わたしがサーカスに出会ったのは27歳のとき。インドネシアのビンタン島で、ヨガ講師をしていた時でした。ある日、サーカスチーフから "サーカスショーのパフォーマーリストにイッコの名前が書いてあるけど、出る?” と聞かれたのがきっかけでした。機械体操も経験しているし、ヨガの先生だから身体柔らかそうだしいけるんじゃない?とのこと。
正直サーカスにはそんなに興味がありませんでした。なんとなく面白そうだなぁ、と思い練習に参加。初めてのショーは三日後です。”信じてくれたらキャッチするからね” ”You can do it!" " 信じて練習して、初日には頭から落っこちました。補助とマットがあって良かったです...
この12年前の出来事がわたしの人生を変えました。今のいくらサーカスがあるのは、ビンタン島のサーカスショーのリストにわたしの名前を書いてくれた人がいたおかげです。
ビンタン島で働くスタッフは22カ国から。お客様は世界中からやって来ます。私たちの仕事は、リゾートホテルにやってくるお客さまに空中ブランコショーを披露することと、空中ブランコのレッスンをすることでした。10mほどの高さのボードの上から、”レディー” ”ヘップ!”という掛け声で、お客様はバーを持って空をスウィングします。向こうからやってきたキャッチャーにキャッチをしてもらいボードに戻ってきます。青空の下、椰子の木の緑とキラキラした海を見下ろしながら、全身で風を切って、まるで空を飛んでいるような感覚です。
わたしは自分が空を飛ぶこともそうですが、お客様の飛んでいる姿を見るのが大好きでした。叫んだり泣いたり、でもほとんどの方が、満面の笑みで、全身で喜びを表しているように見えたからです。仕事に追われている日本の大人が、子供のようにはしゃげる場所をいつか作れたらいいなぁ、12年前にふと思ったのです。
ビンタンのサーカスチームは教えてくれました。
1仲間を信頼すること
空中ブランコは、キャッチャーとのタイミングが大事です。ボードから飛び出す瞬間と、キャッチャーのスイングのタイミングが合わなければキャッチができないどころか、ぶつかってしまいます。ボードに帰ってくるときは、仲間がそこにいて、手を差し伸べてくれます。仲間を信じて、自分の可能性に挑戦する、それがサーカスの素晴らしさだと思います。
2 恐れを正面から見つめること
空中ブランコで、命綱なしで空に飛び出す瞬間は足が震えます。技を失敗して、ネットへ落ちるときの身体の返し方に失敗すると怪我をします。怖いという感情に目をつぶって逃げ出したくなります。何に対して恐れを抱いているのか、どうやったらその恐れは和らぐのか、正面から見つめるということを練習の中で学びました。
3 自分を信じること
どんなに素晴らしい仲間がいても、仲間からもらった”You can do it! " を 自分の言葉で" I can do it! " と唱えなければ、技は成功しません。サーカスでもサーカスでなくても、困難なことがあったときに私はつぶやきます。” I can do it ! " わたしならできる!と。
4 " Have Fun! "
楽しんで!これはわたしの生きるテーマです。そしてみんなとシェアしたい言葉です。ここにいるこの瞬間を楽しむことをサーカスは教えてくれました。
いくらサーカス3周年のサーカスイベントで、沢山の人が笑顔になれる瞬間を見るのをとても楽しみにしています。
IKKO