神戸の西、須磨海岸から山手へ車を15分ほど走らせたところに、多井畑という地域があります。市街地からほど近い場所であるにも関わらず、そこには多様な動植物が生息する、自然豊かな里山が奇跡的に残されています。また、里山のふもとには日本最古の厄除の霊地とされる「多井畑厄神」があり、たいへん歴史の深いまちでもあります。そんな貴重な環境ともいうべきこのまちも、現在、各地の他の地域と同じく、少子高齢化、文化やコミュニティの担い手の減少、空き家の増加といった課題に直面しています。
本プロジェクトでは、誰もが参加できる協働の設計・改修を行うことで、多井畑の緑に囲まれた空き家を、アトリエ・ショップ併設のオープンスペースへと生まれ変わらせることを目指します。子どもからご年配の方、学生や親御さんなど、あらゆる世代、どんな立場の方でも気軽に使うことができる、地域の新しい居場所であると同時に、若手作家が活動場として利用したり、野菜作りや地域行事、イベントなど、いつでもやってみたいことにチャレンジできる、自由で開かれた共有空間となることを目指しています。
スペースの使い方をみんなで考え、みんなで作る。みんなで使う。公民館でも学校でもカフェでもない、それでいて、そのどれでもあるような“ラベルのない”居場所。使い道や役割は固定せず、つねに未完成であるような、みんなで育てるオープンな場。
そんな新しい公共空間のカタチを模索しながら、実践や調査を通して体系づけ、発信し、将来的には全国へ波及できたらと考えています。
プロジェクトページをご覧いただきありがとうございます。このプロジェクトの発起人の西谷聡汰(にしたにそうた)と申します。
普段は兵庫県神戸市や姫路市を中心とし「土地や社会の文脈を読み解き、これからの暮らしを考える」をテーマに活動を行うデザイン事務所 umiyama design lab を運営しており、デザインや写真・映像撮影を行っています。
環境問題や社会問題など多くの課題が存在する昨今、これからの社会やまちにとってどのような場や暮らしが必要なのかを学ぶべく建築の道を目指し、大学院まで研究を行ってきました。そんな中、神戸市須磨区多井畑に住んでいる親戚から空き家をどうにかできないかという話が舞い込んできました。
このプロジェクトでは、そんな多井畑の民家を地域の方たちの居場所としてアトリエ・ショップ併設のオープンスペースへ改修することを目指しています。また、まちの人たちとの協働設計・施工を行い、誰もが対等に利用できる場となることを目指しています。
しかしながら現在、改修工事費用・設備費用等が不足しているため、皆様にお力添えをいただければと思い、クラウドファンディングをすることとなりました。
これまでの地域社会では、町が人を、そして子どもたちを育ててきました。開いたままの勝手口のお家の中で、お店の前でご近所さんとおしゃべりをする。まちの大人たちに子どもたちが遊びを教えてもらう。そんな町の暮らしが自然と人を育て、多様なコミュニティを育んでいたと思います。
しかし、近頃は日常的なまちの居場所はほとんどなく、身近なお店もまちの中から姿を消しつつあります。まちで何かをはじめる、新しいことに挑戦できる場もなかなかない状況です。
また、まちそのものが教育やコミュニティ、自然、そして文化の場だったかつての暮らしもそれぞれ学校や公民館、公園などに分断され、あいまいで多様だった暮らしは失われつつあります。
特に子どもたちの現状としては、不登校児童生徒数が年々増加し、現在24万人を超えています。子どもや家庭に必要な支援制度につなぐ相談窓口やフリースクールが開設されるなどさまざまな取り組みが行われていますが、依然としてまちの中には登校を望まない子どもや不登校に悩む保護者が気軽に訪ね、過ごすことができる居場所はほとんどないのが現状です。
少子高齢化・人口減少が加速する社会で、町に続いてきた豊かな自然や文化をこれからの世代に繋ぎ、安心して暮らしていくためには、なにをすれば良いのか。
・Tainohata Projectで掲げる構想イメージ
これからの地域や社会において、さまざまなまちの人の居場所となり、いろんなものごとに挑戦できる・受け入れられる場をつくること、子どもたちが元気になれる居場所をつくること。そんな場をつくることで、多様な暮らしとコミュニティの場を広げ、町を育てていく。そして町が人を育てる。そんな風景になっていくのではないかと考えています。
プロジェクトチームの設立・活動
・現在、設計チームを有志で結成し、地域のまちづくり団体や農家と連携した活動展開を計画しています。
西谷聡汰
兵庫県出身 大阪公立大学院修了 umiyama design lab 主宰
矢吹和美
兵庫県出身 ノノハナポケット 主宰
中本智子
兵庫県出身 時は暮らし社 主宰 パーマカルチャーを中心とした活動を来年度から計画している
八ヶ代信行
兵庫県出身 大阪で子どもの居場所づくりを行うなど多岐に活動をおこなっている
藤原加容子
兵庫県出身 Creators squad SIKÔ デザイナー NEO町内会主宰
赤木さとみ
広島県出身 Creators squad SIKÔ 編集・文筆 NEO町内会主宰
稲垣樹
大阪府出身 兵庫県立大学卒 現在設計事務所 lyhty にて設計を行っている
川上皓之
兵庫県出身 大阪公立大学修士 現在、団地の屋外空間における協働運営の研究を行っている
松川裕成
大阪府出身 大阪公立大学修士 現在、参加型施工を行う設計者の研究を行っている
菅野佑志
福島県出身 関西学院大学 現在、西村組にて大工修行を行っている
成澤瑞樹
山形県出身 京都ノートルダム女子大学 現在子ども食堂などの教育ボランティアを行っている
ー その他地域の方などと連携し、現在活動を行っています。
研究活動と各団体との連携
また、修士論文ではこのプロジェクトにむけて、神奈川県西区東ケ丘にある Connection of the Children(CoC) が運営する地域の居場所 CASACO にて住み込みで調査を行い、協働の場をつくるために必要な要素をソフトからハードの面まで明らかにしました。
現在も各地でこのような新しい公共空間が展開できるよう、地域の方や子どもの居場所となる協働の空間の設計手法を開発するべく、CoC、大阪公立大学(旧大阪市立大学)・マツダ財団の協力のもと研究を行っています。
CASACO管理人ガエタン(左)・CASACO運営者加藤さん(右)
このPJを通じて実現したいまちの風景
地域の方々が交流できる場、そして子どもたちがのびのびと遊び、学べる場として風通しがよく、果樹の植る農地など周辺の環境を活かしたオープンな拠点にしたいと考えています。
改修後完成イメージ図
< ハード面での主な機能 >
・ キッチン付きオープンスペース&イベントスペース
・ ギャラリー・ショップ付きアトリエスペース
< ソフト面での主な機能 >
・ 日常的な居場所空間の提供
・ 子ども食堂やマルシェなどの定期的なイベント
・ 染め物体験など周辺農地やアトリエスペースと連携した体験イベント
完成後は以下のような情景が日常的に生まれる場にしていきたいと思っています。
01 日常的なコミュニケーションの場 / 周辺農地・林地と連携したまちの居場所
・平日の朝、ママさんたちがやってきて、おしゃべりをしている。子どもたちはその間近くの畑や林で遊び、野菜や果物を採って帰ってくる。この時期はブルーベリーが多く採れるので、昼からは子どもたちやみんなでジャムをつくる。
02 やってみたいを挑戦できる場 / こども食堂などの地域行事・イベントスペース
・ご近所の方が利用する中で、お花の学校をやってみたいとのことでみんなで集まって植栽を植える。活動はそのまま園芸部を立ち上げることとなり、周辺の道の植栽をこれからみんなで考えることになった。
・月に一回の子ども食堂。違う地域の子どもたちやママさんたちが集い、みんなで食事をする。子どもたちが地域のご年配の方たちにお運びをしている。午後からはまちのおばあさんが子どもたちに趣味の茶道を教えてくれるらしい。
03 若手作家の活動場所と体験教室
・修行を積み、最近個人での活動を始めた陶芸家がアトリエで創作を行っている。毎週末はワークショップが開かれており、まちの人が習いに来ている。
このPJを通じた今後の展開
このプロジェクトを通して、この新しい公共空間のカタチに名前をつけ、それらを各地で実践するためにどのような空間や機能、運営方法が必要なのかを体系づけて発信していこうと考えています。
現在、できる範囲での解体を自主的に行っており、周辺の農地などの整備を行っています。
また、地域のお祭りに合わせ、流しそうめんや竹灯籠のイベントを企画するなど地域の方たちに向けたイベントを実施中です。
設計については、毎週現場にてオープンミーティングを行い、地域の方たちとの協働の設計・施工を行っています…!
これから地域資源マップや模型ルームなどを設けるなど準備を行い、秋ごろには周辺店舗やまちの方たちを巻き込んだまちあるき、また建物の完成予想図やこれからのまちの絵を描くWSなどのイベントを企画しています。
↓日々の活動の様子はこちらから
https://www.instagram.com/tainohata_pj/">https://www.instagram.com/tainohata_pj/
リターンについて
01【お礼のメッセージ付きポストカード】
感謝の気持ちを込めて、オープン後の活動を写したポストカードにお礼のメッセージ付けてお送りさせていただきます。
02【トークイベント参加券】
オープン後、建物内で開催される空き家トークイベントへの参加券です。
03【オープンイベント参加券】
オープンした際に開催されるオープンイベントへの参加券です!
(軽食+ドリンク付)
04【シンプル応援プラン 小・中・大】
このプロジェクトに少しでも興味を持ってくださった方、とりあえず応援してやろう!というあなたに。協賛の方々として、建物内に支援者様のお名前掲載します。
05【sota nishitani Tシャツ・トートバッグ 】
デザイナーのかたわら写真家として活動するプロジェクトメンバーの西谷が各地で中判フィルムカメラにて撮影した写真をプリントしたTシャツ・トートバッグです。
07【記念オリジナルTシャツ ・トートバッグ 】
tainohata projectのロゴがプリントされた記念オリジナルTシャツです。 これから地域内外の方とのミーティングの中で名前やロゴが考え、決まったものをTシャツ・トートバッグにして販売します。
08【動画のクレジットにお名前掲載】
プロジェクト終了後に公開する本建物のプロモーションビデオのクレジットに、
支援者様のお名前(ニックネームや企業名も可)を掲載します。
今後のスケジュール
8月 地域の方との協働設計開始・流しそうめんなどのプレオープンイベント実施
9月 まちあるきWS・クラウドファンディング終了
10月 協働施工開始
2025年4月 オープン予定
2025年8月 リターン予定
最後に
この町の豊かな歴史と自然、暮らしを未来の世代に繋げていく。そして、各地で居場所づくりを広げ、これれからの暮らしの支えていく。本プロジェクトがそんな壮大な物語の一端になればと思っています。ぜひご支援のほどよろしくお願いいたします。
最新の活動報告
もっと見るクラウドファンディング、残り3日!ぜひ最後のご協力をよろしくお願いいたします!
2024/10/31 01:35こんにちは、Tainohata Projectです。みなさまのおかげで、現在、78名の支援者様にご参加いただいており、目標達成率は63%に達しています。ここまで来られたのは、みなさまのお力添えと声援のおかげです。本当にありがとうございます。残り3日間、さらに多くの方にこのプロジェクトを知っていただき、この勢いを借りてぜひ来年にオープンできればと思いますのでもしまだご支援を検討されている方がいらっしゃいましたら、ぜひこの機会にご協力いただけると幸いです。春にはじめたこのプロジェクト。すでにたくさんの方にご参加いただき、設計・施工段階ながらすでに多世代交流の場になってきました。これからさらに多くの方々にこのプロジェクトの魅力を知っていただければと思いますので、残りわずかとなりましたが最後まで、どうか応援・拡散のご協力をお願いいたします。8月16日にスタートしたクラウドファンディング。11月3日(日)23:59に終了いたします。最後のお願いとして、instagramやfacebookなどのSNSでこのプロジェクトをシェアしていただけないでしょうか?プロジェクトのURLは以下になりますhttps://camp-fire.jp/projects/769561/view残り3日、ひとりでも多くの方にこのプロジェクトを知っていただけたら幸いです。よろしくお願いいたします…! もっと見る
多井畑まちあるきを実施しました!
2024/10/30 00:3710/27に行った多井畑まちあるき。地域の方々をはじめ40人を超える方々に来ていただきました…!まちの中でなんだかいいなと思うところをカメラで撮影し、それを言葉にしてみんなで共有することで、まちの輪郭を描いていくWS。それぞれの感性で街を見つめるとても豊かな時間でした。今後も複数回にわたり実施し、オリジナルの地図や本を作っていく予定です…!また、子どもたちは栗を拾ったり、自分たちで考えた遊びをしたり…。地域の方が栗をゆでたり、泣いている赤ちゃんをみんなであやしたり…。オープン前から多世代の方々がのびのびと時間を過ごす場ができ、来年のオープンが待ち遠しくなるようなとてもしあわせな時間でした! もっと見る
多井畑まちあるき開催!
2024/10/22 11:41Tainohata project主催でまちあるきのイベントを開催します!10.27(sun) 9:30-16:30[参加費] ¥500(小学生以下無料)事前予約・途中抜けOK※事前予約はinstagramのDMより受付けております。参加希望のかたは「①お名前②参加人数」をお送りください。お気軽にご連絡ください![集合場所] 神戸市須磨区多井畑山神6※当日は衆議院議員選挙が行われます。参加される方は期日前投票をしていただくか、まちあるきの前後に投票していただくことをオススメします。ー神戸西の自然や歴史が多く残る地域、多井畑。古くから続く集落から探索、そして子どもから大人まで皆が抱くまちの魅力を共有することでまちの輪廓をなぞり、一冊の本にしようというワークショップです。ぜひあなたのスマホやカメラを片手に。一緒に歩いてみませんか?当日はお子さんでも楽しめるよう、スタンプラリーや押し花のブースなどもご用意してます。たくさんのご参加をお待ちしてます! もっと見る
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