「まほうのだがしや チロル堂」とは?
生駒駅からほど近い場所、ビルの1階に「まほうのだがしや チロル堂」はあります。子どもたちは店に入るとガチャガチャの機械に100円を入れて、出てきたチロル札(1枚100円相当)で駄菓子を買います。時にチロル札が2枚や3枚出てくるため、100円以上の価値となることがあります。
さらに、そのチロル札1枚で子どもたちは通常500円の価値があるカレーが食べれたり、300円のポテトフライを食べることができます。
このガチャガチャから出てきたチロル札にまほうがかかっていて、そのまほうのおかげで子どもたちは安心してここで食事をすることができます。

さらに駄菓子屋の奥は自由に使えるスペースになっていて、おもちゃや絵本が並びます。そのスペースでは子どもたちが宿題をしたり、本を読んだり、ゲームをしたり…と、思い思いに過ごします。

ここは学校でも家でもなく、子どもたちだけで気軽に立ち寄れて、親でも先生でもない大人たちがいる場所で自分らしく、自由に振る舞える場所になっています。
チロル堂立ち上げの背景
チロル堂を立ち上げたのは、奈良に関わる3人の大人。奈良で福祉事業所を経営していた石田慶子が、福祉の枠を越えた場をつくるため、クリエイターの吉田田タカシ、坂本大祐をチームに誘ったのがプロジェクトの始まり。

ⓒ京都芸術大学通信教育部「アネモメトリ」、成田舞(Neki inc.)
日本では、子どもの約7人に一人が貧困状態にあるといわれています。そんな子ども達や保護者に、無料や安価で栄養のある食事や団欒を提供する「子ども食堂」が全国的に広がってはいるものの、孤独や貧困に苦しむ子ども達が利用しやすい場所なのかという疑問を感じていました。知らない人に「困っている」「お腹がすいた」と助けを求めることを恥ずかしく思う子や、いつどこで子ども食堂が開かれているのか調べられない子もいるはずだからです。
この問題を解決するために、「困っている子ども達の居場所」といった直接的・限定的な表現ではなく、どんな子ども達も集まりたくなる目的を別につくり、支援が必要な子ども達が気軽に利用しやすい場所にすること。さらに活動を持続させるためには、行政等からの補助金等ではなく、子ども達を想う大人たちの想いが寄附という形で寄せられる仕組みが必要だと考え、現在のチロル堂の形が組み立てられていきました。
2021年8月から営業開始。現場で数々の試行錯誤を重ねながら、「子ども達を、地域みんなで支える」場づくりを進めてまいりました。2022年には、その仕組みとあり方を評価いただき、グッドデザイン大賞を受賞させていただきました。

4年目からの挑戦。チロル堂の「オープンソース化」。
今回、クラウドファンディングを立ち上げた背景に、チロル堂の「オープンソース化」への挑戦があります。
グッドデザイン大賞の受賞を機に、見学や視察が相次ぎ、「自地域で同じような活動を行いたい!」というご要望をいただく機会が増えました。そのお声を嬉しく思う一方、本丸の経営がまだまだ発展途上の中で広げていいのだろうか?また、チロル堂にとってふさわしい広げ方ってなんだろうか?という葛藤がありました。
ですが、活動が3年を迎えた今年、チロル堂の中でどんなことが行われ、どんな思想が目を結んでいったのかがようやく言語化できるようになってきたこのタイミングで、チロル堂が育ててきたノウハウと考えをまとめ、それを広く公開することに踏み出すことといたしました。
2つの願いを込めてオープンソース化を進めます。1つは、全国で子どもの居場所や地域コミュニティを営む個人・団体にとって私たちの活動内容がヒントやエッセンスになればという願い。そしてもう1つが、全国の仲間と協働してチロル堂の新しい可能性が開かれていきますようにという願い。今のチロル堂は完成形でもなんでもなく、「地域の大人が子どもを支える」形にはもっと様々なあり方/やり方があるはず。それを担う土地や人によってもあり方は多様に違いありません。オープンソース化を通じて、私たちも可能性を一緒に探求させてください。
目指すは書籍の自費出版。題して「チロル堂のまほうの書」(仮)
具体的には書籍「まほうの書」をつくっていきます。「実践編」と「思想編」の2部構成の予定です。

「実践編」には、チロル堂という場の根幹をまとめた「まほうのしくみ」、および、場の立ち上げから日々の運営まで必要となる実務のエッセンスをまとめます。「実践編」を一通りお読みいただければ、チロル堂のような場を「外見上では」つくっていただけることを目指します。
ですが、「仏作って魂入れず」では、チロル堂のような場を成立させるのは難しいです。運営者のあり方、それを取り巻く地域の大人のあり方が何よりも大切です。チロル堂メンバーやそれを取り巻く社会が、何をどう考えてチロル堂に向き合ってきたのか、これから場をつくる方に必要な姿勢は何なのか、それを記した「思想編」も同時にお届けします。
「つくり方」と「届け方」にもこだわります。出版社/一般流通は通さず、自分たちで企画・編集し、自分たちで書き、自分たちで製本し、自分たちで届けることを目指します。チロル堂が何よりも手づくりの場でありますし、それに共鳴してくださる仲間とは直接コミュニケーションを取りたいという想いから、自費出版に挑戦します。
キックオフの様子とスケジュール
9月中旬、オープンソース化に向けたキックオフイベントを生駒市にて行いました。100名を超える方に参加いただき、各地でチロル堂的な場をつくっていくことに関して、熱いトークを展開することができました。また、「まほうの書」についても期待の声をたくさんいただき、みなさんに届けていけるよう熱が高まったところです。

10月から本格的に原稿を執筆し、4月中にはみなさまの手元に届けられることを目指していきます!
ご支援内容
初版として「1000部」の制作を目指します。このクラウドファンディングでは
・初版の先行予約
・初版にかかる必要経費の支援(ブックデザイン&製作費など)
をお願いいたします。
書籍購入/リターンについて
書籍は2部構成で6000円前後で販売予定です。
完成後はECなどを通じて販売予定ですが、本プロジェクトを通じて書籍を事前予約していただけるととても嬉しいです。書籍代+支援代で1万円のメニューをご用意します。
もちろん、書籍には興味がなくても、チロル堂のような場を全国に広げていくことを応援いただければ嬉しいです。支援だけを目的としたリターンとして下記をご用意しております。
・ただただ支援(5000円、10000円)
・チロル堂店主体験
・チロル酒場貸切営業
最後に
私たちが試行錯誤で行ってきた「まほうのだがしやチロル堂」のしくみづくりが一つの形になります。
全国の皆さんにチロル堂とは何か?と、問われ続けていただいたことで、私たちも常にチロル堂とは何かを問い続けて参りました。チロル堂という場所は、その場を開いた私たちにさえも多くの奇跡を見せてくれ、多くのストーリーの出発点にもなりました。その想像もしていなかったような数々の物語を「まほうの書」として一つの形にしてみたいと思います。決してその表現されたものが目的や結果やゴールになり得るものではありません。唯一無二の出来事として私たちはただ、起こったことと発見したことを言葉にして表現してみます。
ただ、大事なことは全国のどんな地域にも、必ず人と人とが交わる場所が必要だということです。できるなら子どもの頃にその場所に出会ってほしいし、その子どもたちにその場所に出会ってほしいと願える大人が増えてほしいと切に願います。分断されて、合理化された現代社会の中で、子どもも大人も孤独に陥っています。そのひかれすぎた境界線を一つづつ緩めたり、解きほぐしたり、無くしたり、越えたりしていく活動を通じて、ようやく私たちは本来繋がっていたんだっていうことを思い出すのです。
私たち大人が、今その行動を始めていくきっかけの一押しになればと、そんな思いでこのプロジェクトを実行して参ります。
最新の活動報告
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クラウドファンディングで『まほうの書』をお待ちいただいている皆さまへ
2025/11/03 20:02クラウドファンディングで『まほうの書』をお待ちいただいている皆さまへご支援くださった皆さまへ、心より感謝申し上げます。大変お待たせしてしまっておりますが、現在の進捗状況をお伝えいたします。このたび、10月末にようやく『まほうの書/実践編・思想編』が校了いたしました。ここに至るまで、本当に長い旅路でした。夏頃にそれまでの構成を大きく方向転換する決断をし、何度も修正と加筆を重ねながら、ようやく納得のいく形にたどり着きました。実践編は主に石田が、思想編は坂本が執筆を担当しています。途中から編集として参加してくださった小久保よしのさんは、すぐに本の趣旨を深く理解してくださり、構成や表現の提案も的確でした。そこからは、よしのさんに伴走していただきながら、最後の一文まで丁寧に磨き上げてきました。デザインを担当してくださった長岡デザインの長岡綾子さんにも、構成変更によるご迷惑をおかけしながらも、限られた時間の中で最大限のご尽力をいただきました。本の世界観を丁寧にかたちにしてくださったこと、心から感謝しています。写真は、表紙に一冊ずつ手作業でスタンプを押す坂本氏と、この本の企画構成を担ってくださった野と知の安田翔さんとその仲間たち。機械的ではなく、どこかに“人の手のぬくもり”を感じてほしい——そんな想いを込めて、一冊ずつ丁寧に仕上げています。思った以上に重労働で、泣き笑いしながらの作業になったとか……。そう、この小さな畳の一室から『まほうの書』の物語は始まりました。安田さんとチロル堂の3人が、唐揚げ弁当を食べながら最初のインタビューを受けたあの時間。そこから、この本の“まほう”が少しずつ形になっていったのです。そして――当初予定していたお届け時期よりも大幅に遅れてしまっていることを、心よりお詫び申し上げます。制作の過程で、どうしても「伝えたい言葉」を妥協せず、丁寧に仕上げたいという想いがありました。そのために時間を要してしまいましたが、今は印刷・製本に向けた最終準備を進めております。お待たせしてしまっている皆さまに、心からの感謝とお詫びを申し上げます。一冊一冊に“まほう実践の息づかい”を込めて、間もなくお手元にお届けできるよう尽力しております。どうか、もう少しだけ楽しみにお待ちいただけましたら幸いです。お届けは1月中頃を予定しております。 もっと見る支援者の皆様へ再度のお詫び
2025/08/08 20:49クラウドファンディングご支援者のみなさまこの度は、多大な応援をいただき、本当にありがとうございます。まほうのだがしや チロル堂 共同代表の石田慶子と申します。現在の本づくりプロジェクトの進捗を共有させていただきます。当初2025年3-4月頃お届け予定とお伝えして製作をスタートしましたが、2025年3月末の現在で、原稿の進捗状況は5割程度であり、本のお届けが9月までずれ込むことをお伝えいたしました。しかしながら、さらに、現時点でもその予定が遅れておりますことをお伝えしなければなりません。本当に申し訳ありません。理由といたしましては、大枠で一度完成近くまで編集は進んではいたのですが、改めて全体を読み通していく中で、納得のいかない箇所がみえてきたり、全体の構成も大幅に手を加える必要があると判断したことが大きな原因になります。メンバーが納得できるものづくりに、想定より時間がかかり、再度このようなご報告をしなければならないことを本当に申し訳なく思っています。本を心待ちにされていた皆様には、ご迷惑をおかけし、本当に申し訳ございません。改めまして、この先のプロセスとしてお伝えいたします。・8月中に完成原稿に(関係者との内容の確認や読み合わせなど)・9-10月 デザイン制作期間・11-12月 印刷期間・1月 本の製本WS(予定)以上のような状況により、本のお届けを2026年1月頃とさせていただきたいです。朗報も一つあります。本の編集作業ににライターの小久保よしのさんに参加していただいています!!よしのさんの優しくしてシンプルな感性がこの本のエッセンスになることはとても嬉しいです。編集会議も重ねています。これから皆さまに、細かく、制作の状況をご報告させていただきたいと思います。少しでも安心していただきたいことや、本の完成までのプロセスを少しでも身近に感じてもらえたらと思います。前回のスケジュール変更から更に、見込みが甘かったこと、猛省しております。よいものをお届けするべく、引き続き頑張りますので、いましばらくお待ちください。何卒、何卒、よろしくお願い申し上げます。まほうのだがしや チロル堂 共同代表 坂本大祐・石田慶子・吉田田タカシ もっと見る






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