自己紹介
こんにちは。NPO木の家だいすきの会 鈴木進、山本幸恵です。
NPO木の家だいすきの会は、約20年にわたり奥武蔵野の森の木を使った家づくり(新築、リノベーション)を埼玉、東京を中心に提供しています。地域の森の木を使った木の家づくりから、森の循環利用、森と共生するライフスタイルが世の中に広がり定着することを目指して活動しています。
森の循環利用をしていくには、その前提として森を守る町が元気でないとできません。
そこで、2019年から移住を応援する取り組み(ときがわ・ときのわ)、2020年から関係人口を増やす取り組み(ときがわ森の教室)、2021年から空き家活用の検討に、町の方々と一緒に取り組んできました。
今回は、ときがわ町の手すき和紙の魅力や可能性を皆さんに知っていただきたく、このプロジェクトを実施します。
世界でも高い評価を受けている日本の手すき和紙
和紙は、私たちが普段使っている洋紙と異なり、時間が経っても劣化しにくい特徴があります。主な原料は楮(こうぞ)などの多年性植物で、製造時に化学薬品を使わず、天然素材だけで作られています。また、和紙の繊維は長くてしっかり絡み合っているため、手で折りたたんでも破れにくい強度を持っています。この特性は、海外の文化財の修復にも役立っています。実際、800年以上前の絵巻物や書籍が今も鮮やかな状態で残っているのは、和紙の優れた品質のおかげです。
日本人の生活に深く根付いていた和紙
和紙は衣食住だけでなく、心の支えとなるものでした。漆を塗って器として使い、エゴマ油をひいて傘を張り、通気性のある紙衣(かみこ)を雨合羽として使ったり、提灯や行灯で夜を照らし、夏は扇子や団扇で涼をとりました。
祝儀や不祝儀には水引を用い、神棚には御幣を供えて手を合わせ、仏への祈りを込めて写経を行ってきました。張り子の達磨や招き猫、人形を部屋に飾り、暮らしに彩りを添えてもきました。障子は日本家屋に柔らかな光をもたらし、自然の息吹を感じながら生活する感性を育んできました。
江戸時代、火災から帳簿を守るため、商家は和紙の帳簿(大福帳)を井戸に投げ込んで焼失を免れたことも。。和紙は乾かせば元に戻り、墨文字は水に濡れても消えず、破れにくく、虫にも強いという特性のゆえでしょう。
絶滅の危機に瀕している日本の手すき和紙
手すき和紙は、和紙職人だけでは成り立ちません。原料の楮(こうぞ)や三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)、さらにはトロロアオイなどを育てる農家さんや、紙を作るための道具を作る職人さんなど、多くの人々が関わっています。しかし、原料の国内生産は減少しており、輸入に頼らざるを得ない現実があります。高知県手すき和紙協同組合によれば、2009年時点で日本で使われるコウゾの70%が外国産です。これは、和紙の需要が減り、安い和紙が求められるようになったため、国産の楮を作る農家が生産をやめてしまったことが要因です。
薄いのに強く長持ちする上質な手漉き和紙は、和紙職人の技術だけでなく、原料の質にも大きく依存しています。輸入楮では、日本の手漉き和紙の質や耐久性を保つことが難しいのです。実は、あなたが手にした和紙は、本物ではないかもしれません。さらに和紙職人の高齢化も、手すき和紙の絶滅の危機をさらに深刻にしています。
エコフレンドリーな素材手漉き和紙
危機に瀕している手すき和紙ですが、非常に環境に優しい素材です。年月が経っても劣化しにくく、破れにくい強度もあり、天然素材だけで作られているため、リサイクルも簡単です。
今、気候変動やSDGs(持続可能な開発目標)が重要視されている中で、こうした特徴を持つ和紙はますます求められている素材ではないでしょうか。日本の手すき和紙は文化的価値だけでなく、これからの私たちの生活にも必要な素材です。
和紙文化、魅力を多くの人へ未来へつなぎたい
和紙文化を伝える「手漉き和紙たにの」谷野裕子さんは、ユネスコ無形文化遺産記載登録の際に名前を連ねる「細川紙」の正会員(細川紙技術者協会)です。谷野さん曰く、「このユネスコ無形文化遺産記載登録は、谷野さんが漉いた紙そのものではなく無形文化遺産。つまり、伝統技術、歴史的背景や技術が国際的に評価された訳で、それらを次の世代に伝えていく使命がある」と。
谷野さんは、地域の皆さんに協力いただき、楮(こうぞ)や雁皮(がんぴ)を育てたり、子供たちが自分で卒業証書の紙を漉く取り組み、地元の森や木工と和紙を組み合わせた体験イベントなどを実施し、できるだけ多くの方に和紙文化に触れてもらう機会づくりに奮闘しています。
このプロジェクトで実現したいこと
クラウドファンディングでは、私たちは地域で育てた武蔵楮を100%使い、今は入手困難な伝統的な「かや」の漉簀で漉いた「武蔵楮和紙」を100枚ご用意し、できるだけ多くの方に届けるプロジェクトを実施します。
日ごろ和紙に親しみのある方も、ない方も、手に取っていただき、触れて、かわいらしいテクスチャーと温かみのある風合いを感じていただきたいのです。そして、和紙というと思い浮かぶのは障子紙や書道の紙ですが、発想を広げれば、ただの紙ではない、生活の中でさまざまな使い方が可能な素材です。あなたの暮らしの中でどんなふうに和紙を取り入れたいか、想いを巡らせてみてください。
「こんな風に使いたい!」と思った方は、ぜひ「手漉き和紙たにの」にお越しください。リクエストに応じて、いろんな相談に応じてくれますよ。
私たちの目標は、本物の和紙に触れ、感じ、和紙文化の理解を深め、和紙を身近に使う方々を増やすことです。
ご支援いただいた方には全員に「武蔵楮和紙」をお届けします。さらに、「手すき和紙でふすまリノベ」、「手すき和紙で塗り壁リノベ」「和紙文化を語らう会」にもご参加いただける機会もご用意しました。
リターンについて
10/20(日) 『和紙漉き体験|手すき和紙ハガキで年賀状を!』ワークショップ
ハガキサイズの手すき和紙を1人10枚漉きます。
大切な方の年賀状を手漉き和紙でいかがですか?
11/24(日) 『手すき和紙でふすまをリノベ』 ワークショップ
今のインテリアに合わない古びた襖(ふすま)を手漉き和紙で張り替えます。和紙職人さんが上手に張り替える方法を伝授します。
11/30(土) 『手すき和紙で塗り壁をリノベ』ワークショップ
ボロボロとはがれてくる塗り壁を、手漉き和紙で明るくおしゃれにリノベーションします。和紙職人さんが、壁に和紙を上手に張る方法を伝授します。
和紙の壁は汚れたら、新しい和紙を上から張ればよいそうです。張り方のコツを覚えたら、気分転換で色を変えたりも気軽にできますよ。
1/11(土) 和紙文化を語らう会
ユネスコ無形文化遺産に登録された細川紙の技術保持者である「手すき和紙たにの」谷野裕子さんを囲み、和紙の魅力、可能性について語ります。会場は和紙でリノベしたシェアスペース。こちらもお楽しみください。
武蔵楮和紙をお届け
武蔵楮を100%使い、今は入手困難な伝統的な「かや」の漉簀で漉いた「武蔵楮和紙」(40×60cm)をご支援いただいた皆様にお届けします。
スケジュール
2024年10月 クラウドファンディングスタート
2024年10月20日 『和紙漉き体験』ワークショップ開催
2024年11月24日 『手すき和紙でふすまをリノベ』ワークショップ開催
2024年11月30日 『手すき和紙で塗り壁をリノベ』ワークショップ開催
2024年1月11日 和紙でリノベしたシェアスペースで和紙文化を語らう会開催
最後に
手すき和紙の魅力や可能性について、ワークショップなどを通して多くの方に知っていただき、環境にもやさしい手すき和紙を取り入れた暮らしを楽しみ、日本の手すき和紙文化を伝えていきましょう。
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