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絶滅危惧!リトグラフ用アルミ版の研磨機再稼働

リトグラフ制作になくてはならない手描きアルミ版を磨く職人さんも、今ではたったお一人になり、存続が危ぶまれています。 京都リトグラフ工房では工房用にリトグラフ版の製造を目指しています。応援してくださった専門家の方には工房の使用またはアルミ版を、版画ファンの方には当工房で制作された版画を提供いたします。

現在の支援総額

371,500

14%

目標金額は2,500,000円

支援者数

42

募集終了まで残り

63

絶滅危惧!リトグラフ用アルミ版の研磨機再稼働

現在の支援総額

371,500

14%達成

あと 63

目標金額2,500,000

支援者数42

リトグラフ制作になくてはならない手描きアルミ版を磨く職人さんも、今ではたったお一人になり、存続が危ぶまれています。 京都リトグラフ工房では工房用にリトグラフ版の製造を目指しています。応援してくださった専門家の方には工房の使用またはアルミ版を、版画ファンの方には当工房で制作された版画を提供いたします。

自己紹介

はじめまして、版画家の出原司と申します。主にリトグラフを使って作品発表をしています。とにかくサイズの大きい作品を作ることで覚えてもらえているみたいです。

現在発売中の雑誌『版画芸術』205号に私の紹介記事が掲載されているので、ご興味のある方は是非お手に取ってご覧ください。
2019年に定年退職するまで京都市立芸術大学で教授をしていました。職を退いてから自宅近くのアトリエを、誰にでも来てもらえる京都リトグラフという教室+工房に改装しました(下記のウェブサイトをご覧ください)



このプロジェクトで実現したいこと

はじめにお知らせしたように、19世紀以来アーティストたちがこぞって制作してきた石版画のための版材を作る研磨所が、日本ではたった一軒を残すのみになってしまいました。先年その研磨所が少しお休みになったとき、全国のリトグラファーはこれで日本の石版画の歴史も終焉を迎えるのかと衝撃を受けました。

今後、石版画制作の歴史を受け継ぎ、未来へ続けていくためには、新しい場所に遺伝子を残す必要があると考えています。
当工房では、先年廃業になった東大阪のクラタ商店さんで長年使われてきた、リトグラフ用アルミ版を製造する研磨機の心臓部分を保存しています。これ自体貴重なものですが、現在はメインページの動画などをご覧になればおわかりになるとおり、先史時代の生き物の化石のような骨組みを残すのみで、稼働はできません。
これを再び稼働させ、今では絶滅一歩手前となってしまったリトグラフの火を絶やさぬため、研磨機の再整備事業を立ち上げます。


プロジェクト立ち上げの背景

直接の背景の前にリトグラフについて少しだけ解説します(リトグラファーの方はこのセクションは跳ばして先に進んでください)。

リトグラフはもともと石版石と呼ばれる特別な天然石の性質を利用したものです。あらかじめ研磨された石版石の表面にリトクレヨンや描画インクなどの脂肪を含んだ材料で絵を描きます。すると、材料が触れた部分に水を弾く物質が形成されます。その後、硝酸などの酸を含んだ水溶液で全体を洗うと、材料が触れていない部分は水を吸収するようになります。水を含ませたスポンジで拭きながら油性インクをつけたローラーを転がすと、クレヨンや描画インクが触れたところだけにインクが残るので、プレスをして紙に写します。これを繰り返すと描いたものと同じイメージが何枚も作れます。

これがリトグラフの原理ですが、満足のいくように刷るには版の加工に様々な材料や薬品が必要です。これらのリトグラフ制作に必要な物品(版画を刷るためのプレス機〜絵を描くためのクレヨンに至るまで)がどんどん手に入りにくくなっているのです。

なぜでしょう?理由はひとつだけではないのでしょうが、個人的には現代では何かを実現するための地道な訓練が以前より蔑ろにされているのかなと思います。18世紀末に石版画が発明されて以来、この技法でたくさんの作品が作られてきたのも、広い意味では人にビジュアルを伝える手段として容易だったからではありますが、この技法には少し込み入った化学的理解が必要です。

熟練の刷り師さんのように刷れるようになるには、版面に載せたインクの表面の粒状の光沢を観察する視覚、版上のインクがローラーの回転に抵抗する時の触覚、インクが版から離れる時に聞こえる微かな音を聞く聴覚など、感覚を研ぎ澄まし、鍛える必要があります。現代の科学が創り上げた家庭用インクジェットプリンターのクリック一つでグラフィックを出力する手軽さと比すれば、ずいぶんと前時代的なものです。その上、石版画プリンターの設計は19世紀から基本的には(駆動は電気モーターを使うようになりましたが)変わりのないもので重く嵩張るものなので、普通の家庭に(特に日本の木造家屋に)気軽に置けるようなものではありません。

とは言え、近代以降画家たちに愛されててきたリトグラフがお手軽でない、という理由だけでこのまま消え去っていいのかと思っていたところ、同じ志に熱い思いを抱いている作家たち、大学の後輩たちに大いに刺激を受け一旦は放置しかかっていた研磨機を再整備しようとしています。


現在の準備状況

これまで私が作ってきた版画作品の回顧ページを組んでくださる雑誌の記事と連動するクラウドファンディングを思い立ちました版画誌の名前は『版画芸術』と言います。

雑誌は9月1日発刊なので、この文章をお読みいただいているころには、全て終わっていますが現在は作品の資料写真などをご提供させていただいているところです。


大学勤務時代を通じて、様々な作家や印刷業者から使用されなくなったプレス機や石版石を引き取り、これから作品を作りたいという若い後輩たちに譲るなど、廃棄を防ぐ活動をしてきました。ドイツから輸入したゾルンホーフェン産の石版石灰石なども含め、現在工房で稼働しているプレス機の何台かは、同じように捨てられる運命にあったものをタイミングよく救うことができたものです。

今でも、年に一度くらい使わなくなったプレス機を処分したいという連絡を受けていますが、すでに一杯になってしまった私のアトリエだけでは救いきれず、スクラップになってしまったものもあります。

クラウドファンディングで救おうとしている機械は、今まで救ってきた機械たちと比べても台数が少なく、動かなくなったものを含め日本中を探しても、数台しか見つからないと思います。現在工房にある機械もなくなった研磨所から引き取って時間が経ってしまい朽ちた部品などを外して今はほとんどスケルトン状態です。そこで、工房の設計者でもある建築家の助けも借りて新材料も使う予定です。この図面で色をつけている部分にアルミの板を敷き、末尾の写真の中に版と一緒に写り込んでいるガラス球と、研磨剤を載せてゆすり、アルミ板の表面に傷をつけていくという機械なのです。

先日は広島で特注の浴槽や公共施設の遊具などを製作されている業者の方が工房を訪問、研磨機上部に載せるFRP製の振動槽の設計について打ち合わせをしました、トップページにもアップしていますが、その時仮組をした研磨機の現在の状態です



リターンについて

当工房製のリトグラフ用アルミ版、もしくは石版画をご提供します。また、工房の使用やリトグラフワークショップにも参加していただくこともできます。


スケジュール

8月 研磨槽作成のための仮組み
9月 版画芸術発行
10月 研磨槽完成
2025年1月  振動装置再整備、研磨用FRP振動槽連結
11月上旬  クラウドファンディング終了
2024年12月  リターン発送開始(アルミ版については2025年1月以降)


資金の使い道


設備費:250万円
印刷費:5万円
人件費:25万円
広報費:4.5万円
手数料(17%+税):約550,715円


最後に

おそらく、この岩佐鐵工所製作のアルミ版振動研磨機は世界中で今も稼働しています。
それは同じ岩佐鐵工所のリトグラフのダイレクトプレスが遠い中東にまで輸出されていたことからも充分に考えられます。

しかし、タイの研磨所の実情からも推し量れるように、使用者は年々加齢により数を減らしているはずです。
また我が国でも気づくと手描きリトグラフの金属版を研磨しているのは、たったお一人の職人さんだけになってしまいました。
この機械と技術を救うのは今しかないし、これまでこの国で失われてしまった技術をこのまま終わらせてしまうのはあまりにも悲しいことです。
この機械が研磨するアルミ版は特に美しいものでも、そのまま投資対象になるものでもありません。
それでも、この機械が復活し、産み出すのは芸術を育てる土壌だと信じています。

<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

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  • たった今、広島で制作してもらっている研磨槽(FRP製、工業用ゴムシート内張)の原型製作が進んでいるとの連絡がありました木製のトレイの片側が研磨槽を傾けた時、内容物がこぼれ出ないように縁が高くなっているもので、一番上になっている部分が、研磨槽のだいたい内側の形になります。ひっくり返したところを想像してみてください もっと見る

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