実施理由/背景
不幸な猫を増やさないためにはプロジェクトの継続が必要です
なんの罪もない猫たちに対する「野良猫が子猫を産んだ!引き取って処分してくれ」などの命を軽んじる言葉、「野良猫があちこちで糞尿をするから疎ましい」などの猫の存在を否定する言葉が保健所や市に寄せられます。その猫達の多くは、子猫のうちに死に、成長しても3~5年で病気や事故で亡くなっています。
猫は、「不妊去勢手術をしないままエサを与え続ける」ことで、少なくとも年に1~2回、各4~5匹の子猫を産み、あっという間に数が増える特徴があります。不妊去勢手術代は病院により異なりますが、多くの猫に手術を受けさせるとなると費用が高額になるため、手術が進まず、さらに不幸な野良猫が増え、地域のトラブルに発展する負の連鎖が起こっています。
そこで、三豊市を居場所とする人と猫が共生できる居心地の良いまちづくりを目指し、三豊市愛され猫育成プロジェクトとして令和5年1月から「三豊市野良猫等のTNR活動費等補助事業」を開始しました。補助事業開始後、野良猫の不妊去勢手術の申請・問合せは増えていますが、まだまだ手術を必要としている地域があります。不幸な猫を増やさないためにも補助事業を継続していく必要があります。
プロジェクト内容説明
野良猫等の不妊去勢手術費・医療費・消耗品費を支援します
具体的には次のような取組みを行うことで、「子猫を産む⇒増える⇒猫のトラブルが発生する」の繰り返しを防ぐことができます。
1.野良猫の不妊去勢手術費用の補助(メス:上限16,500円、オス:上限11,000円)
2.多頭飼育崩壊現場で、飼育放棄されているとみなされる猫の不妊去勢手術費の補助(上記補助額と同じ)
3.不妊去勢手術の対象となる野良猫の医療費と消耗品費の補助(いずれも上限1万円)
4.野良猫に関する苦情対応を通じた市民へのTNR活動の啓発など
2の多頭飼育崩壊は、飼い主の責任でもありますが個人の力だけでは限界があります。悪臭等により近所トラブルに発展するおそれや猫にとって劣悪な環境になっている可能性が高いため対象とします。
実践的な幅広い知識をもつボランティアさんと、多くの犬猫に関する相談を受け、獣医師としての専門的知識をもつ保健所職員さんと協力してプロジェクトを進めます!
皆様からの多大なご支援により、令和5年度においては、98匹の手術ができました。改めて心よりお礼申し上げます。
野良猫等のTNR活動費等補助事業とは?
TNR活動とは、野良猫を捕まえる(T:Trapトラップ)⇒避妊去勢手術をする(N:Neuterニューター)⇒元居た場所に戻す(R:Returnリターン)の頭文字をとった活動です。
三豊市では、補助事業を行うにあたり、「個人枠」と「登録団体枠」を設けています。個人枠は、猫の手術前に市が聞取りと現地確認を行います。事前の調査により支援が必要と判断された場合に、1名につき1年度あたり5匹まで申請が可能となります。登録団体枠は、市が認めた方(香川県の譲渡ボランティア制度に登録している方が代表者であり、メンバーが2人以上などの要件を満たし、猫にとって安全に活動ができると市が認めた方)に対して、年間の申請上限数は設けず、さらに「医療費」と「消耗品費」も補助します。
TNR活動は、望まれない出産をなくすことで、不幸となる猫を増やさないために最も有効な手段です。
手術済の証として、耳先をV字(さくらの花びら型)にカットします。
野良猫を排除するのではなく、人と同じ命あるものとしてとらえ、適切に管理することで、これ以上数を増やさず、一代限りの命を全うさせることを目指します。
目指すところ
地域で猫を見守る活動の普及を目指して
単に「手術して終わり」ではなく、地域の方、ボランティアさん、保健所と協力して、地域猫活動(※)の普及に努めます。
人間の勝手で不妊去勢手術をした猫達は、元の場所に戻してその地域の人たちにごはんをもらったり、病気になっていないか気を付けてもらったりしながら、暖かく見守ってもらい、愛され猫として一代かぎりの命を幸せに生きてほしいと願います。
そのために、市民に対してTNR活動の趣旨や内容、猫の生態について周知し、えさやりやトイレの管理の重要性を理解してもらい、地域全体で野良猫を温かく見守ることができる社会になることを切に願います。
人も猫も「居場所」を奪われるのはつらいことです。三豊市を居場所とする猫が「迷惑猫」から脱却し「愛され猫」になることを目指します。
※地域猫活動とは、地域住民の合意のもと、地域住民が主体となって野良猫の適切な飼養管理を行う活動です。TNR活動の発展形ともいえます。
寄付の使い道
皆様から寄せられた寄附金は、
1.三豊市内の「野良猫」及び「飼育放棄猫」の不妊去勢手術費(補助対象手術に要する経費)に対する補助金
2.TNR活動中「保護が必要な猫」が発生した場合、治療費(獣医師が必要と判断した治療)や消耗品費に対する補助金
に活用させていただきます。
目標額を達成できなかった場合も、皆様から寄せられた貴重な寄附金は、猫のための補助金制度に充て、人と猫が幸せに暮らせるまちづくりのために活用いたします。
※ご寄附いただいた方に対し、令和6年度に実施をした事業の実績報告を送付いたします。
自治体からのメッセージ
【ご支援いただく皆様へ】猫と人が幸せになれる地域を目指して
皆様のご支援のおかげで昨年度もプロジェクトを実施することができました。心よりお礼申し上げます。プロジェクトを実施していく中で、「近所の野良猫に手術を受けさせたいと考えていた。手術費が高額であきらめていたが、補助事業ができて良かった。」「今後も継続して事業をしてほしい。」といった反響がありました。多くの方に野良猫のことを考えていただく機会にもなりました。しかし、まだまだ野良猫のことで困っている方、猫を救いたいと考えている方はたくさんいます。そのような方々と協力しながら、猫と人が幸せに暮らせる地域を目指し、補助事業を継続していきたいと考えています。引き続き、本プロジェクトに皆様の温かいご支援をお願いいたします。
事業スケジュール
令和6年8月~10月 クラウドファンディングを実施
令和7年1月 令和6年度三豊市野良猫等のTNR活動費等の補助事業に補填
令和7年3月 事業終了(翌年度事業へ繰越し)
三豊市では、平成29年4月より飼い猫に対する避妊去勢手術費の補助、令和2年4月より香川県の補助事業地域猫活動に対する補助を行っており、どちらも年々申請数は増えています。しかし、地域猫活動では3世帯以上のグループを組む必要があり、そこがネックとなって活動できない地域もありました。令和4年度にクラウドファンディングを実施し、補助事業の制度を新設したことで、ボランティアさんだけでなく、個人の方が主体となってTNR活動ができるようになりました。今後もクラウドファンディングで財源を確保させていただき、事業の更なる充実を図りたいと考えています。少しでも多くの猫が愛され猫として地域に受け入れられるように、今後もボランティアさんや保健所と一丸となって取り組みます。