐る恐るご依頼をし、友人知人には関係性が壊れるかもとおっかなびっくり依頼のメールを送りました。お金のご支援の依頼は正直とても辛いものでした。ですが、こういう機会がない限りここまで強く人にお願いをすることもなかったと思います。だからこそ、しんどかったからこそ、一円も無駄にせず目的達成のために大事に使いたいと思います。まだ 時間ありますので、最後の力を振り絞ってがんばります。もう少しの時間、ご支援いただけたら嬉しいです!!! もっと見るクラウドファンディング終了まであと2日。障がい児が大人になったとき
2024/12/14 14:19いよいよクラウドファンディングもあと2日。今日、200万円に達しました!!本当にありがとうございます!!当初の目標の500万円には遠く及びませんが、なんと188人もの方々の尊いご支援だと思うと、胸が熱くなります。あと2日間、精一杯頑張ります。 さて、今期のテレビドラマ「ライオンの隠れ家」(金曜日22時T B S テレビ)を楽しみに見ています。市役所で働く洸人(ひろと)と自閉スペクトラム症の弟・美路人(みちと/みっちゃん)が二人で暮らすなか、謎の男の子「ライオン」と出会ったことで、“ある事件”に巻き込まれ、生活が一変していくというドラマです。美路人(みちと)はこだわりが強いが、動物が好きでそれをモチーフにした絵が得意です。そして、お兄ちゃん思いです。美路人役の方の好演が光ります。昨日の回ではある理由から美路人がお兄ちゃんと離れて障がい者の方たちが集まって住むグループホームにお試し体験をするものでした。 中津学園ではこどもたちが集団で暮らしています。家族と離れ寂しい思いもありますが、それぞれの事情がありやむなく家で暮らせないことから中津学園にやってきます。預かる以上は、日常の基礎的な生活習慣の自立(洗面、排便、着脱、私物の整理整頓)や人との関係性の構築などを目指し、職員が伴走します。新しい中津学園では、個々の生活も尊重できるように大半は個室を用意し、だんらんや食事の場である共有空間も充実しています。こどもたちは家庭で暮らすことがいいのは基本ですが、中には中津学園から巣立つ際に、果たして戻して大丈夫なのだろうかと不安になるケースもあるそうです。また、元の家庭には戻らず独立して暮らす選択をする人もいます。「ライオンの隠れ家」の美路人が体験したグループホームのような暮らしを選択する人もいます。中津学園も近くにグループホームを運営しています(大正区泉尾にもあります)。職員がサポートをしながら自立した生活をしています。金銭管理、生活支援、トラブル対策などのサポートを職員がします。(写真はグループホーム中津の遠足 右端が渡辺祐子園長)また、今は家庭で暮らしていても、親がお亡くなりになったり、高齢になることで家では生活できなくなるケースも出てきます。近年は、グループホームのニーズが高まっていますが、なかなかつくることが難しい状況にあります。偏見や不安などから、総論は賛成だが自分の家の近くに来られることは避けたいと考える人もいて、住まい確保は苦戦することが多いのです。地域に開く活動を通じて、少しでもその垣根が解消されたらいいなと考えています。地域に開くことは中津学園のこどもたちの将来のためでもあります。 泣いても笑ってもあと2日、精一杯頑張ります! もっと見る
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