新ジャンル創造への挑戦 - 北米グラフィックノベルの原点であるワードレスノベルの別進化版「PGノベル」
■当プロジェクトで実現したい事について
固まってきたジャンルの基本形を土台に、ようやく新作では出したかった感性や娯楽性を発揮したいと思います。
PGノベル活動に社会性をからめ、認知度UPを目指します。
■自己紹介
新美はonePJの屋号でPGノベルのジャンル確立と娯楽への昇華と発展を念頭に自主制作活動をしています。
■PGノベルについて
北米グラフィックノベルのルーツはワードレスノベルという木版画による文字のない小説だとされています。ワードレスノベルのルーツはヨーロッパの版画家たちの作品だそうです。この言葉のない世界のルーツをもっと追いかけると、戦争で使われたプロパガンダのポスター、神話を描くラージプート絵画、仏画、エジプト象形文字のヒエログリフなどに近づきます。これらはみな強烈な精神性を伝えます(良い悪いは別として)。なので北米グラフィックノベルのルーツ、その伝統の歴史も、これはこれでかなり古いものだと言えます。
精神性の表現では静かな微笑みが多く見られます。剣を振り下ろすときの顔でさえ静かに微笑んでいる場合があります。とても感情的とは言えません。微笑み以外の表情があったとしても動きや崩れがなく、例えば能面や金剛力士像や阿修羅像のように象徴的なデザイン表現として描かれているように見えます。
現代では精神性よりも感情を中心に描きます。表情も象徴的な固定感覚ではなく動きのあるものです。感情を精神性として描く場合もあります。プロパガンダのポスターはその中間だと言えます。現代でヒエログリフに近いものはトイレ記号などのピクトグラムです。でもトイレ記号に精神性はありません。情報が中心です。
精神性の表現では連続した動きがなく、時間の感覚がありません。そのかわり一つの絵に意味が沢山あります。ピクトグラムがその例です。
現代では動画のような動きのある絵の連続が表現の中心で、時間の感覚があります。感情が剣を振り下ろす前と後を描くなら、精神性は振り下ろしている途中を描くと言えます。その途中にも意識がある人は精神性が強いと言えます。
作者は昔から感情よりも精神性を娯楽的に表現したかったのですが、既存ジャンルの延長線上での表現は難しく感じました。それから試行錯誤を続け、その結果として生まれたのがPGノベルです。見た目が似ているピクトグラムと、象徴的な描き方が似ているプロパガンダの両方からPGの二文字をもらって、PGノベルと名付けました。
以下はPGノベルという独自ジャンルが生まれる過程です。
- (1)表現したい物語がある。
- (2)既存ジャンルで試すが噛み合わず、違和感が残る。
- (3)既存ジャンルのセオリーに妥協すると表現したい物語が消える。
- (4)既存ジャンルのセオリーや印刷のルールを無視する。
- (5)(4)を徹底しながら作品の下書きをする。
- (6)五里霧中の試行錯誤で、既存ジャンルに誘惑される。
- (7)既存ジャンルへの違和感があり、初心との関係が強くなる。
- (8)下書きが直感的かつスムーズになり、作品が完成する。
- (9)完璧ではないが表現したかったものが形に残る。
- (10)心の底から違和感のない安心感が起こる。
- (11)既存ジャンルに同じような形がないか探す。
- (12)それを見つける(ワードレスノベル、プロパガンダ、ラージプート絵画etc)。
- (13)あこがれが生まれる。
- (14)似ているけど別物であることを認識する(車窓の景色と同じ)。
- (15)あこがれを捨てる(車窓の景色が過ぎ去るのと同じ)。
- (16)(5)~(15)を繰り返すうち、独自ジャンルとして形が固まる。
- (17)社会性を持たせるため、絵柄と内容を微調整して娯楽性の向上を目指す。
PGノベルは(17)の段階に来ています。(16)の段階で何度か出版社への持ち込みなどを行い、ある出版社からは「確実に新しいジャンルができている、もっと奇麗にするといい」と評価いただきました。でも、ただ見た目を奇麗にするだけじゃ駄目だなと思い、それからも(16)の段階を繰り返し、「奇麗に」できる土台の形が固まり、(17)へのステップを踏めるところまで来れたと思っています。
絵柄についても、たまに依頼されるイラストグラフィ(写真イラスト化)という、作者の絵柄、主観、感情を可能な限り排除した制作物を重ねたことが、独自のデフォルメ方法を身につけ、独自性を支えています。最近は(17)の段階に来たこともあり、VANSTARでは既存ジャンルを参考にして社会性を持たせた絵柄に近づけようと思います。「もっと奇麗に」です(笑)。
■今回の新作「VANSTAR」について
作者が描きたい物語には、PGノベル以外でなければ表現できない感覚があります。とくに今回のVANSTARは、作者がずっと温めてきた物語です。ちゃんと表現できるか不安もありますが、温めてきたということは上記の(17)のステップの最初にふさわしいことかもしれないと思い、ようやくこの物語を描くことにしました。VANSTARはそうした位置にある内容になる予定です。
■さいごに
社会性や娯楽性を目指すのなら、たとえ少しでも誰かから支持される仕組みでやりたいと思っていました。だけど独自ジャンルという未知の世界や、感情ではなく精神性の表現は、採算前提のビジネスだと難しいのかなとも思います。その中間をどうしたらいいのかなと探していた2011年に、日本でのマイクロパトロンシステム元年が重なりました。そのためこのたびCAMPFIREに参加させていただきました。
目標達成の既成事実がPGノベルの発展につながるステップの一部だと思っています。この活動にご賛同いただけます方は、なにとぞご協力をよろしくお願いいたします。
最新の活動報告
もっと見る発送しました
2011/10/02 11:372日ほど前に、作品を発送しました(お届け先のご住所をご連絡いただいた方、またはこちらでお調べしてお届け先がわかっている方のみ)。あとはクリスマスカードと、ニューイヤーカードを送るだけです。これで全て完了です、ありがとうございました。 もっと見る
印刷が完了しました
2011/09/21 11:46手元に取ってみましたが、印刷するとぜんぜん違います。やっぱりこの魅力は、パソコン画面では出せません。PGノベルは印刷前提の形態なので...。巻末のイラストグラフィも、いい味が出ています。いま色々あって手がまわらないので、発送まであと少し時間がかかりそうです。 もっと見る
諸連絡まとめ
2011/09/13 08:34こちらの活動報告は支援者限定の公開です。
コメント
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